現在、東京都江戸東京博物館で開催中の「大妖怪展」や、いまだ人気を見せる『妖怪ウォッチ』など、“妖怪”は日本人の心を惹きつけて止みません。7月16日からは、東急ハンズ全店にて(名古屋店・名古屋ANNEX店を除く)、「ゲゲゲのハンズ」と題して、「目玉のおやじのふしぎ教室」が開校! 妖怪手づくりイベントが行われたり、妖怪グッズがずらりと並んでいます。


“目玉のおやじ”といえば『ゲゲゲの鬼太郎』と、やはり“妖怪”といえば、水木しげる先生の作品を避けて通ることはできないでしょう。

鬼太郎と水木先生、目玉のおやじのブロンズ像@水木しげるロード

昨年11月末に惜しまれながらもこの世を去った水木先生。今さら言うまでもなく、56年にも及ぶマンガ家人生の中で『ゲゲゲの鬼太郎』や『河童の三平』『悪魔くん』といった数々の名作を生み出した国民的マンガ家です。古き日本に存在していた妖怪文化を復活させた功績は広く認められています。

今回、『ゲゲゲの鬼太郎』グッズの魅力を紹介するにあたり、取材班は鳥取県に飛びました。その理由は、水木先生の出身地である鳥取のゆかりの地をめぐり、水木先生のルーツをたどるため。そこで私たちは、想像をはるかに超えて、地元・鳥取に根づき、住民に愛されている水木しげるの素顔を知りました

そして、「あわよくば本物の妖怪を見てみたい…!」という思いから、なぜか「こちらも妖怪を連れて行けば、現地の妖怪も警戒心を緩めるのでは?」という妖怪大好きな編集長のアイディアの下、美人コスプレイヤーのNRK the Hedgehog(のりこ・ざ・へっじほっぐ)さんに、妖怪コスプレで同行してもらいました。コスプレする妖怪は“呼子”。

NRK the Hedgehogさんの呼子コスプレがこちら。鳥取県などの山陰地方を中心に、“やまびこ”の正体として伝えられてきた妖怪

…妖怪にしては少し美人すぎた気もしますが、まぁご愛嬌ということで、可愛すぎる呼子ちゃんと共に、一行はまず米子鬼太郎空港に到着したのでした。

取材・文:須賀原みち 撮影:時永大吾 モデル:NRK the Hedgehog

空港から妖怪だらけ! 米子鬼太郎空港

「米子鬼太郎空港」こと米子空港

米子鬼太郎空港では、その名の通り、至るところで鬼太郎を初めとした妖怪たちがお出迎え!! 今年3月にリニューアルされ、そこかしこに妖怪たちが潜んでいます。

米子鬼太郎空港の天井には鬼太郎たちが勢ぞろい

ステンドグラス『妖怪たちの森』は華やかな妖怪たちがずらり

『妖怪たちの森』では、ぬらりひょんやべとべとさん、キジムナーらに並んで、呼子もしっかりと描かれています。さすが地元です。

水木先生直筆の「妖怪天井画」が見もの! 大山寺の圓流院

水木先生から無償で提供いただいたという110枚の「妖怪天井画」

米子駅から少し離れて東へ進み、大山寺の圓流院へ。こちらには108枚に及ぶ水木先生直筆の「妖怪天井画」があり、それを寝転がって見ることが出来るという、世にも珍しい寺院なのです。

寝転んで「妖怪天井画」を見上げる呼子ちゃん。参拝を済ませた後、ここは無礼講となります

そもそも水木先生の絵が天井画に使われるようになったのは、2010年に水木先生の奥様である武良布枝さんのエッセイ『ゲゲゲの女房』 がNHK連続テレビ小説でドラマ化され話題となった頃。かつての住職が絵描きだったという圓流院は、せっかくなら再建を機に天井画として水木先生の絵を使わせてもらえないかとお願いをしたことがきっかけだそう。

水木先生の指示で配置された「妖怪絵の曼荼羅」から天井を見上げる人に降り注ぐ神通力で、悪いところが治るんだとか

お寺に妖怪の絵を飾ることについてはさまざまな議論がありましたが、水木先生の持論では、妖怪は仮の姿であって元の姿はすべて神、仏や菩薩。妖怪に変化することで、人々を救っていると語ったそうです。

米子を走る「鬼太郎列車」に乗り込め!

「鬼太郎列車」が米子を走り抜ける!

その後、米子駅から境港駅までを走る「鬼太郎列車」に乗車するため、一行は米子駅から「鬼太郎列車」に乗り込みます。全6種類のうち、今回取材班が乗り込むのは「鬼太郎」と「目玉のおやじ」の車両。

ちなみに、この沿線の駅はいずれも妖怪の名がついていて、米子駅は「ねずみ男駅」と名付けられ、目的地の境港駅は「鬼太郎駅」となっています。

改札口には一反木綿。妖怪のレリーフもずらりと並ぶ。

鬼太郎列車の車内では、シートに鬼太郎がずらりと並んでいるほか、天井や壁にまでイラストが描かれていて、飽きることがありません!

平地や住宅が広がる米子市内を駆ける鬼太郎列車。各駅の看板にもしっかり妖怪が

乗車中には、韓国の国営テレビ・KBSの取材班とも遭遇。日本の妖怪文化や水木しげるさんの取材をしているそうで、水木先生の国境を超えた人気の高さがうかがえます。

妖怪の街・境港に到着! 「水木しげるロード」を堪能

「水木しげるロード」のアーケード街。1993年の妖怪ブロンズ像23体の設置以来、「妖怪神社」が建立されたり、「鬼太郎フェリー」が就航されたりと、年々発展を続けてきた

鬼太郎列車を満喫し、到着したのは境港駅。ここは水木しげるさんの育った地であり、現在、駅前通りの商店街は「水木しげるロード」として大々的に整備され、153体を数える妖怪ブロンズ像と共に、数多くのお店が並んでいます。

「水木しげる先生執筆中」のブロンズ像。この像はJR境線の妖怪路線化を記念してのもの

1993年から続く水木しげるロードは、この年の6月には来場者も累計3000万人突破。国内外から水木先生や妖怪ファンが訪れる、まさに聖地となっています。

全長800メートルにも及ぶ商店街を進んでいくと、呼子ちゃんは街行くみなさんからひっきりなしに声をかけられています!

「妖怪だ!」と喜んだり本当に怖がったりする子どもたちや、「可愛い妖怪だね〜」と声をかけてくださる年配の方など、さすがは「水木しげるロード」

記念撮影もひっきりなしの大人気!

そんな妖怪ファンの皆さんに「何の妖怪のコスプレをしているか、わかりますか?」と質問してみたところ、“くらぼっこ”“傘化け”“豆富小僧”といった間違えが続出。やっぱり少し可愛い過ぎたのでしょうか……。

壮年の男性たちも「何の妖怪かな~」と、知ってる妖怪を挙げます

しかし、大阪から来たという鬼太郎好きの女の子は「呼子!」と即答。わかる人にはわかるようで、その後も「呼子」と答えられる人がチラホラ。水木先生のファンは、やはり妖怪に詳しかった!! 小さな子にまで愛されている、そのスゴさが実感できます。

一目見るなり「呼子」とわかった女の子。鬼太郎が大好きだそうです

妖怪グッズの目玉商品は目玉だけに…?

「三平茶屋」

最初に立ち寄った「三平茶屋」さんでお話をうかがうと、水木先生は2006年から毎年開催されている『妖怪そっくりコンテスト』の際は審査員として、そしてご自身の誕生日には毎年境港に戻っていらしたとのことで、お見かけする機会も多かったそう。

また、妖怪グッズも取り扱っている「三平茶屋」のご主人いわく、グッズとしてダントツで人気のある妖怪は「目玉のおやじ」とのこと。鬼太郎よりも目玉のおやじのほうが人気だなんて……ちょっと意外ですね!

人気のとおり、目玉のおやじのグッズが目立っています

そんなお話を裏付けるように、『目玉のおやじ 砂フィギュア』(800円+税)は呼子ちゃんもお気に入り。実際の砂を使っているので、ぱっと見どこにいるのかわからない、まさに妖怪のような神出鬼没さに惹かれますね。
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『目玉のおやじ 砂フィギュア』はどこに……いた!

こちらのフィギュア、東急ハンズの「目玉のおやじのふしぎ教室」でも展開されます。

水木しげるも立ち寄っていた妖怪グッズのお店

「妖怪ショップ ゲゲゲ」野々村さん手作りの作品が並ぶ。死神や、目玉のおやじになる前の鬼太郎のお父さんも

アーケード街の一角に、気になるお店が。ここは、店主・野々村久徳さんによる手製の妖怪グッズを展開している「妖怪ショップ ゲゲゲ」。

野々村さんによれば、かつては水木先生が店内でお話をすることもあって、水木先生は得意のジョークを言って、周りのみんなを煙に巻きつつ笑わせていたそうです。「わしは小学校で何しても1番じゃった。通信簿がみーんな1だった」とうそぶいたり、神社にある祠へ行って「あそこに妖怪がおる」と画用紙に妖怪の絵を描き出したこともあったとか。

店主・野々村さん。本業は電気屋さんだそうです

野々村さんは「先生には本当に妖怪が見えている」と思いつつも、「ウソをつくのが上手くなったら、マンガが売れるようになった」という水木先生の言葉も聞いたことがあり、果たしてどこまで本当なのか……水木先生の飄々とした人柄をうかがうことができます。

『目玉おやじの棒付き飴』で一休み

『目玉おやじの棒付き飴』(480円+税)は、その名の通り、目玉のおやじの“眼”が飴になっています

ここでちょっと一休み……と、呼子ちゃんが舐めているのは、『目玉おやじの棒付き飴』です。「目と親父にやさしい」ブルーベリー味で、街中の至るところにある妖怪ブロンズ像を見て回り、疲れた目を休憩中……。

5本も入っているので、友達とシェアできるのも嬉しい

もちろんこちらの飴も、キャンペーン期間中、東急ハンズでも手に入れることができますよ。

水木しげるの憩いのお店「鬼太郎茶屋」

水木先生は自転車で颯爽と商店街を走っては何度も店を訪れ、いつも決まった席で抹茶を飲んでいたそう

こちらは、ふらりと訪れた水木先生に抹茶を飲んでもらったところ、水木先生から「ここを休憩所にしよう」と提案されて「鬼太郎茶屋」という名前を頂いたという、縁のあるお店です。

「鬼太郎茶屋」の休憩スペース。水木先生は猫好きでもありました

そんな「鬼太郎茶屋」では、水木先生の愛したお抹茶をいただくことが出来ます。水木先生と同学年となる「鬼太郎茶屋」のおばあ様は、「水木先生は、ここの方言の“境弁”でお話をするのが好きだった」と語ります。毎年、境港に戻っていたという話も聞くに、本当に郷土愛に溢れた人だったのでしょう。

ハンズカフェにも、『ゲゲゲの鬼太郎』をテーマにしたメニューが期間限定で登場。鬼太郎、一反もめん、目玉おやじをイメージしたアイスココアやスイーツ、カレーなども。妖怪だらけの納涼スイーツでひんやり過ごしてみるのも。

「ゲゲゲのハンズカフェ」(左)「一反もめん」のパンナコッタ~黒蜜きなこ~/(右)「目玉おやじ」のオムカレー ※渋谷店での販売のみ

水木しげるロード発起人に聞いた、水木しげるエピソード

呼子ちゃんと鬼太郎のツーショット

水木しげるロード発起人で『妖怪になりそこなった男』(やのまん)などでも知られる黒目友則さんにお話をうかがうことができました。元々市役所に勤めていた黒目さんは、周りが「妖怪で町興しなんて縁起が悪い」と反対する中で水木しげるロードを立ち上げ、この成功の立役者となったその人。現在は水木しげるロードにて「水木しげる文庫」や「妖怪開運堂」などのお店を手がけています。

「世界妖怪会議」を企画するなど、水木先生との親交も一層深かったという黒目さん。「境港に帰ってきて僕の姿が見えないと『黒目がおらん』と大騒ぎしながら探し回ったかと思えば、僕を見つけても僕の家内と少し話をしただけで、安心して帰っていくという感じで……不思議な方でしたね」と目を細めます。掴みどころのない、水木先生らしいエピソードといえるかもしれません。

「鬼太郎のぬいぐるみ」の奪い合いに発展?

途中、水木しげるロードを巡るうちについつい仲間に加えて(買って)しまった『鬼太郎ぬいぐるみ』(3500円+税 ※一部店舗のみ取り扱い)のあまりの可愛らしさに、旅に同行していたKAI-YOU.net編集長が呼子ちゃんとぬいぐるみの奪い合いを始めたり…

呼子ちゃんと独身中年男性が鬼太郎を取り合う図

あまりのしつこさに呼子ちゃんによる平手打ちが繰り出されたりしながら…

「ビビビビビ」ってやりたいだけの茶番

旅は続きます。

(安心してください、編集長。この『鬼太郎のぬいぐるみ』も、東急ハンズ「目玉のおやじのふしぎ教室」でゲットすることができるのですから!)

イベント情報

東急ハンズ ゲゲゲのハンズ「目玉おやじのふしぎ教室」開校!

期間2016年7月16日(土)〜8月24日(水)
場所東急ハンズ全店(名古屋店・名古屋ANNEX店を除く)
内容「妖怪のふしぎ」「宇宙のふしぎ」「実験のふしぎ」「工作のふしぎ」の4つのテーマで展開
イベントアプリを使用した「妖怪ポイントプレゼントキャンペーン」
東急ハンズの店舗内で妖怪を探す 「妖怪シルエットクイズ&スタンプラリー」
「ゲゲゲのハンズカフェ」限定メニュー
ゲゲゲのハンズ特製のオリジナルグッズ

【「ゲゲゲのハンズカフェ」開催店舗】
ハンズカフェ全国12店舗(渋谷店・東急プラザ表参道原宿店・ハンズエキスポ東急プラザ銀座店・エトモ中央林間店・ウィング川崎店・コクーンシティ店・もりのみやキューズモール店・梅田店・ピオレ明石店・広島店・福岡パルコ店・アミュプラザ鹿児島店)
※那覇メインプレイス店では開催いたしません。

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イベント情報

「妖怪手づくり参加型イベント」

日程7月16日(土)~8月24日(水)※土日祝開催
実施店舗東急ハンズ全店(名古屋店・名古屋ANNEX店を除く)
開催時間12時~16時
開始時間4回の実施の場合 12時~/13時~/14時~/15時~
妖怪万華鏡をつくろう!7月23(土)・24(日)1日1回 / WEB予約必要
白黒なのに色が見える妖怪ゴマをつくろう!7月30日(土)・31(日)/ 当日受付
妖怪が動く不思議な回転盤をつくろう!8月6日(土)・7日(日)1日4回 / WEB予約必要
絵柄が変わる妖怪六角パズルをつくろう!8月11日(木・祝)/ 当日受付
暗闇で光る妖怪レジンアクセサリーをつくろう!8月13日(土)・14(日)1日1回 / WEB予約必要


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