アニメや吹き替えでは人間の実演を優先 故人の声のAI利用は原則禁止
ガイドラインでは、アニメや海外作品の日本語吹き替えなど、演技表現が必要とされる分野について、原則としてAIによる実演家の代替を行わないよう求めている。
AIを利用する場合も、実演家や作品の権利者などから個別の許諾を得る必要があるとした。一方で、演技の本質的な内容を変更しないノイズ除去や音質改善、口の動きに合わせた最小限の音声調整などは限定的に認めている。
故人の声については、AIによる再現/利用を原則禁止とした。
例外となるのは、生前に出演していたシリーズで死亡時点ですでに制作が始まっていた続編や、本人が生前に出演を承諾していた作品など。遺族と生前の所属事務所から書面による同意を得た上で、人間の実演家による代替が難しい最小限の範囲に限り、利用を認めるとしている。
故人が生前に関与していない新作へのAI音声の利用は認めない方針だ。
このほか、実在する特定の人物とは異なる架空のAI音声についても、人間の実演家の仕事を代替する場合には、関係団体との事前協議などを求めている。
津田健次郎の裁判でも焦点となった「声の権利」
生成AIによる声の無断利用を巡っては、声優業界から継続的に問題提起が行われてきた。
2024年10月には、山寺宏一さん、梶裕貴さん、中尾隆聖さんら26人の声優が参加する「NOMORE無断生成AI」が発足。声が本人の許可なく学習/生成/販売される問題について注意を呼びかけた。
2025年11月には、日俳連が伊藤忠商事、伊藤忠テクノソリューションズと連携し、実演家の声を保護しながら正規のAI利用や海外展開につなげる公式音声データベース「J-VOX-PRO(仮称)」の立ち上げを発表している。
法制度の面でも、2026年8月に法務省が、声や肖像の無断利用について、パブリシティ権などの現行法に基づく解釈指針を公表。
さらに9月30日には、津田健次郎さんが自身の声を模倣したとされるAI音声の投稿削除を求めた訴訟で、東京地方裁判所が声もパブリシティ権の保護対象になり得るとの判断を示した。
こうした動きが続く中、日俳連は今回、音声の利用に必要な同意や対価、データ管理などの具体的な基準を提示した。
日俳連は、ガイドラインを国内の業界ルールとして定着させるとともに、国や政府機関に対して「声の権利」の法制化に向けた働きかけを強化していくとしている。
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