「体のパーツをタブーにしない」路地子として込めたもう一つのコンセプト

──ここからは、さえきやひろさんの生みの親であり、いわゆる“魂”でもあるイラストレーター・路地子さんにお話を聞いていきたいと思います。路地子さんの作風は非常に攻めたものが多い印象です。一方、今回のキャラクターを最初に見た際は、わかりやすく可愛らしい子が出てきたように感じました。

路地子 前提として、やひろは「小学生時代をやり直したい」というコンセプトから生まれた存在なので、そもそもエロは背負わせないようにしています。けれども、私自身はいまなお、根はすごいスケベ人間なんです(笑)。

実は今回の子にも、こっそりと自分の愛する要素を混ぜています。胸の部分がコックピットになっていて、“丸ごと存在していない”ところとかは特にそう。

だって、人間のエロさってそういう部分だけに宿るわけじゃなくて。「大丈夫です。私たちはおっぱいが無くても勝手にエロがれるので!」って言いたい。そうした「ないのもいいよね」という主張が、実は隠しコンセプトの一つになっています。

──そしてよりルーツの話になりますが、“身体のパーツ”にこだわりを持つ最大の理由はなんでしょうか?

路地子 生まれ持った体のパーツをタブー視したくないからです。体のパーツは全部可愛いんです。

いまは時流としてオープンにしにくいですけど、えっちな絵が描きたいわけじゃなく「体のパーツなんだから可愛いいじゃん!」「それがモチーフだから何!?」って主張したいだけなんですよ。

“自分でいる”より自由になれる──IRIAMで路地子がやってみたいVライバーとは

──路地子さんはいま、さえきやひろとしても活動していますが、もし仮に、IRIAMで「さえきやひろではない存在」としてバーチャル配信者になるなら、どんな姿で、どんなコンセプトで活動してみたいですか?

路地子 やひろちゃんは成仏できなかった小学生のころの私の魂が動いているものなので、基本的にはファンサービスをしていないんです。でも実はアイドル的なことにもちょっと憧れがあります……!

自分の性格上、そのままの状態で「みんな大好きだよー!」とは恥ずかしくて言えないんですが、だったらいっそ美少年、それこそ王子様になってみたいですね!

──王子様! 具体的にはどういう方向ですか!?

路地子 めちゃくちゃカッコつけたい……! 女の子向けのASMRを出したい……!

──!?

路地子 というのも、女子校に通っていた時期、後輩から懐かれたときにカッコつけたいなって欲求があったんですよね。そんな変身願望があって。キャラクター化しやすい、ちょうど良い塩梅にあるのが“王子様”なんじゃないかなと。

自分の好きなもので構成するのではなく、今の自分にないものを集めて、別の存在になることで引っ張ってもらうこともできると思うんです。

──「IRIAM」は「自分でいるより、自由になれる。」をコンセプトとしています。VTuber活動を通して、リアルの体やいろんなものを取り払った先で「自分でいるより自由になれる」と感じられたことはありますか?

路地子 そのコンセプトはかなりしっくりきますね。演じている要素はゼロではないけど、その存在として言っていることの全部が嘘かというと──全く違うじゃないですか。

自分だけども、自分ではない存在だから、普段は言えない本音を口に出せる。その言葉に共感を得られることも多いはずです。「この姿のおかげで素直に言えた」という体験ができる場があるのは、バーチャルな空間と人間との在り方としていいなと思っています。

自分を見出すことは、良くも悪くもなく、ただ楽しい

──自分の姿をイメージしていく中で「好きなものと同じぐらい嫌いなものも重要」というお話がありました。自分じゃない姿で活動していく中で、嫌いだったことが好きになったり、やれなかったことができるようになった経験はありますか?

路地子 たくさんあります。例えば、やひろの頭には骨が2つ乗っているんですが、これは一番嫌いな記憶の象徴です。小学生のときに給食が食べられなくて、ありえないほど痩せていたせいで「骨」「鶏ガラ」などと言われていたんです。

そして、それをやひろの頭に乗せたのは、嫌いなものを好きになって、自分のことを許したい、というモチベーションからでした。

路地子 今では、「骨」と言われても嫌だなと感じなくなりましたし、昔の自分も今の自分も含めて許せた感覚があります。

自分を好きになるためにはじめたことが、誰かが自身を好きになるきっかけにもなれたことがすごく嬉しいです。ダメだった自分がいたからこそ。好き/嫌いが真逆になっていくことは、この活動をはじめてから本当に多いなと思います

──最後に、今後「IRIAM」などでバーチャル配信活動をはじめたいなと思っている人に向けて、アドバイスがあればお願いします!

路地子 自分の良いところを探す、悪いところを潰す、好きなところを見せる……だけにこだわらなくてよくて。いろんな面からしみ出た“味”を混ぜていく。そうして「なりたい自分」をつくるのって、良い/悪いを超えて結局は楽しいんだと思います!

そして「この面には目を背けます」と決めるのもアリだと思います。そのためには、一度自分を見つめてみるのが大事です。

その上で「どうなりたいのか」「どんな世界に行きたいのか」「どう人と接したいのか」が見えてくると、バーチャルの世界や、その向こうにいる人たちとのコミュニケーションもまた違ったものになると思います。なので、まずは一回、自分を見つめてみましょう!!

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