PCへの負荷「かなり大きい」 6時間ぶっ通しのチャレンジングなVJ
「FOUND」がDJライブ&ライブドローイングで見せた圧巻の映像体験は、どのような技術によって支えられていたのだろうか。
ライブ終了後、6時間にわたるパフォーマンスを終えたVJの二人に話を聞くと、「今回のシステムは、3系統の映像を同時に扱うので、かなり負荷の大きい処理になっていました 」と.+さんは振り返った。

6時間ぶっ通しでVJを担当した映像作家/プログラマーの.+(テンプラス)さん。今回の試みについて「かなりチャレンジングだった」と振り返った
「開始から終了までの6時間を通して、映像処理、p5.jsによる描画処理、UI操作など、複数のプロセスを同時に動かしながら、イラストレーターから送られてくる映像をリアルタイムで合成する必要がありました。DJライブ&ライブドローイングのパフォーマンスを損なわないためにも、途中でVJシステムを止めることは絶対にできません」(.+さん)
さらに「PCの処理速度が間に合わずにフレームレートが落ちたり、音との同期がわずかにずれたりするだけでも、フロアのテンションは大きく落ちてしまう。しかも今回は、ステージの転換時間などに新しいフッテージを制作して、その場のアドリブでVJシステムに追加するという作業も並行して行っていました。総合的に見て、かなりチャレンジングなVJパフォーマンスだったと思います」と語った。
そのクリエイティブを動かす中心こそが、GALLERIAが提供したデスクトップPCだった。
今回のイベントでは、3系統の映像を統合・処理するPCからイラストレーターがライブペインティングに使用するPC、さらに1Fのトークイベントやインスタレーションの動作用PCまで、各所にマシンが導入されている。

6時間のVJパフォーマンスを終えたばかりのGALLERIAのPC
2人に今回使用したPCによる映像処理の印象を尋ねると、まず.+さんは長時間の高負荷処理に耐え得る「安定性の高さ」を挙げた。
「3系統の映像を同時に処理する構成は、事前に自分のPCで試したときにはギリギリでした。ただ、本番で使ったPCでは、トラブルは6時間の公演中、全くありませんでした。自作ソフトウェア側のバグなどは多少発生しましたが、それを動かす機材の性能が足りなくて止まる、ということはなかったですね」(.+さん)
melonadeさんも、普段使っているノートPCとのパフォーマンスの違いを実感したという。

同じくVJを担当した映像作家/プログラマーのmelonadeさん。プログラミングを活用して様々なMVを制作。原口沙輔さんが主宰するレーベル「CDs」にも所属している
「普段はハイエンドのノートPCを使っていますが、VJ中は熱が原因で処理がカクつくことがよくあります。今回は本番の3週間ほど前から、当日と同じデスクトップPCを貸していただいて、実際に触りながら準備を進めていたんです。その段階から動作は非常に快適でしたし、本番でも熱によるカクつきのような問題はほとんどありませんでした」(melonadeさん)
その上で、今回のような環境がVJの現場で整えられるのであれば「普段のノートPCでは難しい演出にもどんどんチャレンジできると思いました」と手応えを口にした。
即興的なVJを支える──GALLERIAのPCがクリエイティブを支える
その性能差が、とりわけ鮮明に表れたのが「ピクセルソート」という画面効果を行った瞬間だったという。
ピクセルソートは画面全体を細かなピクセルに分割し、一つ一つの座標をずらすことでグリッチのような歪みを生み出す。視覚的には派手だが処理負荷も大きいエフェクトだ。MVなど事前にレンダリングが可能な映像ではよく用いられる一方、リアルタイムVJで積極的に扱うにはハードルが高い。

平田義久さん×只野楓さん×ユウマさんによるDJライブ&ライブドローイング
しかし、当日使用したデスクトップPCでは、そうした高負荷なエフェクトも処理落ちせず、VJが狙ったタイミングで使用することが可能となった。マシン性能によって表現の選択肢が広がり、フロアの盛り上がりに応じて、より大胆で即興性の高い一手を打てるようになったのだ。
また、VJでは操作に対する映像のレスポンスも重要になる。今回のVJでは、.+さんが素材の選択や映像の出し入れを担い、その隣でmelonadeさんがコントローラーを使ってエフェクトを加えていた。

6時間にわたり2人はこの状態でVJを続け、リアルタイムで映像をつくり出していた
2人が互いの動きに反応しながら、リアルタイムで映像を組み立てていくスタイルだ。
環境によっては、コントローラーを動かしてから映像に反映されるまでにコンマ数秒の遅延が生じることもあるという。数字だけを見ればわずかな差だが、音楽に合わせて映像を変化させるライブの現場では、その遅延がパフォーマンスの精度を左右する。
「本番で操作したPCでは、コントローラーを操作してから映像に反映されるまでのラグをほとんど感じませんでした」(melonadeさん)
「レスポンスが速いことで、『ここでもっと切り替えてみよう』といった即興的な判断やアイデアも出しやすくなった感覚があります。パフォーマンスの良し悪しを最終的に決めるのは人間ですが、それに追従するテクノロジーが、その質をさらに増幅させてくれるように思います」(.+さん)

クリエイターやアーティストのパフォーマンスを支えたGALLERIA
重い処理を安定して動かせるだけでなく、思いついた操作をすぐ映像に反映できる。
そのレスポンスの速さが即興的なVJを支え、同時に6時間にわたる映像処理を止めることなく走り切らせた。GALLERIAのPCは、この日のクリエイティブを動かす“心臓”として機能していた。
この記事どう思う?
関連リンク
0件のコメント