「AI対策は『Oneup』が1番」作品を守る独自のシステム

これまでAIの開発・学習に使われてきた作品たちを守るために、“独自のシステムで人の手による保存、ツールによる画像の大量保存を防ぐ”と喧伝している「Oneup」。

具体的にはどのような仕組みが用意されているのだろうか?

「まず、スマホだったら長押し、パソコンだったら右クリックで画像の保存ができますが、これに関しては完全にできないようになっています。


また、AIによる学習の対策方法として、アメリカ・シカゴ大学の学術研究グループが開発した「Glaze」や上海交通大学の研究チームが開発した「Mist」のように、画像に特殊な加工を施して学習されづらくするというものがあるんですが、それとは異なった対策をとっています」(春山さん)

米シカゴ大学で開発された生成AIの学習・模倣の対策ツール「Glaze」

「画像データの構成はピクセルの集合体です。『Oneup』では、ピクセル1つ1つに加工を施すことで、別のデータを紛れ込ませた画像データをつくりあげています。そのため、画像生成AIは正確に学習できません」(春山さん)

加えて、「Oneup」にアップロードされた画像は意図的に画質を下げているため、万が一スクリーンショットで保存されたとしても、生成AIの学習元にするには精度が低いデータとなる。もちろん、スクレイピングに対する対策も万全だ。

「Oneup」の生成AIの学習対策

「たとえば、従来のSNSやプラットフォームに画像をアップロードすると、そのデータはオリジナルのままサーバーに保存されます。

スクレイピングというのは基本的に、アップロードされているデータを直接収集します。前提として、スクレイピングそのものを根本的に防ぐことはできません。悪意のあるユーザーには、結局その対策を突破されてしまいます。

しかし『Oneup』の場合、サーバーに保存されている画像データが、複雑に暗号化されています」(春山さん)

【通常のSNSやプラットフォームの場合】「https://dummy.oneup.tokyo/image/logo.jpeg」という画像URLがあった場合、このURLにアクセスすると、画像が表示される。

【「Oneup」の場合】
「https://dummy.oneup.tokyo/image/abcdefghijklmno12345677890.gaal」という画像URLがあった場合、このURLにアクセスすると、以下のような文字列が表示される。

"+XSzmWlrB8rMYtC8fak+6TMPjkAhTrzkt7h7sLd5f4NngcRHSKMfz2gfy8LsxM1AZyv/VLAjqfJ6hyoYgqFXsJJCrV2GDzxs4aw0NCiA7CIwRkGrP+2t4Hur92bSUl89u87KFF【....以下文字列が続く】"

「また、画像データのURLを難読化し、更にアクセスできる有効期限を設定し、スクレイピング自体もされにくくしています」(春山さん)

つまり、直接データを取得しても、暗号化されているため、解析には多大な時間を要する。

通常の画像データなら一瞬で終わる解析に膨大な時間がかかるとあっては、従来のように無差別にスクレイピングするデータセットの作成は非効率なものとなる。

「学習に必要なコストが異常にかかるようになるので、機械的な学習への対抗策になると考えています。他にも対策は実施してあるんですが、全てをオープンに言ってしまうとせっかくの防衛に穴をあけてしまうので言うことはできません。

ただ、『Oneup』が一番AI学習対策ができている自負はありますので、安心して使ってもらえると思います」(春山さん)

AIによる学習からクリエイターと作品を守る。強い意志の元に運営される「Oneup」には、それに相応しい堅牢さが備わっている。

AIによる学習と人間による学習を隔てるもの

昨今、生成AIを巡る議論の中で、自分の作風が模倣されることへの嫌悪感・忌避感を示す意見に対し、「既存の作品から無断で学習しているという点では、人間も生成AIも変わらないのではないか」といった反論がしばしば上がる。この主張について、春山さんはどう考えているのだろうか。

「学習・模倣すること自体は問題ないと思います。基本的に創作は、模倣からはじまるものですしね。でも、そうした人間の学習は、機械学習のように一日一夜でできるものとは違うじゃないですか。

優れた作品から学ぶといっても、それをものにするには相応の時間がかかります。同じ模倣だと言う人は、そこの部分を理解していないと思うんです。生成AIによるジェネレートは、その作品をつくれるようになるまでのクリエイターの人生の積み重ねを踏み躙っています」(春山さん)


しかし同時に、生成AIの導入・発展を推進していこうとしている立場の人たちの主張も、理解する部分はあるという。

しかし、そこを焦点にすると、対立する二つの立場は永遠に相容れることはないというのが、現在の春山さんの考えだ。

「難しい話だし、決着はつかないと思います。ただ、クリエイター側が生成AIから自分たちのテリトリーを守るのに躍起になるのは至極真っ当な反応です。

自分で0から1を創造した作品は、いわば子どものようなもので創り出すたびに連れ去られている感覚ではないでしょうか。」(春山さん)

一方春山さんは、生成AIを巡る現状について、クリエイター側の行動にも問題があると警鐘を鳴らす。スクレイピングが横行している現在のインターネット上に作品をアップロードすることは、生成AIに学習してくださいと言っているようなもの、という指摘だ。

では、自衛の手段として、一切インターネット上で作品を発表しなければいいのか──それは現実的な手段ではないだろう。

「現代のクリエイターの多くは、SNSやプラットフォームを通じてファンを獲得しています。いきなりインターネット上で作品を発表しなくなったら、そのファンを失いかねない。だから、無断で学習されてしまうかもしれないというリスクを考えても、今は作品を投稿し続けるしかない。そう考えている人が多いんじゃないでしょうか」(春山さん)

このままでは生成AIに搾取され続けることは理解しつつも、歯を食いしばって耐えざるを得ない。そうした苦境に立つクリエイターたちを守るために、新たなSNSをつくる必要があった。

「Oneup」のタイムライン(イメージ図)

「現代では、イラストレーターをはじめとしたクリエイターも、インフルエンサーのように扱われるようになっていますよね。

絵の上手さだけではなく、有名な人ほど仕事の単価があがる。だからこそ、単なる作品発表の場所としてだけでなく、有名になる場としてSNSが必要なんです。

また、同じクリエイター同士やファンの人たちと直接交流する中で生まれる刺激があって、それが成長に繋がることもあると思うんです。だから『Oneup』は単なる作品を上げるプラットフォームではなく、SNSサービスにしました」(春山さん)

1
2
3

この記事どう思う?

関連キーフレーズ

プロフィール

春山了平

春山了平

「Oneup」運営代表

合同会社Nols代表。2024年3月、AI学習からクリエイターを守るSNS「Oneup」をリリース。

2件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。

コメントは削除されました

削除されました

ARKHAM

ARKHAM

そのシャツ、海賊版だよね。
公式からはそんなグッズ出ていないんですが。

piamarin68

p68i

作成した画像をAI学習から守ってくださるという点に関しては非常に有難いSNSだと思っております。
ですがこの「Oneup」というSNSで、AI作品投稿を規制するなら二次創作も規制するべきではないでしょうか。
二次創作も立派な他者作品の盗用であり著作権侵害物ですから。
こちらのSNSでは是非、筋を通していただきたいです。