50代男性・氷川竜介さん(アニメ・特撮研究家)
今回の調査ラストにお話を聞いたのは、50代。50代といえば、第1作目からリアルタイムで観ていてもおかしくない年代です。その代表として、なんとアニメ・特撮研究家の氷川竜介さんにお越しいただきました! 氷川さんは、「スター・ウォーズ」をどのように捉えているのでしょうか?
本物のフィルムとは別の「脳内スターウォーズ」!
氷川さん 「第1作の公開時は、ちょうど20歳でした。当時、雑誌発表された邦題候補が『惑星大戦争』だったのを覚えています。結局『スター・ウォーズ』に統一されましたけど。SF作家の方々が、日本より公開が1年早かったアメリカに観に行き、その自慢話を聞いた僕らは本物のフィルムとは別に「脳内スター・ウォーズ」をつくってしまったんですね。ネタはあるけど実体がないから。『スター・ウォーズ』は、想像力を刺激する格好の材料でした」
当時から話題になっていたんですね。
氷川さん 「『スター・ウォーズ』公開に先んじた日本の特撮映画はどこか伝統芸能っぽくて、むしろアニメが頑張っていた時期です。『宇宙戦艦ヤマト』が映画化されて大ヒットして、時代が変わるような雰囲気もあった。
『スター・ウォーズ』はコンピューター制御をとりいれ、模型にも汚しを入念に入れて、絞りこんでディテールを見せるなど、明らかに映像のリアルさが違ったんです」
やはりビジュアルが凄かった?
氷川さん 「それですべてが変わったと思います。大人が特撮ヒーロー番組を観てる今と違い、当時は仮面だけで子供だましだと馬鹿にされる時代です。そして、映画とはスターを観に行くものでした。その風潮を打ち破り、リアルな特撮で描かれるキャラクターや映像に大人も楽しめる価値があると示したんです。そこが『スター・ウォーズ』の一番の功績で、国内外を含め以後の作品に影響をあたえました」
ダサいイメージを覆して、大人も楽しめるようにしたと。技術的な凄さもありましたか?
氷川さん 「元ネタは意外に古いんですが、見せ方や切り口を新しくしています。ストーム・トルーパーもいわゆる戦闘員ですが、硬質のFRP(繊維強化プラスチック)でデザインが良いし。ドッグファイト(戦闘機による格闘戦)でも、照準がなかなか定まらず、敵機がセンターロックされると射撃可能になるとか、ディテールの『らしさ』の積みかさねですよね。大人が知恵を使ってきちんと映像をつくろうという意欲が多くの人の心を打ったのだと思います」
50代は乗り物が大好き!
50代の方々は『宇宙戦艦ヤマト』世代ですが、やはり乗り物や宇宙船に憧れるものなのでしょうか?氷川さん 「『ヤマト』は高校生の時の作品ですから、むしろ小学生時代の『サンダーバード』、『ウルトラセブン』、『マイティジャック』といった一連のスーパーメカの特撮で、乗り物に対する憧れとリアリティが響いたという世代です。」
「スター・ウォーズ」で、特に好きな乗り物ってありますか?
氷川さん 「『6』に出てくるスピーダーバイクが森を滑空して戦闘するところは大好きで、何度も観ました。メカとして好きなのはスター・デストロイヤー。紙飛行機みたいなシンプルなデザインなのに巨大感があっていいですよね。ミレニアム・ファルコン号も、本物と同じぐらい汚し塗装がこってり入ってる模型が安く手に入ればほしいです(笑)」
ライトセーバーは発明!
氷川さん 「ライトセーバーは『スター・ウォーズ』最大の発明だと思います。光線銃は効果音が『ZAP!ZAP!』って聞こえるザップガンという定番のアイテムの延長ですが。ルーカス監督は黒澤明のファンで、チャンバラがやりたかったときに、日本刀ではなく光線の剣を発明したわけです。このガジェットは、完全に『スター・ウォーズ』以前以後を象徴するものと言えます。何と言っても翌年の『機動戦士ガンダム』にも大影響を与えるほどですから」
「スター・ウォーズ」が与えた影響ってすごいんですね!
氷川さん 「フィクションのつくり方に関しても、一つの世界観や歴史観をまるごと生み出す手法として、かなりの広範囲に影響を与えていると思います。
そもそも、いまその場で起きている架空の事件を映し、人物の反応を描くのが普通の映画の作法でしたが、『スター・ウォーズ』は世界そのものを描いています。大きな歴史観を前提に、『既に何かが起きた後の世界』を想像力で描く。そこがクリエイターには刺激的だったはずです」
フィギュアを触ることで、その世界に旅立てる!
氷川さん 「本格的なグッズ展開にしても『スター・ウォーズ』が大きく拡大したものと言っていいんじゃないかと。ジャワ族がいたりタスケン・レイダーがいたり、多種多様なキャラクターが100人以上も出てきてコレクション性がある。膨大な設定のある世界観を下敷きにしているだけに、本編で描かれるのはわずかな部分に過ぎない。フィギュアやトイが、背後にある巨大な物語を補完していく役割を果たしてきたように思います。一瞬しか出てこない酒場のキャラや、ルークを育てたおじさん、おばさんの焼死体までフィギュア化されたくらいですから(笑)」
では、最新のフィギュアに触れてみていかがですか? 氷川さん 「今のフィギュアは3Dスキャン技術を採り入れたためか、精度が高くなっていますね。成形技術も進歩していて、省略されていた部分も再現できています。
可動部分もギミックが増えています。動かして遊ぶだけでなく、大人が机の上に置いてもおかしくないフィギュアでしょう。それは、デザインが良くて世界観を背負っているからだと思います」
「スター・ウォーズ」フィギュアなら飾ってても恥ずかしくない?
氷川さん 「そうですね。たとえば画期的なことのひとつに、無彩色を多用していることがあります。戦闘機もほぼ白で、トルーパーは白いし、ダース・ベイダーは真っ黒。R2-D2の青もメタリックなコバルト系の上品な青で、子供っぽくならないよう、原色を極力避けているんです。そこも大人に訴求できる魅力の部分です。
フィギュアに触れることで、その世界に旅立てるという役割を果たす。その意味で、『スター・ウォーズ』のフィギュアと『ガンプラ』は双璧をなしています。お客さんがその歴史に参加してる感覚、そういう楽しみを玩具が強化する文化は、『スター・ウォーズ』以降の話ではないでしょうか」
では「スター・ウォーズ」は、今の若い世代にどう観られるのでしょうか?
氷川さん 「若い方に『AKIRA』とか『ドラゴンボール』を見せると、『これって普通ですよね』と言われるという話は、かなり衝撃的ですよね。影響が大きく拡がりすぎて当たり前になってしまうと、それを切り開いた元祖の驚異がわからなくなる。『スター・ウォーズ』がそうならないために、新作はありがたいし、実際に観てみないと分からないとは言え、今の若い方がどう楽しむのか、そこに興味はありますね」
また新たな3部作で、新しい表現を切り開いて、若い人に受け入れられることになるのでしょうか? 『3』で号泣した筆者としても、とても楽しみです。
50代の意見まとめ
・日本上陸前から、期待値が上がりまくっていた初代「スター・ウォーズ」!・特撮は子供騙しというイメージを覆した作品だった!
・乗り物(スーパーメカ)に対する憧れ!
・ライトセーバーは偉大な発明!
・壮大な歴史を背景に、その一部の物語を描く新機軸を打ち出した!
・映像とフィギュア・グッズが、世界観を補完しあっていた!
・飾っても恥ずかしくない、数少ないフィギュアだった!
箱から出して遊び倒すもよし! そのまま飾るもよし!
今回の調査では、氷川さん以外、無作為に声をかけたのですが、世代によってさまざまな「スター・ウォーズ」感が垣間見え、それぞれ好きなポイントも違っているようでした。簡単にまとめますと
10代から50代まで「スター・ウォーズ」について話を聞いてみて
・世代を越えて愛されてる!・なんだかんだ新作公開は楽しみ!
・ライトセーバーは偉大!
そして……
・実際に触ってると、やっぱりほしくなっちゃうよねフィギュア!
今回みなさんが手にとって遊んでいた、塗装と可動にこだわわれたフィギュア「ブラックシリーズ」は、「スター・ウォーズ」フィギュアを昔から取り扱ってきたタカラトミーからすでに発売中!
ブリスターパッケージがおしゃれなベーシックフィギュアが各1,200円。28箇所の可動ポイントでポーズを再現できる6インチフィギュアは各3,000円となっています。
最新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の公開に先駆けて、フィギュアで「スター・ウォーズ」の世界をいち早く体感してみてはいかがでしょうか?
現場からは以上です。
(C)&TM Lucasfilm Ltd.
(R)and/or TM & (C) 2015 HASBRO.
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:2898)
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