ヒートアップするライブにサイファー
CHARLES
ISH-ONE
沖縄出身、CHICO CARLITOさん。代表曲『C.H.I.C.O.』や『フリースタイル・ダンジョン 2016』を披露した。「選挙のことに関しては、みなさんが決めてくださいって感じで。俺も俺のことは俺が決めるし。だからみなさんも自分のことは自分で決めればいいんじゃないっすか」。#18歳選挙権 #TOHYO都 #TOHYOCYPHER ISH-ONEさんLIVE!!NEW MONEY!! pic.twitter.com/bf79X4MBK1
— 黄猿(Kizal)ミツ (@kizal_mitsu) 2016年6月4日
CHICO CARLITO
続く2本めのサイファーは、ACEさん、KEN THE 390さん、ISH-ONEさん、SALVADORさん、CHICO CARLITOさん。#18歳選挙権 #TOHYO都 #TOHYOCYPHER 新宿サイファー!
— 黄猿(Kizal)ミツ (@kizal_mitsu) 2016年6月4日
チコカリート!!LIVE!人気すげェ!盛り上げてるね! pic.twitter.com/WB63RFLDqO
左からSALVADOR、ACE、KEN THE 390、ISH-ONE、CHICO CARLITO
TOHYO CYPHER 楽しい pic.twitter.com/cHi89CTHpm
— 無能 (@4munou) 2016年6月4日
KissShotの『Dirt Boys』、ニガリの『ワンクリック詐欺』
KissShot
「肩をはたくホコリ払い」「苦しいものいらねー 中身とか見た目 何にも知らねー 綺麗だけど汚ねー」と『Dirt Boys』の歌詞を本歌取りしながら、「あの人本物、あいつは偽物 悪口NO,NO 奪えば俺のモノ!」と歌って自分のものにして見せた。
そして、同年代のニガリさんも参加して2人でライブ。KOHHに似てる似てるって言われるからやってやる。と、
— ぼ!!! a.k.a.BLBB'z (@bochan_blbbz426) 2016年6月4日
KissShot pic.twitter.com/Odq9UP2C0S
「公共の場なんですげー楽しいことをラップしに来ました」と、高3の時にAVを見ていて引っかかった体験を元にした『ワンクリック詐欺』を1バースだけ披露した。
一歩も譲らない2人にジャッジも割れ、延長の末、「おまえの方が上がってないテンション 韻の踏み方勉強 した方がいいぞじゃないとする説教」とパンチラインを放ったKissShotさんに軍配が上がった。
地元・新宿を背負ったACE
ACE
「ラッパーってのは、誰かに言わされんじゃなくて、自分の言いたいことを吐き続けるだけ。そういうもんだと俺は思ってるんで。やりたいことやれよ。人生だぜ、一度きりだぜ」と語りかけ、最後に『HALO』を披露した。
ライブをぶちかましたKEN THE 390が選挙について語る
KEN THE 390
「今日来てるみんな最高だと思うんで、俺らも最高の真っ向勝負で応えたいと思います」というMCから、ニガリさんとCHICO CARLITOさんに加え、出演者としては発表されていなかったKOPERUさんというフルメンバーを客演に迎えての人気曲『真っ向勝負』。
左からKOPERU、ニガリ、KEN THE 390、CHICO CARLITO
新有権者へのメッセージとして、「やっぱ僕は選挙行った方がいいと思ってるわけですよ。見た目の通りこういうキャラクターなんで、真面目なこと言いますと、どこに入れるとか自分で考えればいいと思う。極論、投票所に行って誰にするか決めるくらいのノリで行ったとしても、行かないよりはいいと思うんですよ。自分の生活の責任は自分で持たないといけないわけですから」と持論を展開した。
輪入道も最後は「選挙に行くわ!」
「一人じゃできないけどみんなひとり、これは即興ない仕込み」とKissShotさん。そして「不安なんかねーつまんなくたってあがればいいねこれは無料 響いとけよ俺のフロウ!」とまくし立てるDragon Oneさんに呼応して観客も思わずハンズアップ。
般若登場! 一番わりーやつは?
「東京UP! 東京UP! 誰がなんと言おうと東京UP!」と吠えながら、「TOHYO CYPHER」に現れた般若さん。
自身のレーベルに所属するSHINGO☆西成さんのREMIX『東京UP』終わりに「選挙いけよ?」と凄む。続けて『土足厳禁』で「安い平和と闘うか踊らされるかがオレ達の試練」と歌い上げる。
般若さんもまた、「僕のライブは第三者の厳しい目で判断してください」と、政治資金問題に揺れる舛添知事の発言をパロって時事ネタをブッ込む。
そして、7月に発売される『グランドスラム』から新曲もライブして、アツいフリースタイルもかました。
そして『ビートモクソモネェカラキキナ』という怒涛のパフォーマンスの最中、「よく考えろ 最高のイベントだけれども、一番わりーやつは東京都なんじゃねーか? ヒップホップはブレねーから大丈夫だぜ」とぶち上げる。
毎回、ライブが終わってステージを去ろうとするラッパーを引き留めて新有権者へのコメントを求めるくだりは完全に蛇足だと、あの場にした誰もが満場一致で思っていたことだろう。この日の出演者で唯一、般若さんはライブが終わると一瞬も振り返らずステージを後にした。
コメントを求める記者たちも「バイトがあるんで」と振り切って、いつかの「渋谷サイファー」の時のように、颯爽とスポーツバイクで走り去っていった。TOHYO CYPHER
— タカフミ (@banira_ice_1981) 2016年6月4日
般若降臨 pic.twitter.com/N5RMwzrQ7J
「TOHYO CYPHER」はヒップホップか?
日本国籍ではないACEさんは、選挙権がない。18歳で選挙権が得られることがうらやましいという思いもあるという。
「日本のヒップホップと東京都の組み合わせが異例っていうのが、冷静に考えるとそうなんだっけ? と思っちゃって。そもそも合わないって思うこと自体が俺らやみんなが勝手に思い込んでるだけ」。KEN THE 390さんは、ライブ後にこう答えてくれた。
一方で、行政と手を取り合ってヒップホップイベントを行う意義について聞いてみた。
曰く「新しく投票できるようになった世代に投票にいこうっていうことを伝えるにあたって、同じ目線からのラップを通じて、この国の未来、指導者を自分で選ぶ責任や意義を少しでも伝えられれば。ひいては、それが自分たちの子孫にまで続いていくことになるので、それを考え始める第一歩になってくれるのであれば、こんな光栄なことはない」。
ネット上での「こんなのヒップホップじゃない」という批判については、「自分のやりたいことをやって、メッセージをラップで若い層に伝えるのがヒップホップです」とUZIさん。
「この場に、言いたくないのに言わされているやつは一人もいない。都の売名行為に加担した、リアルじゃないっていう意見もあるかもしれないんですけど、俺にとっては、MCたちにとっては、今日この場でラップをやったってことがリアルなので、誰も後悔してない。誰も媚びてねーし、胸を張って誇りをもってすべての発言をした。だから、僕にとっては、これが僕のヒップホップです」。
今回のヒップホップイベントにあたっては、迷っている若者たちの背中を押してあげたいという思いから、言葉を紡いで伝えようとするラッパーに協力を仰いだ、という思いがその背景にあるという。
押し付けがましい瞬間がなかったとは言えない。切実さの度合いもラッパーそれぞれで当然異なっていた。
選挙に行くことの意義を本気で説いたラッパーもいれば、「東京都主催、しかもアルタ前でヒップホップできてすげーじゃん」と手放しで喜んでいるように見えたラッパーもいて、「選挙にいこう」「投票しよう」と軽々しく口にしたくないという気持ちを隠さないラッパーもいた。
ただ、リアルかどうかで言えば、それぞれのバックボーンを背負ってラップにメッセージを託した全員がリアルだったように、筆者には思えた。
「ヒップホップ」自体、今、過渡期の真っ只中にあるのではないか。
カウンターカルチャーだったヒップホップをライフスタイルとして貫こうとする人や、自分のメッセージを伝えるための音楽ジャンルとしてヒップホップを広めようと努める人。
立場は違えどラッパーはみんな多かれ少なかれ、「高校生RAP選手権」「フリースタイルダンジョン」からはじまったバトルムーブメントの波に晒され続けている。
現に、ヒップホップイベントの客層であれば間違いなく熱狂が起こっただろうKissShotさんの『Dirt Boys』使いのライブやISH-ONEさんの『NEW MONEY』が披露されても、あまりに盛り上がりに欠ける肩透かしな場面も数多くあった。近年、バトル主体のイベントではよく見かける光景だが。
しかし、全体で見れば、本来的な意味での「ヒップホップ」に愛着を持っているヘッズが懐疑的な目を向ける一方、昨今のバトルブームから興味を持ち始めた新規のファンは、豪華な面子によるバトルにサイファー、ライブをそれも無料で観覧できるこのイベントを心から楽しんでいるようだった。
行政とヒップホップ、古参ファンと新規ファン。複数の文脈が混じり合って奇妙な形で同居していた「TOHYO CYPHER」初日は、こうして幕を閉じた。

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イベント情報
TOHYO CYPHER(終了)
- 開催日程
- 2016年6月4日 13:00~17:30(予定)
- 2016年6月5日 13:00~17:30(予定)
- 場所
- 新宿ステーションスクエア(JR新宿駅東口駅前)
■進行
UZI
■出演MC
〈6月4日(土)/5日(日)〉
ISH-ONE・UZI・ACE・Kiss Shot・SALVADOR・CHARLES・CHICO CARLITO・
Dragon One・MC ニガリa.k.a赤い稲妻・PONY・LEON a.k.a 獅子・輪入道 他
〈6月4日(土)のみ〉
KEN THE 390・般若 他
〈6月5日(日)のみ〉
サイプレス上野とロベルト吉野・S7ICK CHICKs・TAKARABUNE・
鎮座DOPENESS・DOTAMA・Mary Jane 他
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