髙橋海人のソロ名義「KAITO」にボカロ界が反発 “検索汚染”巡りクリプトン社が声明

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恩田雄多
髙橋海人のソロ名義「KAITO」にボカロ界が反発 “検索汚染”巡りクリプトン社が声明
髙橋海人のソロ名義「KAITO」にボカロ界が反発 “検索汚染”巡りクリプトン社が声明

クリプトン・フューチャー・メディアの歌声合成ソフトウェア「KAITO」

King & Princeの髙橋海人さんが「KAITO」名義でソロ活動を開始したことを巡り、同名の歌声合成ソフトウェア「KAITO」を展開するクリプトン・フューチャー・メディアが10月5日、公式Xで見解を発表した。

同社は「KAITO」という名称やハッシュタグについて様々な声が寄せられていると説明。同名の使用によるハッシュタグなどの重複を完全に防ぐことは仕組み上難しく、今後も検索やSNSで双方の情報が混在する可能性があるとした。

その上で、それぞれの「KAITO」を応援する人々に対し、お互いの存在や活動を尊重しながらコンテンツを楽しんでほしいと呼びかけ、「互いを認め合える、優しいコミュニティであり続けられるよう見守っていただけますと幸いです」とコメントしている。

クリプトン社の声明は、名義変更などを求める内容ではなく、権利侵害について言及したものでもない。

キンプリ髙橋海人、自身の名前「KAITO」名義でソロ活動を始動

発端となったのは、10月3日に発表された髙橋海人さんのソロ活動だ。

STARTO ENTERTAINMENT所属の二人組アイドルグループ・King & Princeのメンバーである髙橋さんは、自身の名前「海人(かいと)」から、「KAITO」名義で音楽活動を開始。

「KAITO」としてソロ活動を開始した髙橋海人さん

「KAITO」としてソロ活動を開始した髙橋海人さん

1stデジタルシングル「swim?」を10月5日にリリース。同日にはMVも公開され、すでに再生回数100万回を突破している。

「swim?」では作詞/作曲だけでなく、アートワークやMVなどすべてのクリエイティブに髙橋海人さん自身が参加。ソロ活動にあわせてYouTubeやTikTokなどの公式アカウントも開設されている。

KAITO「swim?」MV

初音ミク、鏡音リン・レンらと並ぶクリプトン社の歌声合成ソフトウェア「KAITO」

一方、「KAITO」はクリプトン・フューチャー・メディアが2006年2月17日に発売した日本語男声の歌声合成ソフトウェア。バーチャルシンガーとしてのキャラクター展開や3DCGライブなども行われている。

初音ミクや鏡音リン・レンらと並ぶ「ピアプロキャラクターズ」の一人として展開され、2026年には発売20周年を迎えた。現在も20周年を記念した楽曲やイラストの公募、グッズ、音楽企画などが展開されている。

2006年2月17日発売された「KAITO」

2006年2月17日発売された「KAITO」

髙橋さんの活動発表後、King & Prince公式などが「#KAITO」のハッシュタグを使用したことで、X上ではボーカロイドの「KAITO」も含めた関連する投稿が同じタグ上に表示される状態に。名称やタグの重複について、ボカロ「KAITO」のファンを中心に懸念の声が上がった。

一方で、髙橋さんのファンからは、「KAITO」は本名に由来することから、同じ名前を使用すること自体には問題がないのではないか、という意見も見られ、SNS上では様々な立場から議論が交わされている。

「名前が同じ」だけではない──“検索”が支えてきたボカロ文化

今回の反応を考える上でポイントになるのが、単なる「同名のアーティスト/キャラクターが存在する」「名前が被っている」という問題だけではないことだ。

VOCALOID(ボーカロイド)文化では、公式だけでなく、個人のクリエイターが楽曲やイラスト、映像など二次創作を含む作品を制作し、インターネット上に投稿することで膨大な作品群が形成されてきた。

バーチャルシンガーとしての展開も行われている「KAITO」

バーチャルシンガーとしての展開も行われている「KAITO」

クリプトン社もKAITOの20周年にあたり、2006年以降、KAITOやMEIKOを使用した楽曲/動画がインターネット上に投稿され、初音ミクの登場以降は、多数のクリエイターが楽曲やイラストを投稿するボカロ文化が広がっていったと説明している(外部リンク)。

つまり、特定の事務所や公式アカウントだけを追えば情報を網羅できるコンテンツとは性質が異なる。

作者も投稿先も分散しているため、キャラクター名による検索やハッシュタグは、ファンが新しい楽曲やイラストを発見し、クリエイター側が作品を届けるための導線として機能してきた。

クリプトン社「それぞれの『KAITO』を応援する皆さまが尊重し合えるように」

今回「KAITO」を巡るSNS上での議論において、“検索汚染”という強い言葉まで使われた背景には、こうした環境の中で20年間蓄積されてきた「KAITO」という検索語や「#KAITO」というタグに、別の大規模なコンテンツが流入することへの懸念があるとみられる。

実際、批判的な意見の中にも、髙橋さんが「KAITO」と名乗ることそのものではなく、ハッシュタグや検索結果が混在することを問題視する声もある。

一方、X公式はハッシュタグを、キーワードやトピックごとに投稿を分類する機能として位置づけている(外部リンク)。特定のユーザーや集団にハッシュタグの“独占的な使用権”を与える仕組みは、少なくともXの公開されている仕様やポリシー上は確認できない。

こうした状況を受けて発表されたのが、10月5日のクリプトン・フューチャー・メディアによる声明だ。

同社は、検索やSNS上で双方の情報が混在すること自体は避けられないとの認識を示しつつ、「それぞれの『KAITO』」を応援する人々が互いを尊重することを呼びかけた。

今回「KAITO」という名前を巡って表面化したのは、単なる名称の重複だけではない。検索やハッシュタグそのものが創作物との出会いを支えてきたネット文化において、“名前”が持つ役割の大きさもまた、今回の一件であらためて可視化されたと言えるだろう。

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※『初音ミク』『鏡音リン』『鏡音レン』『巡音ルカ』『MEIKO』もクリプトン・フューチャー・メディア株式会社が展開するバーチャル・シンガーです。
※「VOCALOID(ボーカロイド)」および「ボカロ」はヤマハ株式会社の登録商標です

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