Web小説で知られる「ノベルピア」のWebコミックサービスとは?

──Web小説サイトの「ノベルピア」がWebコミックサービスをスタートしたことには驚きました。立ち上げはどのように行われたのでしょうか?

Webコミックサービスの立ち上げは、5月から始まったものでした。韓国版では元からWEBTOONを掲載していたんですが、日本版は作品が0の状態からのスタートで。70作品を連載本数の目標に設定していたので、プレッシャーはありました。

──オリジナル作品とは別に、作家さんがSNSに投稿されている見開きの作品を縦スクロールに編集して掲載したりもしています。SNSに投稿している見開き形式の作品をWEBTOONとして連載したいという持ち込みがあった場合、編集チームとしては何を重視しますか?

その作品が縦スクロールになっても面白そうかというのは、1つの大きな基準ですね

見開きの漫画の場合、コマの大小を使って、キャラクターの表情のちょっとした差を表現したり、ページが切り替わるタイミングで場面転換したりすることが多いと思います。

しかし、ページをめくるという動作を組み込んだ演出を行っている漫画は、そのまま縦スクロールに編集すると臨場感が失われてしまいます。

キャラクターが海に沈んでいく際の時間経過を、スクロールというユーザーの動作によって表現したシーン/画像は桃田百合若さんが連載する作品『BOX』より

ですので、実際にご寄稿いただく作家さんにチャレンジしていただきたいのは、ページめくりではなく、縦に画面をスクロールするという読者の動作を組み込んで、ワクワクさせられる演出です。

例えば黒の背景をずっとスクロールさせることで時間経過を表したり、走る動作にしてもスクロールに合わせて画面を縦断させることで速度感を出したりはWEBTOONならではの表現ですよね。

海の描写だったら、そのまま下にスクロールすると深く潜っていく。そういう縦にスクロールするという動きを組み込んだ演出が出てくると、他とは違う魅力が出てくるのかなと思います。

ただ、そういった演出はもちろん、連載中どの話から読んでもついていけることも重視しています。常に一定の面白さで読めるほのぼのとした日常ものやコメディも、「ノベルピア」に掲載する作品としては合ってるのかなとは思います。

実際、立ち上げ時に作家の皆さんと掲載を相談させてもらった際も、日常系とか、ユルく読めるコメディ作品を描かれる方にお声がけすることが多かったです。

──既存の横読み作品を投稿する場合、縦スクロールに編集する作業はどのように進めていますか?

基本的には作家さんにお願いする形で進行しています。

ただ、縦スクロールの作品に馴染みがない、やったことないという方に対しては、「ノベルピア」で作成した参考資料をお渡ししたりと、できる限りサポートも行っています。

どうしても自分で編集するのは難しいけど連載はしてみたい......という方には横読みの原稿をもらって、Webコミックチームが縦スクロールに編集しています。

編集部がぶっちゃける、今求めている作家像!

──「ノベルピア」では今、どういった作家さんを求めていますか?

編集チームでは今後も持ち込みの受け付け・作家さんへのお声がけを継続して、連載ラインナップをどんどん充実させていく予定です。どんな形でも連載に挑戦してみたいという人には、ぜひ一度、編集チームにご相談いただきたいですね。

韓国では、原作を元に様々なメディアで作品を横に展開していく「OSMU(ワンソースマルチユース)」の考え方が広まっていているんです。「ノベルピア」でも、小説を投稿している方が作画担当を探してきてコミカライズするという形式の作品も募集をしています。

──作品の募集要項を見ると曜日固定の連載形式になっていたり、キャラクター設定などの資料の提出を求めているのが印象的でした。

「ノベルピア」では基本、20話の連載を前提に作家さんと契約しています。

1話につき5ページ程度を想定しているので、1話、2話のあらすじやネームのみではこれから作品がどうなるのか見えないんです。なので、長期連載するにあたって今後どういった話になっていくのか、キャラクターはどういう属性を持っているのかを掲載の判断基準として設けています。

──そうした形式だと読者からしても、1話読んだだけでは評価が難しいと思うのですが、人気のある作品にはどのような傾向がありますか?

Webコミックサービスはまだ立ち上げから時間が経っていないので、パッと見てのわかりやすさが重要視される傾向にあります。

また、Webで掲載しているので、作家さんによる作品の宣伝がバズると、その伸びが作品の閲覧数に直結しているのも見て取れます。

現在、「ノベルピア」の作品で一番伸びているのは、表紙からも興味をそそられるお色気コメディ作品です

パッと表紙を見ただけでどういう作品かわかるし、中身も長期的に話が続いていくというより、オムニバス形式なので、どこから読んでも楽しめる作品が人気になっています。

漫画でもねらい目? 小説で読者の反応がいいジャンル

──小説部門でも作品に表紙があるのは前提で、クリックしたくなるルックを心がけてプラットフォームがつくられているように感じました。

「ノベルピア」の方針としても表紙は重要視していて、ランキングに乗るような人気になった作品に関しては、イラストを手配してその作家さんにお渡ししています。

頑張れば作品が豪華になっていくというのも、作家さんにとっては投稿の原動力になるはず。作家さんの努力に応えられるというのは、「ノベルピア」の強みだと思います。

──「ノベルピア」には、作品に対してコメントやいいねを付ける機能があります。そういった読者との交流も作家の原動力になると思いますが、編集チームではコメント欄のチェックはしていますか?

そうですね。人気の作品の傾向やどういう反響があるのかは、日々チェックしています。

小説でいうと、主人公がいじめっ子に復讐して成り上がっていくような作品では、復讐が達成される見せ場に「ざまぁ」とか「よくやった」「この場面を見たかった」みたいなコメントがよく投稿されていますね。

──小説部門ではどのような作品が人気でしょうか?

小説の人気ジャンルでいうと、他媒体と同様に、「ノベルピア」でも異世界系のファンタジー作品が人気です。

ただ、異世界系一辺倒ではなく、現代に転生してチート能力を授かるというような、現代を舞台にファンタジー要素をプラスした作品が、「ノベルピア」のランキング上位に入っている印象を受けます。

その他のジャンルでは、ダンジョン系作品、VTuberなどを題材にした配信系の作品が人気ですね。

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