私たちは選ばれた人間じゃない──地下アイドル・仮面女子に密着取材

私たちは選ばれた人間じゃない

アリス十番 リーダーの桜のどかさん

左:アーマーガールズ リーダーの黒木ひなこさん 右:スチームガールズ リーダーの新矢皐月さん 公演直後の様子

公演の様子をご紹介する前に、まずは仮面女子の3グループのリーダーにインタビュー。結成から約1年以上が経過した現在の心境や、なぜそこまで頑張るのか、アイドルの魅力などについてうかがってきました。

──2013年春に結成されてから約1年以上が経過しましたが、現在の心境はいかがですか。

桜のどか(アリス十番) ここ1年でシドさんの10周年イベントの日本武道館のステージに立たせてもらったり、先日のZepp 東京でのワンマンライブでは、たくさんの方々に応援していただいて、私たちは本当に環境に恵まれていると実感しています。

新矢皐月(スチームガールズ) 仮面女子の結成当初は、後輩のアーマーガールズはまだ加入していなくて、アリス十番とスチームガールズの2組だったんです。

しかもスチームは、まだ結成されて数ヶ月しか経っていなくて、グループとして成り立ってなかった。だから十番に追いつくのに必死で、怒られたり、アドバイスをもらったり、色んなことを学んだ1年間でした。

黒木ひなこ(アーマーガールズ) アーマーガールズは結成と同時に、先に結成されていた仮面女子に加わったんですよ。しかもその時には5月のZepp 東京でのワンマンライブの開催が決まっていて、もう先週までワンマンライブのことで頭がいっぱいでした(笑)。

──毎日公演をやりながら、普段はどのくらい練習してるんですか?

桜のどか(アリス十番) 365日毎日、平日は2公演、休日は朝の公演も加わって3公演やっていて、1日の最後の公演が終わるのが、22時30分くらいです。

その後に終電が近くなるまで練習して、家に着くのが深夜1時過ぎになります。それでまた、朝7時に起きて「P.A.R.M.S.」に向かうという毎日を繰り返しています。

でも、この前のワンマンライブ前は、夜から翌日の朝までリハーサルをする日が続いて、そのまま帰宅する間もなく撮影のお仕事や公演をこなして、それでまた夜中はひたすらリハーサルをする日々を送っていました。

──何がそこまで頑張れる原動力になっているのでしょうか。

黒木ひなこ(アーマーガールズ) 多分ここにいるほとんどの女の子たちは、ほかのアイドルグループのオーディションに落ちた子たちだと思います。

私たちは言わばマイナスからのスタートで、実力もないし、可愛くもない、普通の女の子なんです。メジャーアイドルさんたちは、何千人何万人というオーディションの中から選ばれた人たちだと思うんですけど、私たちは選ばれた人間じゃない

だから、そんなマイナスの状態から練習や公演を重ねていく分、だんだんと雑草魂のようなものができあがってきて、たとえばCDリリースにしても、そこに懸ける思いが人一倍強くて、弱音を吐かず、頑張れるんだと思います。

桜のどか(アリス十番) お風呂に入れなくてもライブしたり、どれだけ忙しくて時間がなくてもアスリート並みに練習して動くんですよ。みんなマイナスからのスタートなだけに、それぞれの夢に懸ける思いは、ほかのアイドルさんよりも強いかもしれません。

新矢皐月(スチームガールズ) 私たちはファンの方との距離がすごく近いので、一人一人とたくさんのコミュニケーションが取れます。だからその応援がダイレクトに届いて、裏切れないという思いが強いというのもあります。

──そうやってもの凄く努力する一方で、地下アイドルというあまり聞き慣れない言葉から、現場に行きづらいと感じる方もいると思います。

桜のどか(アリス十番) 私もそう思います。でも、私たちは特別な存在ではないので、むしろ皆さんに近い存在です。

ライブにしても握手会にしても、会場に来てくれた人の心に届けられることを常に意識しているし、「仮面つけてるけどこいつら何なんだ」って思ったら、是非、一度劇場に遊びに来てほしいですね。

新矢皐月(スチームガールズ) 私は青森出身なんですけど、最初は地下アイドルという言葉も存在も知りませんでした。しかも結局地下アイドルはなんなのかわからないままアリスプロジェクトに入ったんですよ(笑)。

でも、今では本当に誰にも負けない気持ちで活動しているし、本当に毎日会えるアイドルなので、これはほかのアイドルさんにはない強みだと思います。

黒木ひなこ(アーマーガールズ) 地下アイドルの現場と聞くと、すごくコアな方たちがいっぱいいると思うかもしれません。

でも、全然そうじゃなくて、普通の会社員や学生が満面の笑みで盛り上がってくれて、もし私がアイドルになる前にこういう現場を知っていたら毎日通っていたんじゃないかというくらい、楽しい現場なんです。

たしかに異空間かもしれないけど、1度生で見ていただければ、きっと惹かれるものを提供できると思います。ネガティブなイメージだけで終わらせないでほしいです。

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