第169回芥川賞に市川沙央『ハンチバック』 初ノミネートで初受賞

第169回芥川賞に市川沙央『ハンチバック』 初ノミネートで初受賞
第169回芥川賞に市川沙央『ハンチバック』 初ノミネートで初受賞

第169回直木三十五賞・芥川龍之介賞の受賞作品/合成は編集部

公益財団法人日本文学振興会による第169回直木三十五賞・芥川龍之介賞(以下、直木賞・芥川賞)の選考結果が、7月19日(水)に発表された。

直木賞は垣根涼介さんの『極楽征夷大将軍』と永井紗耶子さんの『木挽町のあだ討ち』、芥川賞は市川沙央さんの『ハンチバック』が選ばれている。

なお、市川沙央さんは、初の純文学作品の執筆。そして初ノミネートでの受賞となる。

目次

第169回直木賞、芥川賞の候補作品(敬称略)

・直木賞候補作
冲方丁『骨灰』
垣根涼介『極楽征夷大将軍』 受賞作
高野和明『踏切の幽霊』
月村了衛『香港警察東京分室』
永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』 受賞作

・芥川賞候補作
石田夏穂『我が手の太陽』
市川沙央『ハンチバック』 受賞作
児玉雨子『##NAME##』
千葉雅也『エレクトリック』
乗代雄介『それは誠』

第169回直木賞受賞 垣根涼介『極楽征夷大将軍』

『極楽征夷大将軍』書影

垣根涼介さん:1966年4月27日長崎県諫早市生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』で第17回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞しデビュー。<選考会当日は満57歳>

【『極楽征夷大将軍』作品概要】
動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて後醍醐天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。
一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。
混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
謎に包まれた室町幕府初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。

第169回直木賞受賞 永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』

『木挽町のあだ討ち』書影

永井紗耶子さん:1977年、神奈川県出身。慶應義塾大学文学部卒。新聞記者を経て、フリーランスライターとなり、新聞、雑誌などで幅広く活躍。2010年、『絡繰り心中』で小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。2020年に刊行した『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』は、細谷正充賞、本屋が選ぶ時代小説大賞、2021年、新田次郎文学賞を受賞した。2022年、『女人入眼』が第167回直木賞の候補作に。他の著書に『大奥づとめ よろずおつとめ申し候』『福を届けよ 日本橋紙問屋商い心得』『横濱王』『とわの文様』。2023年、『木挽町のあだ討ち』で第35回山本周五郎賞、第169回直木三十五賞をW受賞。

【『木挽町のあだ討ち』作品概要】
見たのかって? ええ、あれは立派な仇討ちでしたよ。
ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。
父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた壮挙はたくさんの人々から賞賛され、木挽町の語り草となった――。
二年のち、菊之助の縁者だというひとりの侍が芝居小屋で働く人々に仇討ちの詳細をたずねにくる。木戸芸者、立師、衣装係、小道具、筋書……、仇討ちの現場に居合わせた人々が自身の来し方を織り交ぜながら語る「木挽町のあだ討ち」の顛末、そしてその驚くべき真相は――。

第169回芥川賞受賞 市川沙央『ハンチバック』

『ハンチバック』書影

市川沙央さん: 1979年生まれ。早稲田大学人間科学部eスクール人間環境科学科卒業。筋疾患先天性ミオパチーによる症候性側弯症および人工呼吸器使用・電動車椅子当事者。2023年「ハンチバック」で第128回文學界新人賞を受賞しデビュー。同年「文學界」5月号掲載、単行本は6月22日文藝春秋刊。

【『ハンチバック』作品概要】

主人公・井沢釈華は、先天性の遺伝性筋疾患のために背骨が湾曲しており、電動車椅子と人工呼吸器を使い、裕福な両親が遺したグループホームから、ほとんど外に出ない生活を送っている。十畳の自室で彼女は、某有名私大の通信課程を履修し、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」とつぶやく。

ところがある日、グループホームのヘルパー・田中にTwitterのアカウントを知られていることが発覚し――。

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