Yun*chi インタビュー『アニ*ゆん』で繋いだみんなの表現

「映画のキャストを選ぶかのように」みんなでつくりあげた作品

──前回のインタビューでも「みんなでつくる」という部分に重きを置いているとおっしゃってましたね。

Yun*chiさん

Yun*chi:ええ。今作はアニメ音楽メディア『リスアニ!』編集長の西原さんと、秋葉原MOGRA店長のD-YAMAさんとも相談しながら曲目をつくっていったんですけど、Yun*chiという名前でアニソンカバーを出させてもらうからには、Yun*chiが何に影響されて育ってきたのか? Yun*chiってどんな人なのか? というのを、みんなにわかってもらえるような構成にしたいと。意識はそこに持っていきました。

候補曲も200曲以上は出したんですが、その中から、このクリエイターとやるならどんな曲がいいかなっていうバージョンと、この曲をリミックスしてもらうなら誰がいいかなと、いろんな方向から考えました。例えばtofubeatsさんからも曲の候補を挙げてもらったりして、結果は「おジャ魔女どれみ」になったけど「ママレード・ボーイ」も合うんじゃないか? とか。

Pa's’Lam Systemだったら、女の子もののアニメがいいんじゃないか。Avec Avecだったら、優くて心地いい感じがいいんじゃないかな? と話してちょっと甘酸っぱい「君に届け」になったり。映画のキャストを選ぶかのようにやらせてもらいました。

今は「君に届け」のMVのために、Yun*chiや『アニ*ゆん』をイメージしたイラストを募集する企画もしています。これはライブから学んだことなんですけど、やっぱり私だけじゃなくて、その空間を楽しくしたりとか、面白いものをつくったりする経験を、あまり青春時代にやれなかったから(笑)。それがいまならできる環境や機会があるので、ソロシンガーだからこそ、できるだけ多くの人を巻き込んでつくっていけたらと思います。できるだけ多くの人を巻き込んでつくっていけたらと思います。

クラブとアニメ、ネットカルチャーを繋ぐ

──『アニ*ゆん』では、今後、アニソンに限らず、クラブイベントでも使われそうな楽曲がたくさん入っていますね。長くアニソンイベントだけでなく、原宿やクラブやライブなどの現場を見てこられたYun*chiさんは、いまのシーンをどう見られていますか?

Yun*chi:アニクラって存在や言葉を知らない人もいるじゃないですか。でも、アニクラにはいろんな人がいて、アニメは知ってるとか、逆にアニメは知らないけど、かっこいい曲だからもっと聴きたいみたいな人もいるし。クラブが好きな人、クラブサウンドが好きな人とかもいるし、そんな状況の中で、音楽を軸に、どこからでも入ってこられるような雰囲気は大事にしてほしいなって思います。

『アニ*ゆん』の中に入っている曲でも、『桜蘭高校ホスト部』の「桜キッス」は、アニメも観ていたんですが、アニソンイベントでDJさんがかけてたのを聴いて、クラブがきっかけで好きになった歌なんです。曲を選んでる最中にも、改めてアニメを見返したりして「めちゃくちゃおもしろい!」ってなって、絶対入れたいと思っていたから、夢が叶いました。

大人になってから知ったアニメで『ちょびっツ』の曲も候補にあったりとか。それもアニクラで知った曲なんです。そんな風に知らなかった曲との出会いがある場所だから、「クラブ!」とか「コスプレ!」とか、部分のワードだけ聞くと、少し怖いとか敬遠してしまう人もいるかもしれないですけど、もっとふつうに、好きなアニメの曲を大きな音で聴ける素敵な場所だと思います。

アニソンイベントって、好きな曲がかかると一番後ろにいた人が、前の方まで一気にダッシュしたりするじゃないですか? あれを自分の曲のときにやってもらうと、めちゃくちゃ嬉しいですね!(笑)。あの素直な気持ち超大事!って思います。

──(笑)。近年はYun*chiさんを含め、tofubeatsさんやSugar's Campaignなど、これまでアニクラやネットレーベルを中心に活躍していたアーティストが一気にメジャーシーンに出て、これまでのリスナー以外からも認知されてきている状況もありますね。

Yun*chi:最高だと思います! みんな好きなアーティストさんたちなので、メジャーデビューして、さらに曲をたくさん聴けるようになることはすごく嬉しいです。本当に素敵な音楽を作る方たちなので、ファンでもあり、私は良きライバルだとも思っています。今回もアルバムにも参加してもらっているし、できれば今後も一緒にライブすることができたりとか、同じイベントで共演したりとか。とにかく一緒にシーンを盛り上げていけたらいいなと思っています。

Yun*chiさん

以前、これはPandaBoYさんに言われたんですけど、私がMOGRAとか、アニソンイベントに行きはじめた当時って、自分ではそんなつもり全くなかったんですけど、「なんか派手な女の子がなんか来たぞー」みたいな感じでざわーってなってたらしいんです(笑)。最初のころにお話した人には「ほんとにお前アニメ好きなの? アニメわかるの?」みたいな感じで仲間に入れてもらえなかった経験もあったり。けれど『アニ*ゆん』は、私は本当に音楽とアニメが好きなんだ! という気持ちを込めてつくりました。そこも伝わるといいなって思います。

アニソンが好きな人って、私もそうなんですけど、原曲Loverが多いと思うんです。『アニ*ゆん』は、けっこうチャレンジしているアレンジが多いので、手にとって下さった方は、これを機に、こんな音楽もあるんだってことを知って、好きになってもらえたら嬉しいです。逆に、ふだん原宿にいるような人にも、聴いてほしいなって思います。

『ログ・ホライズン』で、実は声優にも挑戦させていただいたんですが、今年は、もう少し本格的に声の仕事もやってみたいなと考えています。海外にもまた行きたいなとも思うし、フィギュアにもなりたい(笑)。あと、これは毎回、言ってるんですけど飛び出すグラビア絵本を作りたくて(笑)。誰か一緒にやってくんないかなって思ってます。ライブも楽しいのでぜひ遊びに来てください!
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リリース情報

アニ*ゆん〜anime song cover〜

発売日
4月15日(水) CRCP-40401 ¥1,667+税

収録曲
1.こいのうた [映画・たまこラブストーリー] produced by PandaBoY
2. Catch You Catch Me [カードキャプターさくら] produced by Tomoyuki Nakazawa (I've)
3.おジャ魔女カーニバル!! [おジャ魔女どれみ] produced by tofubeats
4.桜キッス [桜蘭高校ホスト部] produced by Pa's Lam System
5.天使のゆびきり [彼氏彼女の事情] produced by kz (livetune)
6.ビバナミダ [スペース☆ダンディ] produced by Tachytelic®
7.きみにとどけ [君に届け] produced by Avec Avec (from Sugar’s Campaign)
カバーイラスト:馬越嘉彦

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Yun*chi

歌手

幼少期より両親の影響でボーカリストになることに憧れ、日々の生活の中で音楽に触れて育つ。印象的な声とキャラクターにも定評があり、デビュー前からlivetuneをはじめ様々なアーティストのコンピレーションアルバム等にボーカリストとして参加するようになる。アーティスト活動と同じくJulieWatai の作品集『はーどうぇあ・がーるず』にはモデルとしても参加。その後も「ちんかめ」「VANQUISH VENUS」など様々なモデルを経験。2012年11月のメジャーデビュー発表時にYahoo!急上昇アクセスランキング2位(9/14)、同年ナタリー「2012年今年はこんな感じでした」人気の画像1位、ニュース年間アクセスランキング3位になるなど注目を浴びる。デビューミニアルバムのリード曲「Reverb*」は全国FMラジオ局パワープレイ30 局 を獲得。2013年、ロンドンで開催された「HYPER JAPAN」に参加。そのパフォーマンスは、海外でも高く評価された。またデビューミニアルバム「Yun*chi」が「ミュージック・ジャケット大賞2013」において「大賞」を受賞。独自のヴィジュアルと、天然の倍音を含む透き通った印象的な歌声は、日本から海外へと羽ばたく。

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