スマホの写真から原寸大の犬をつくりだす　時吉あきな個展

第16回グラフィック「1_WALL」でグランプリを受賞した時吉あきなの個展「ナンバーワン」が2018年1月10日（水）から1月26日（金）にかけて、東京・銀座にあるガーディアン・ガーデンで開催される。

会場では、スマートフォンで撮影した写真から作成した、原寸大の犬の立体コラージュを展示。複製による表現の可能性を追求する。

平面の写真を強制的に立体化する時吉あきなとは？

時吉あきなは、スマートフォンで撮影した犬の写真をコピー用紙に出力し、対象を原寸大の立体コラージュとして再現する作品を制作している。

対象を正確に再現しながらも、平面の写真を強制的に立体にすることで、不自然な歪みや独特の表情をもつ犬たちからは、どこか違和感やユーモアが感じられる。


京都造形芸術大学情報デザイン学科のイラストレーションコースで学び、2016年3月に卒業した際には、自身が住んでいたアパートの1室を原寸で再現した。 さらに、1部屋を再現した立体コラージュを解体し、平面に再構成したブックも作成。平面と立体とを行き来しながら、複製を繰り返すことによる表現の可能性を探求している。

写真作品でグラフィック部門のグランプリを受賞

そんな時吉がグランプリを受賞した「1_WALL」とは、リクルートホールディングスが運営する、若手クリエイターに向けたコンペティション。グランプリ受賞者には1年後のガーディアン・ガーデンでの個展開催の権利が与えられる。

ポートフォリオによる一次審査、ポートフォリオレビューの二次審査を通過したファイナリスト6名が1人1壁面を使うグループ展を開催。会期中に開催される公開最終審査会でグランプリを決定する。

時吉は写真を素材にした作品でグラフィック部門のグランプリを受賞した異色の作家だ。

新たなコラージュの展示や白根ゆたんぽとのトークショーも

今回の個展・時吉あきな展「ナンバーワン」では、グランプリ受賞後、さらに制作した犬の立体コラージュを中心に出品する。

個展のため、海外を旅してきた犬たちを収めた写真作品や、時吉の祖母の家で撮影された写真も展示される。また、部屋の一部を原寸大のスケールで再現したインスタレーションも展示予定。複製と実物が入り混じるような空間を味わうことができるだろう。 展覧会に寄せて、時吉は「新しい友達の家に遊びにいくような、知らない国をちょっとだけ旅行するような感覚で、実物と複製もしくはリアルとフェイクが支え合って成り立っている空間を楽しみに来てほしいです」とコメント。

会期中には、各種媒体へのビジュアル提供や、個展、企画展への参加など、イラストレーターとして活躍する白根ゆたんぽをゲストに迎えるトークイベント「あきなの部屋〜実物と複製〜」も開催予定。 戌年のはじまりに、犬づくしの展覧会をぜひ会場で体験してほしい。