まつきりなインタビュー　「NGのないモデル」の挫折と進化

ファンたちを「沼」に引き込む人間性とコンテンツ

「『モテない』『ズバズバ言う』『おっさんっぽい』と思われていると思う」と自身のことを分析する。

まつきりなの女性ファンたちは、彼女のことを褒めているにも関わらず、SNS投稿で「まつき」と呼び捨てにする。そんなファンたちとの距離感の近さは、他のモデルやインフルエンサーと比較してもずば抜けている。 ──ファンと交流するときに気を付けていることはありますか？

まつき　応援してくださる人の年齢や性別の違いに関わらず対応が変わらない人間でありたいと思ってます。若い女の子でもおじさんでも。女の子に対して、「元カレにお金貸してさあ……」みたいな話をしたあとに、次に男性が来たら「怖かったんです～」みたいな（態度が変わる）のとかあまりしたくなくて。

男性ファンに対しても、「私のこと好きなんてよっぽど変ですよね。ちょっと大丈夫ですか？元カレの話とかして嫌じゃないんですか？」とか言うようにしています。

「おじさんだから態度を変えたり自分を作ったり」とかしない、その方が楽ですし。そんな感じだからか、男性でも、「まつきちゃんはこういう子だから応援したい」と思ってくれて、恋愛とかですら応援してくれたりします。

「ガチで付き合いたい」とか「関係を持ちたい」っていう「変なおじさん」がいなくて、友達感覚で来てくれる人が多いですね。「まつきのファンの方っていい人多いよね」って言われたりもして嬉しいです。 ──「まつきりなを待ち受け画像にするといいことがある」など、SNSではファンの方の投稿を積極的にご自身で取り上げているイメージです。

まつき　「それいい！」って思ったものは取り上げるようにしてます。嬉しいんですよ！SNSで活動を始めて6年になるんですけど、毎回毎回、ファンからの反応が嬉しすぎて、スクショしたり、いいねしたり、常にエゴサしてます。

そしたらファンの人たちも、「私も（まつきに）反応されたい」ってもっとSNSに投稿してくれるようになって、タグ付けとかまつきって名前が入った投稿が増えましたね。

──ファンの方たちとは、名字で呼び捨てにされるくらい距離感が近いですね。

まつき　ビューティー系のYouTubeチャンネルに出ていたときは「りっちゃん」って呼ばれていて、「皆のお手本」みたいな距離の遠い扱いをされていたんですけど、もともと友達とかからもいじられるというか、なめられていて（笑）、その素の感じが楽だったので自分から「まつきって呼んで」って発信しました。

私、めちゃめちゃ美人なわけでもないし、めちゃめちゃ可愛いわけでもないし、めっちゃスタイルいいわけでもないけど、好んでくれてる子がいるってことは、中身とか距離の近さを好んでくれてるんだろうなって思うんです。

一番友達になりたい人ってよく言われますし、「仲良くなりたい人」と思われる方がいいですね。昔から、イベントで会う子からは、「あれ、まつき意外と会ったら友達みたいに喋ってくれるじゃん」って思ってもらえていたみたいです。

だから、SNSでつくった自分をやめて、イベントで会いに来てくれた子にするような対応をSNSでもするようになったら、どんどん距離が近くなっていきました。

──距離感の近さという意味では、YouTubeで動画を拝見してると、ツッコミどころが多いように感じます。

まつき　えっ、そうなんですか！？ありました？ ──「ナイトルーティンの動画なのにいつの間にか晩酌動画になってるじゃん！」とか。

まつき　あ、そうなんですよね〜。最初撮ろうと思った日は酔っぱらっちゃって、結局撮るの忘れちゃって。

──「いやたくあん、そのまま手で食べるのか…」とか。

まつき　そっか！手じゃダメなのか！！

──そういうツッコミどころを、親近感を出すために意識してつくられたりすることってあるんですか？

まつき　本当に、よく「狙ってる」って言われるんですけど…素を見たいって言われるのでそのまま素を見せてるだけなので…その質問が一番難しいですね。

YouTubeを観てくれる方って、深いところ、自分が意識してないところを見たいと思うので、あんまり考えずにやってます。いやらしさが出ちゃうと、私、応援されなくなると思うので。 ──他のモデルやインフルエンサーの方と比べて、まつきさんの差別化ポイントは、そういう自然体にあるのかもしれませんね。

まつき　ここまで雑に扱ってもいい人ってあまりいないと思うんですよ。「まつき」って呼び捨てにされたりとか、こっちからも（ファンを）いじりにいくし。そういう友達っぽいところかな。

だいたい赤裸々に話していると、人間のボロが出るじゃないですか。だからタレントさんって、好感度とかを気にして、赤裸々に話せる人って少ないと思うんですけど。私はそのまま応援されたいので、自分をあんまりつくりたくないんです。

──ファンの方たちからは「まつき沼」と言われています。

まつき　そうなんですよね。「沼漬かるわー」ってみんなが言い出して。ファンの子が沼って言葉をよく使うんですよ。

──まつきさんの中での「まつき沼」の定義を教えてください。

まつき　え、私の沼の定義！？何それ！？その質問の回答してるのめっちゃ面白くないですか？自分で（撮って）観たいんですけど（笑）。

私は特別外見で憧れられたりとかすることはなかなかなくて。私の性格で応援されてることが多いと思うんです。私の考え方とか、普通人と人で接しているときに、そこまで知らないだろうっていう深いところを知ってファンになってくれる子が多いので、それを「まつき沼」って呼んでます。 ──自分の深いところを知ってもらうために、YouTubeやInstagramを使われていると思いますが、何か心がけていることはありますか？

まつき　ほぼ毎日Instagramの質問コーナーを使ってます。投稿のコメント欄の返事だと、その個人に対してしか、自分の思っていることを返事できないけど、質問コーナーで取り上げて発信すると、「あ、まつきちゃんってこう思ってるんだ」ってみんなに知ってもらえるので。

ぶっちゃけ私が使ってるマスカラとか紹介しても、過去の美容系のYouTubeを観ればいくらでも出てくるので、「おもんな」ってなっちゃうと思うんです。だから、恋愛相談とか、自分の考え方みたいなところを赤裸々に発信するようにしていますね。

──具体的にはどのように？

まつき　例えば、「親と仲悪くて困っている」っていう相談が来たら、「私は実は親が離婚してて、お父さんはもう彼女いるんだ」みたいなところから始めたりとか。そうすると、「なんか重く考えてたけど、開き直れた」「まつきはそう考えてるんだ、じゃあ私も同じように考えたい」って、より濃く好きになってくれる。

私、自分で考えて発信することがあまり得意じゃないんです。何を発信したらいいのかわからなくて。だから、みんなが「こうしてほしい」っていうのを常に聞くようにしてます。私、特にNGってなくて、聞かれたら全部言うので。

みんなが知りたいっていうことを「え、そんなどうでもいいこと知りたいの？じゃあ全然いうよ」って言いながら発信をしてたら、みんなが勝手に深いところを知ってくれるようになった感じですね。私のセンスがいいというよりは、フォロワーさんのセンスがいいと思ってます。 ──恋愛相談の動画をつくるときに、こだわっているポイントは？

まつき　ツイッターってわざわざ見にいかないと見られないけど、インスタのストーリーって、自然と流れてくるじゃないですか。なので、15秒でどれだけ人に興味を持ってもらうかの勝負だと思っています。だから、すごくこだわってつくっていますね。終わり方とか。「もっと観たい」で終わらせるくらいの喋り方にするように気を付けています。

結構バンバン流しているように見えるんですけど、あれ、実は撮り直し結構してるんですよ。「もうちょっと長くした方がいい尺で切れるわ」と思いながら、多いときで5回くらい撮りなおしたりとか、私なりに頑張って考えてます。