誕生から5年を迎えた2018年、その挑戦の新たな1ページとして加わるのがオリジナル映画。10月5日から公開される『モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ』だ。 本作では主人公の高校生・カナタや、空から降ってきた謎の少女・ソラなど、個性に溢れたオリジナルキャラクターが多数登場。カナタとソラを中心に、王道的なボーイ・ミーツ・ガールが展開される。
物語やキャラクターの造形など、従来の『モンスト』では描かれにくい部分を、いかに映像として表現したのか。今回は、ゲームの立ち上げから企画として携わる1人・テルーマンさんに、インタビューを敢行。
これまでモンスターとしてゲームに登場したり、ユーザーにコラ画像をつくられたり、ゲーム側の人間でありユーザーとも距離が近い彼は、映画に対してどのように関わっているのか。率直な疑問をぶつけてみた。
文:エドワード長谷 取材・編集:恩田雄多 写真:稲垣謙一
映画とゲームで違和感なく成立するキャラクターデザインとは?
──テルーマンさんは『モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ』ではどのような立場で参加されたのでしょうか?テルーマン 基本的には監修としてゲームとアニメ映画をつなぐような役割を担当しています。ゲーム中のキャラクターがアニメ化されたときに「違和感のない登場の仕方をしているのか」「こういう物語だったらあのキャラクターを出したほうがユーザーに喜んでもらえるんじゃないか」など、キャラクター関連の造形や設定を中心に、ゲームの企画者の1人として監修させていただきました。
作品全体としては、『モンスト』は最大4人まで協力プレイができるので、「4」という数字は大事にしたいなと。だからこそ、映画でも主人公・カナタのパーティはソラ・トウヤ・ユウナの4人なんです。 テルーマン 映画のポスターにも書いてありますけど、その4人が「共に戦う。仲間を信じて。」。「共闘」は『モンスト』のゲームコンセプトのひとつなので、映画においても共通のテーマを込めたいと思いました。
──『ソラノカナタ』の大きな特徴のひとつ、カナタやソラといった映画オリジナルのキャラクターに関しては、どのような考えで監修したのでしょうか?
テルーマン 登場するオリジナルキャラクターたちは、映画公開後にゲームにも参戦します。そういう意味で、ゲームに登場しても違和感なく成立するキャラクターかどうかという点を意識していました。
──“映画でもゲームでも違和感のないキャラクター”について、具体的に教えてください。
テルーマン たとえばアニメの場合、武器や服装などの装飾をシンプルにしないと、実際に動かすときに難しさが生じてしまうことがあるんです。カナタたちを見ても、比較的、服装がシンプルですよね。 テルーマン ただ、ゲーム内でのビジュアルとしては、あまりにシンプル過ぎると情報量やインパクトが少なくなってしまって、間が持たない。だからこそ、衣装も派手にして飾り付けをしがち……なんですけどゴテゴテだとアニメでかっこいいアクションができなくなってしまうので。
特に意識したのはそのあたりの線引きです。デザインチームと話し合いながら、最終的には「カナタたちはまずアニメに登場するキャラクターだから、映画という物語の中で動けることを大前提として考える。ゲームに実装するときはポージングや魅せ方でカバーする」という話にまとまりました。
スタッフ間の議論で大きくデザインが変わった主人公・カナタ
──ゲームと映画、それぞれで重視するポイントが違うということですね。テルーマン 違いという意味ではキャラクターの等身もですね。『モンスト』の場合は全体的に等身が低めなんですよ。いわゆるデフォルメのような造形が多いので、ゲームのキャラをアニメに登場させるときの等身感が難しかったり、逆に等身の高いアニメのキャラをゲームに出すためにぎゅっと縮めると、また雰囲気が変わったりするんです。
映画では僕だけでなく、実際にゲームのキャラクターデザインを担当するスタッフも参加しているので、ゲームに登場したときのシルエットやキャラと武器の相性など、たくさんの議論を重ねました。
──議論の過程で、当初のデザインから大きく変わったキャラクターはいますか?
テルーマン やっぱり主人公のカナタですかね。彼は人間として登場しながらも、物語の中で徐々に変化していくキャラクターです。 テルーマン 最初のデザインでは、どう見てもただの人間である彼が、主人公という役を保ちながら変化していく過程が見えなかったんです。少なくとも変化後があるなら、どことなくそれを感じさせるデザインにしてほしい、そうしないと主人公としても成り立たないと、何度も議論したのを覚えています。
最終的には大きな変化を遂げるものの、カナタの雰囲気を残しつつ、ゲーム内で登場しても違和感を感じないデザインに仕上がっていると思います。 ──映画とゲーム、それぞれでキャラクターに出会ったときに、違和感を感じないようにする。それはもともと『モンスト』に登場しているキャラクターにも通じることですか?
テルーマン そうですね。既存の『モンスト』のキャラクター、つまりモンスターたちをアニメに登場させる場合も同様です。
映画のキービジュアルに描かれている坂本龍馬を例に挙げると、せっかく映画に登場するなら『モンスト』における坂本龍馬のイメージを的確に表現したい。「そんなキャラじゃないじゃん!」と思われないように、キャラクターとして守らなきゃいけない部分、口調や動き、戦い方などをアドバイスさせてもらいました。
ゲームの「緊張と緩和」をいかに映画に落とし込むか
──ゲームにおけるキャラクターの動きやセリフ限定的とはいえ、だからこそユーザーが抱くイメージもある。映画への登場にあたって、イメージをすり合わせるのは大変そうですね。テルーマン 『モンスト』ってボールのようなキャラクターが引っ張って弾かれて体当たりして…と、ゲームのデザインとしては非常にシンプルなんです。実際にモンスターがどうやって戦っているかはゲーム内では描かれないじゃないですか。
YouTubeでのアニメ配信がスタートした当初は、ゲームの『モンスト』としての面白さを忠実に再現しようとしていました。でも実際にアニメに落とし込んでみると、「これは僕らが表現したいことと違うんじゃないか?」と感じる場面もあったんです。 テルーマン それ以降、キャラクターたちのバトルをきちんと描くという方向にシフトしていきました。彼らも本当は剣を振ったり、でっかい魔法陣で魔法を使ったりしている。『ソラノカナタ』にも言えることですけど、「ゲームのキャラクターが実際に戦うなら、きっとこうやって戦うはず!」 という考えを、アニメのチームとも共有することで動きに躍動感が出てきました。
──ゲームを再現するのではなく、ゲームで感じているものをどうやってアニメに落とし込むか、ということですね。
テルーマン XFLAGのスローガンにも通じるんですけど、僕らが「モンスト」というコンテンツで提供したい価値に、「アドレナリン全開」「桁外れ」「バトルエンターテイメント」3つがあります。
『モンスト』をプレイ中に、勝つか負けるかハラハラしながら、緊張して…緊張して…敵を倒した瞬間にパッと気持ちが緩和されて、心地よさを感じる。。
それを映像として表現する場合も、「緊張と緩和」が起こる瞬間が大切だと思うんです。『ソラノカナタ』のバトルシーンでも、同様の体験を与えられるようなものに仕上げたいと考えていました。
バトルの迫力とハイクオリティな武器のギミック
──実際に完成した映像を見て、バトルシーンの迫力はいかがでしたか?テルーマン もうすごかったですね。制作された3DCGスタジオのオレンジさんはさすがだなと。個人的にお気に入りのシーンは、花嫁衣装のラゴラと戦う場面がめちゃめちゃスタイリッシュです! テルーマン トウヤの武器もすごくかっこよくて、トウヤが構えると、持っている剣の刃がパパパパパパッとひらくんですけど、見た瞬間「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」って(笑)。あの細かなギミックとそれに合わせたSE(効果音)は、男の子心をくすぐりますね。 テルーマン ちなみにゲームへの実装では、普段ストライクショットをつくっている人間が、トウヤの剣やユウナの銃のギミックを映像を参考にしながら時間をかけてデザインしています。映画を観たあとは、ぜひゲームでも注目してほしいです。
オリジナルキャラクター以外だと、カインや呂布など『モンスト』でいう「超絶 咎シリーズ」の5体が登場するシーンは印象的でした。特にカインは友情コンボのスターレーザーが映像で表現されていて、迫力はもちろん美しさもあって、感動しました。
──キャストについて、それぞれカナタとソラの声を担当した窪田正孝さんと広瀬アリスさんの印象を教えてください。
テルーマン まずはキャラクター役を引き受けてくれたこと自体が驚きでした(笑)。専門家ではない僕が言うのもおこがましいですけど、お二人の演技は想像以上でした。 テルーマン 広瀬さんは声に透明感があってソラにぴったりだなと。最初は少し冷たい態度ですけど、徐々にカナタに対する気持ちが変化していって、その過程を観ることで「なんてかわいい子なんだろう」と心をつかまれてしまう演技がとてもよかったと思います。
窪田さんは声優は初めてとうかがいましたが、演技に対する熱の込め方がはんぱじゃなかったですね。抑揚の付け方とか、思いっきり叫んだりするシーンは鳥肌モノでした。
『モンスト』の新たな挑戦としての『ソラノカナタ』
──『ソラノカナタ』は、5周年を迎えた『モンスト』にとってどのような位置づけになるのでしょうか?テルーマン 新しい挑戦のひとつ、ですね。というのも『モンスト』では各部署が常に様々な挑戦を考えているんですよ。振り返れば、僕らのようないわゆる中の人が生配信を行ったり、その中の人で真剣に曲をつくってiTunesで配信したり、「XFLAG PARK」というリアルイベントを開催したりと、『モンスト』という大きな枠の中で、いろいろなユーザーに楽しんでもらいたいというのは、今後も意識し続けていくことですね。
──テルーマンさん自身が、ゲームにモンスターとして登場したり、ゲームの関連情報を扱う生配信番組に出演して、ユーザーに直接伝えるというのも挑戦だったように思えます。当時は、運営側が前に出ること自体、まだまだ珍しかったのではないでしょうか?
テルーマン つくっている人間が顔を出すことで、ユーザーと近い距離でコミュニケーションをとっていこうと、立ち上げ当初から考えていたことです。僕自身、当時はまだまだ下っ端だったから出ただけなんですけど、昔からゲーム実況を観たり、プライベートで動画をつくって投稿したりしていたので、憧れみたいなものはあったかもしれません。
でも、情報をきちんと伝えるという意味では、人が顔を出して発信したほうがいいのかなと思いますね。デメリットよりもメリットを感じることが多いですよ。 ──SNSにコラ画像が投稿されていたりも……?
テルーマン そ、そうですね(笑)。コラ画像はよく開発チームのメンバーから共有されます。先日も新機能をリリースしたタイミングで、家の窓から身を乗り出した人の顔を僕に差し替えたものがつくられていました。
それくらい距離を近く感じてくれているならうれしいですね。ただ、僕が何をやっている人間かはあまり浸透してないみたいです。この間も会社見学に来た中学生に聞いたら「獣神化を発表する人…」って言われて……。
──それでも前に出ることでの責任感ややりがいを感じているんですよね?
テルーマン もちろんです。「いままで会話がなかったけど、『モンスト』をはじめてから、子供から(難しいクエストを攻略するために)早く帰ってきてと言われるようになった」とか、「『モンスト』がきっかけで結婚しました」とか。
そういう話をリアルなイベントの場で、ユーザーから直接聞くと嬉しいですし、身が引き締まります。デスクに座ってパソコンの前で作業してるだけじゃわからない。ネットの意見を見てるだけじゃわからないものですよね。
──そういった一連の挑戦の中にアニメがあり、今回の映画があるということですか?
テルーマン 2016年に始まったアニメは、人間のキャラクターにフォーカスしたシリーズを経て、現在は第3期として人間ではなく、ルシファーなどのモンスターが主人公をつとめるシリーズを配信中です。
『モンスト』という世界の表現の仕方は、この2年間で試行錯誤を重ねて、そのたびにユーザーを楽しませるための挑戦を続けてきたつもりです。映画『ソラノカナタ』は、人間のキャラクターが登場した第1期・第2期の13年後が舞台です。
はじまりは「人間たちがいるモンストアニメ」でありながら、物語が進むにつれてモンスターが中心に描かれていく。そういう意味では、アニメシリーズそれぞれの流れを汲みながら、「モンストアニメ」のいまにつながる作品と言えるかもしれません。 キャラクター原案・設定画をもっと見る
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