貪欲な男 仲村宗悟 声優による本格アカペラ企画『アオペラ』で拓いた新境地

POPなポイントを3行で

  • 声優・仲村宗悟『アオペラ -aoppella!?-』インタビュー
  • 私立奏ヶ坂中学高等学校アカペラ部ボイパ担当・深海ふかみ役
  • 本格的なアカペラ歌唱に挑戦する「貪欲さ」
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アオペラ -aoppella!?-』は、声だけで変幻自在のハーモニーを生み出すアカペラに魅入られた少年たちによる青春アカペラコンテンツ。木村良平さんや小野友樹さんをはじめとした声優陣が参加し、オリジナル曲に加えJ-POPカバーなど本格的なアカペラ歌唱へ挑む。

プロジェクトスタートにあたり、都立音和高校アカペラ部と私立奏ヶ坂中学高等学校アカペラ部の11人のキャラクターとキャストが発表されており、色とりどりの個性を持つ少年たちがアカペラを通じて青春を謳歌する展開に期待が高まっている。
新規音楽原作プロジェクト『アオペラ』PV
今回は私立奏ヶ坂中学高等学校アカペラ部ボイパ担当・深海(しんかい)ふかみを演じる仲村宗悟さんにインタビューを実施。声優によるアカペラという新プロジェクトへ挑む意気込みを聞いた。

仲村宗悟さんは声優として26歳でデビュー。遅咲きとも言われるが、『アイドルマスター SideM』天道輝役を掴み取るなどチャンスを着実にモノにしていき、声優としても存在感を強めている。

音楽で食べていくために沖縄から上京、挫折を経て、声優を志す。異色のキャリアを辿る仲村さんが、声優という仕事にかける想い、「アカペラ」への挑戦で見出した声の表現の魅力とは。

取材・文:オグマフミヤ 編集:恩田雄多 撮影:寺内暁

【画像】仲村宗悟さん撮り下ろしカットをもっと見る

仲村宗悟が踏み込んだアカペラは「まったく違う世界」

──『アオペラ -aoppella!?-』は「青春」×「アカペラ」をテーマにしたプロジェクトです。仲村さんはもともとアカペラやボイパ(ボイスパーカッション)の経験があったとのことですが?

仲村宗悟(以下、仲村) 経験と呼べるほどのものじゃありません(笑)。中学生くらいの頃に「ハモネプ」がすごい流行っていて、おっくん(現おくむら政佳)さんの真似をするように、みんなとアカペラの真似事をやっていたことがあったんです。

本格的にやっていたというわけではなくて本当にお遊び程度。でも一時期、特技としてプロフィールに書いていたり、別の企画でダミーヘッドマイクの耳元でボイパをしたりしていて、それらを見てオファーをいただけたようです。本当にありがたいですね。

いざ参加してみると、めちゃくちゃ本格的なプロジェクトだったので、当然ながら見様見真似ではまったく通用しませんでした。なので先生をつけてもらって、しっかり練習を重ねてやっと少しずつできるようになってきたのですが、まだまだ難しいです。
【声優アカペラ】J-POPカバー「白日/Pretender」【アオペラMV】
──となると練習でもかなり苦労されたのでしょうか?

仲村 めちゃくちゃしました! というかしてますよ!! 最初はあまりにも苦労していたので、もっと簡単なパターンにすることもできるって提案していただいたんです。でも、せっかくなら難しくてもかっこよくやりたいと思って。今でも家でたくさん練習しています。

──同じ声を使う表現でも、普段の芝居や歌とは違う練習が必要だったんですね。

仲村 ボイパの場合は特にですが、歌を歌ったりセリフを喋ったりするのとでは、のどの使い方や息の吸い方が全く違うんです。声優なのに絵を描くくらい分野が離れたことをするイメージで、全く違う世界にチャレンジしている感覚があります。

ボイパ以外のパートだとベースも大変そうですね、担当している濱野大輝(猫屋敷由比役)も相当苦労しているんじゃないかな。でも今までやったことのないことだからこそ、できるようになったらかっこいいなという思いで挑戦しています。

未知への挑戦が生み出す熱意

──プロジェクトはスタートしたばかりですが、今感じる『アオペラ -aoppella!?-』の魅力や可能性はどのような部分にあると思いますか?

仲村 こだわりの強さは、デモ音源を聞かせていただいた段階からビシビシ感じていますね。「本当にこれを声優が歌うの?」ってくらいに本格的なアカペラの曲もあって驚くことも多いです。

声優との組み合わせという意味では、アカペラって本当にウケるのか未知数な部分も多いと思うんです、ここまで本格的に取り組んだコンテンツもなかったでしょうし。それでもスタッフを含め、関わる1人ひとりが可能性を信じて取り組んでいる──そんな熱量を実際に現場で感じています。

『アオペラ -aoppella!?-』キービジュアル

──近年、ラップやバンドなど既存の音楽カルチャーと声優をミックスさせるプロジェクトが増えています。そういった潮流を1人の声優としてどのように見ていますか?

仲村 声優が今までのイメージとは違うことでも、いろんなことに挑戦するのはいい流れだと思っています。エンターテインメントの流行は常に変わり続けていますし、同じように時代と共に変化していく声優という職業と、様々なカルチャーがミックスした企画が立ち上がっていくのも、自然な流れなのではないでしょうか。

僕自身は新しいことが好きですし、なんでも前向きに挑戦したいと思っていて、その気持ちは沖縄から上京してきた頃から変わっていません。今の声優を取り巻く状況が、僕の性格とマッチしているというのは言いすぎかもしれませんが、できる限りのことには取り組んでいきたいですね。

『アオペラ -aoppella!?-』で早くも絆を深めた人物

──仲村さんは私立奏ヶ坂中学高等学校アカペラ部のボイパ担当、深海ふかみを演じられています。ビジュアルや設定からはクールでミステリアスな印象も受けますが、仲村さんは現時点でキャラクターの魅力をどのように感じられていますか?

仲村 口数は多くないキャラクターですが、才能に溢れていて、ボイパ担当なのにどうやら歌もうまいらしくて、不思議で面白いですよね。これからの展開で活かされるのかもしれませんし、いろんな意味で今後が楽しみなキャラクターです。

「私立組のダークホース」なんて言われてもいますし、バトル系の作品だったらめちゃくちゃ強かったんだろうなって想像したりもしています(笑)。

仲村宗悟さん演じる深海ふかみ

──たしかに(笑)。これまでの制作期間で印象深いエピソードなどはありますか?

仲村 まだどうしてもチームで集まって活動できていないので、キャストのみなさんとの関係性はこれからより深めていきたいです。

ただ、ボイパの先生である渡邊崇文(INSPi)さんとの絆は確実に深まっています。言葉を交わすわけじゃなくて、ボイパを通じて気持ちが通うことがあるんだなって、レッスンや収録のたびに実感しているんです。 ──それだけ先生と濃密な時間を過ごされているんですね。

仲村 日々のレッスンも加えると、現状僕がボイパを披露する機会が一番多いのって先生の前なんです。

成長を常に見てもらっているからこそ、先生に「こいつ前よりできるようになってるな」って感心した顔をしてもらいたい。だから練習にも熱が入りますし、次に聞かせるときはもっと驚かせたいって気持ちがモチベーションにもなっています。

──仲村さんが演じる深海ふかみが所属する私立奏ヶ坂中学高等学校アカペラ部には、個性豊かなメンバーが揃っています。豊永利行さん演じる綾瀬光緒とは仲良しという設定もありますが、キャスト・キャラクターのの印象を教えてください。

仲村 まだみんなで集まって掛け合いとかはできていないので想像の段階なんですが、キャストに関しては、自分を加えていただけるのがありがたいと感じるほどに豪華だなと思いますね。一緒にお芝居するのが今から楽しみです。

豊永利行さん演じる綾瀬光緒

豊永さんは他の現場でもご一緒することが多いんですよね。気配りもすごくできるし朗らかな性格の方なので、周りの雰囲気すら明るくしてしまうんです。

本来は後輩である僕が気を使わないといけないのに、豊永さんのおかげで心地よくお仕事に臨めるので、ご一緒するたびに勉強になっていますね。

──仲村さんは声優だけでなく、アーティスト活動ではご自身で作詞・作曲も担当されています。『アオペラ -aoppella!?-』でもすでに楽曲制作に関わられていたり?

仲村 まだそういうお話はいただいてないです(笑)。でも、みんなで1からつくり上げていくコンテンツだからこそ、演じる以外の形でも関われたら面白いとは思います。

プロジェクトはスタートしたばかりで、ボイパや表現についても模索している最中ですが、僕ができることがあればなんでもやりたいです。今後の楽曲の展開も含め『アオペラ -aoppella!?-』の魅力をいろんな形でファンの方々に楽しんでもらえたら嬉しいです。

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プロフィール

仲村宗悟

仲村宗悟

声優/アーティスト

1988年7月28日生まれの沖縄県出身。 アクロスエンタテインメント所属。中学生の頃にギターにのめり込み、音楽の楽しさを知る。 高校卒業後、音楽の道を志し東京に上京。その後、友人の舞台を観劇したことがきっかけで 声優を目指すようになり、ゲーム『アイドルマスター SideM』の天道輝役に大抜擢される。その後も「TSUKIPRO THE ANIMATION」久我壱星役を担当するなど活躍中。2019年3月9日に第13回声優アワード新人男優賞を受賞。

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