霧雨魔理沙、Wikipediaからの削除を回避 驚異の加筆量でメインページにも掲載

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霧雨魔理沙、Wikipediaからの削除を回避 驚異の加筆量でメインページにも掲載
霧雨魔理沙、Wikipediaからの削除を回避 驚異の加筆量でメインページにも掲載

霧雨魔理沙/画像は東方Project 25年記念サイトより

日本語版ウィキペディア(Wikipedia)で2022年12月30日に提出された、記事「霧雨魔理沙」(外部リンク)の削除依頼。

霧雨魔理沙がWikipediaから削除される日 ファンカルチャーとの最悪な相性」というコラムでも取り上げた本件ですが、結局のところ該当記事は存続されることになりました。

それどころか大幅に加筆され、日本語版ウィキペディアのトップページにも掲載。削除の瀬戸際にあった記事がここまで盛り返したのです。

前述したコラムには「ファン文化と相性が悪いのではなく、記事にするためにはルールの理解と狂気的な熱意が必要なだけ」という指摘が寄せられていたのですが、このコメントはどこか否定し難い部分があります。

削除依頼を出された「霧雨魔理沙」記事が大幅加筆

前述したコラムが公開された時点で、すでに「霧雨魔理沙」の記事がウィキペディアから削除されないこと自体は、すでに確定していました。

議論の結果、記事の削除は避け、リダイレクト化を検討する、という結論が出ていました。

しかしその後、該当記事には大きな動きがありました。大幅に加筆が加えられたのです。

大幅に加筆が加えられたウィキペディア「霧雨魔理沙」の記事のスクリーンショット

具体的には、削除依頼が出された時点で16,804バイトだったのが、執筆現在66,101バイトと、約5万バイト分増えました。「一次資料」(※)ばかりだった記事に、大量の「二次資料」が追加されました。

(※)一次資料:ある事象について、それに深くかかわった人がつくった資料(外部リンク)。「霧雨魔理沙」の場合は、原作であるサークル・上海アリス幻樂団や主宰のZUNさんのかかわったゲームや出版物などが該当する。該当記事は、「記事内容の大半が一次出典(原文ママ)」であることなどを理由に削除依頼が提出された。その詳細や経緯については、前述したコラムを参照されたい。

ウィキペディアで一次資料を使う方法

大量に「二次資料」が追加された「霧雨魔理沙」の記事。しかし、一部には「一次資料」も使われています。これらは問題ないのでしょうか?

実は、「一次資料」を出典に使えるケースも存在しています。その分かれ目は、独自の分析や考察を追加していないかどうかです。ウィキペディアのガイドラインには、次のように明記されています。

ウィキペディアにおいて一次資料を使用してよいのは、事実について率直な記述を行う場合のみであり、特殊な知識を持たない、普通の教育を受けた人が、その資料を参照して検証できる場合に限られます。 日本語版ウィキペディア「Wikipedia:独自研究は載せない」2023年4月12日 01:09(UTC) (CC BY-SA 4.0)

例えば、勝海舟の日記は「一次資料」です。日記に「○月×日、土佐の志士が会いに来た」と書いてあったとして、「○月×日、坂本龍馬と会う」とウィキペディアに書いてはいけません。出典にない、独自の分析が加わっているためです。

しかし、著名な歴史研究家が、その著書の中で、「『○月×日、土佐の志士が会いに来た』と日記にあり、これは坂本龍馬のことである」と述べていたら、「A氏は著書の中で、この人物は坂本竜馬である、としている」などの形で、ウィキペディアに書いてもよいのです。解釈を加えたのが著名な歴史研究家だからです。

「一次資料」を使って良い場面は限られています。例えば(にじさんじ所属・壱百満天原サロメさんの苗字である)壱百満天原の読み仮名に出典を付ける場合などです。こちらは一次資料を出典にしても、さほど問題ありません。

なぜなら、事実についての率直な記述だからです。加えて、大抵の人が出典元にあたれば確かめることができるからです(もちろん「二次資料」があれば「二次資料」がベターです)。

「霧雨魔理沙」の記事の場合は、ZUNさんおよび上海アリス幻樂団の携わった「一次資料」が出典に使われていますが、少なくとも私が見た限りでは、なるべく独自研究にならぬよう気を付けられているようです。

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