水木しげる妖怪画の原点となる絵とは?

賽の河原や極楽浄土が描かれている『六道絵 地獄極楽絵図』。女中をしていた“のんのんばあ”に連れられて、この絵を見ていたという幼少期の水木先生

水木しげるロードを堪能した後は、「巨嶽山 正福寺」で、水木しげる先生の妖怪画の原点とされる『六道絵 地獄極楽絵図』を観に来ました。

“六道”とは「天道」「人間道」「修羅道」「畜生道」「餓鬼道」「地獄道」という6つの世界のことで、この絵を見て水木先生は「別の世界の存在を知った」とされています。正福寺では『六道絵』を前にして法話を行っており、「悪いことをしたら地獄に堕ちる」といった話などに水木先生は妖怪のインスピレーションを受けたのではないか、とのこと。

現在、この『六道絵』は境港市指定文化財となっており、「これは水木先生のおかげ」と住職は言います。正福寺は武良家(水木先生の本名は武良茂)の菩提寺であり、まさに水木先生のルーツともいえる場所なのです。

謎の人気グッズ『目玉おやじ ピタミン』

目玉のおやじを思う存分に潰したりすることが出来てしまうのです!(鬼太郎が聞いたら、怒りそうですが)

さて、さらなる道中で気になるグッズとして購入したのが、『目玉おやじ ピタミン』(480円+税)です。ネット通販では品切れとなるほど人気を博しているというこのグッズは、投げたり潰したりしてもすぐに元に戻るストレス解消グッズ「ピタミン」と目玉のおやじのコラボレーション。 これを… こうして… ご覧のとおり、 呼子ちゃんも我を忘れて、この日一番の笑顔。ちょっとだけ、怖い妖怪に近づけたかもしれません……。

勘の良い方はもうお察しでしょう…この人気グッズ・ピタミンも、「目玉のおやじのふしぎ教室」で展開されています!

水木しげるを妖怪に目覚めさせた“のんのんばあ”を訪ねて

“のんのんばあ”の出身地・諸喰。境港市から境水道を超えて島根県の山深くにある、日本海に面した20軒前後の集落。奥に見える島は、その形から「くじら島」と呼ばれているとか

いよいよ旅も終盤。水木先生を正福寺へ連れて行き、不思議な言い伝えや妖怪について話して聞かせ、水木先生を妖怪に目覚めさせたと言われる“のんのんばあ”の故郷・諸喰を訪ねてみました。平地が続く米子周辺とは違い、まさに“妖怪が出そうな”山道を奥へ奥へと進んでいくこととなります。

そうして、辿り着いた諸喰には「のんのんばあ 景山フサ 出身地」という木碑が建っています。

石倉さんらが建立した「のんのんばあ 出身地」の木碑。石倉さんの土地を提供している

この木碑、諸喰に住む石倉久夫さんらが建てたものだそうで、集落の方々に事情を話したところ、その石倉さんに引き合わせてくれました。

とても仲の良い石倉ご夫妻。お話をうかがっているときもお二人の掛け合いに思わず笑顔

“のんのんばあ”が諸喰出身ということで興味を惹かれた石倉さんは、当時その出自が明確にされていなかった“のんのんばあ”の調査を開始。専門家の協力などを得ながら、“のんのんばあ”が景山フサであることを同定したのです。その後、水木先生に手紙で許可を得て、諸喰の自身の土地にのんのんばあの木碑を建立することを決めたと言います。水木先生に影響与えたのんのんばあもまた、多くの人を惹きつけているのです。

石倉さんがまとめた資料や、自筆の水木先生と交流の回想記

港に面した水木しげるの生家で妖怪道中を振り返る

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水木先生の生家。反対を向くと、境水道と島根の山並みを望むことができる

水木先生のルーツを探る旅の行程として、最後に訪れたのは水木先生の生家。こちらは「水木しげるロード」から少し歩いたところにあり、現在は「水木プロダクション 中国支部」という看板が掲げられ、目の前には境水道に面した港が広がっています。

旅の終着点で黄昏れる鬼太郎。水木先生のルーツをめぐる旅をへて、万感の思いが募ったのかもしれません

今回の旅を通じて筆者が感じたのは、水木先生がどれだけ多くの人から愛されてきたのか、ということ。水木先生のことを聞くと、全員が嬉しそうに水木先生とのエピソードを話してくれました。

水木先生と武良布枝夫人の水木しげる夫妻。『ゲゲゲの女房』テレビドラマ化を記念して建てられた

共通して挙がったのは、水木先生がどれだけユーモアにあふれて気さくな方だったかということ。どんなに恐ろしい妖怪でも、水木先生の手にかかればどこか愛嬌のある姿となっているのは、こうした水木先生の人柄があってこそのものなのだと、改めて感じました。鳥取をめぐる旅を通じて、水木先生や妖怪が老若男女に愛される理由がわかった気がします

そんなわけで、ぜひ興味がある人は一度鳥取の米子や境港を訪ねてみてください。もし、鳥取に行くのが難しいという方は、耳タコでしょうが、現在東急ハンズで開催中のゲゲゲのハンズ「目玉のおやじのふしぎ教室」を訪れ、妖怪グッズを手にとってみたり、妖怪手作りイベントに参加してみてはいかがでしょう。そこにいる愛嬌溢れる妖怪たちのバックグラウンドを知れば、もっと水木先生の残した妖怪文化の面白さに気づくことができるはずです。

そして編集長は山へ…

こうして旅の全工程を終え、取材班が境水道を前に黄昏れていると、呼子ちゃんが、鬼太郎のお尻の下にある何かを発見しました。

よく見ると、一反木綿の「いったんメモ」が置かれているじゃありませんか

なぜこんなところに、「目玉のおやじのふしぎ教室」でも販売されるという「いったんメモ」(400円+税)が……そう思いながら一反木綿を一枚めくると、そこには「本物の呼子を探しに行ってきます。新見(KAI-YOU.net編集長)」の文字。

謎の伝言

――逢魔が時を過ぎ、陽もとっぷり暮れた頃。鬱蒼と生い茂る山道の前に、なぜかとてもいい顔をしたKAI-YOU編集長の姿がありました。おかしかったのは最初からでしたが、彼もまた、この旅を通じて妖怪の魅力に取り憑かれていたようです。

「……」

本物の呼子を探しに行ってきます」という書き置きを残した彼は、その言葉通り、一人黙々と山道を登り始め、その姿は闇夜に溶けていき、いつしか見えなくなっていったのでした……。

イベント情報

東急ハンズ ゲゲゲのハンズ「目玉おやじのふしぎ教室」開校!

期間2016年7月16日(土)〜8月24日(水)
場所東急ハンズ全店(名古屋店・名古屋ANNEX店を除く)
内容「妖怪のふしぎ」「宇宙のふしぎ」「実験のふしぎ」「工作のふしぎ」の4つのテーマで展開
イベントアプリを使用した「妖怪ポイントプレゼントキャンペーン」
東急ハンズの店舗内で妖怪を探す 「妖怪シルエットクイズ&スタンプラリー」
「ゲゲゲのハンズカフェ」限定メニュー
ゲゲゲのハンズ特製のオリジナルグッズ

【「ゲゲゲのハンズカフェ」開催店舗】
ハンズカフェ全国12店舗(渋谷店・東急プラザ表参道原宿店・ハンズエキスポ東急プラザ銀座店・エトモ中央林間店・ウィング川崎店・コクーンシティ店・もりのみやキューズモール店・梅田店・ピオレ明石店・広島店・福岡パルコ店・アミュプラザ鹿児島店)
※那覇メインプレイス店では開催いたしません。

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