『SSSS.GRIDMAN』英語版声優インタビュー 「沈黙の時間を恐れない」作品の魅力

『SSSS.GRIDMAN』英語版声優インタビュー 「沈黙の時間を恐れない」作品の魅力
『SSSS.GRIDMAN』英語版声優インタビュー 「沈黙の時間を恐れない」作品の魅力

アニメ『SSSS.GRIDMAN』

POPなポイントを3行で

  • 『SSSS.GRIDMAN』英語版声優にインタビュー
  • 多くの日本アニメで吹き替えを担当するブランドン・マッキネス
  • 外国人声優がみた『SSSS.GRIDMAN』と日本アニメ
10月から放送中のアニメ『SSSS.GRIDMAN』。

第1話の放送から最新話に至るまで、独特な演出や『電光超人グリッドマン』をはじめとする特撮・アニメへのオマージュ、エピソードごとの超展開などが、僕を含めて多くの視聴者を虜にしています。

今期、唯一リアルタイムで視聴している『SSSS.GRIDMAN』は、僕に素敵な出会いを与えてくれました

第1話を視聴後に感想をツイートしたところ、とある人物から「いいね」が。本人のプロフィールに飛ぶと、どうやらアメリカ人声優のブランドン・マッキネス(Brandon McInnis)さんという方でした。

プロフィールの内容から、もしかして『SSSS.GRIDMAN』で主人公・響裕太を演じているのでは? と思い、本人に確認するとまさにその通り。さらに自身が声を当てているPVも紹介してくれました。 Netflixを通じてアメリカでも配信中の『SSSS.GRIDMAN』には英語の吹替版があります。当然、キャラクターは外国人の声優が演じるわけですが、彼らがどんなことを考えて担当する役に臨んでいるのか、興味がわいてきませんか。

そこでブランドン・マッキネスさんにメールインタビューをオファー。日本のメディアの取材は初めてと言いながらも、快諾していただきました。

貴重な外国人声優のインタビューには、僕らが気づかなかった『SSSS.GRIDMAN』の魅力が隠れているかもしれません。

なお、2ページ目には英語でのインタビューを掲載しています(The second page is the English version.)。

翻訳:和田拓也

『ヒロアカ』『進撃の巨人』にも出演 ブランドン・マッキネス

ブランドン・マッキネスさん

──まずは簡単に自己紹介をお願いします。

ブランドン・マッキネス(以下、マッキネス) アメリカ・テキサス州在住、声優・歌手として活動しているブランドン・マッキネスです。主に、日本のアニメ作品の英語版の吹き替えを担当していますが、ときどきゲームやラジオ、テレビCMにも出演したります。実は声優になる前に、1年ほど東京に住んでいました。

──声優を目指した理由を教えてください。

マッキネス もともとは舞台俳優として演劇をはじめて、ミュージカルやオペラを勉強していました。でも、演じる役への限界の少なさを魅力に感じて、声優の道を選びました。

カメラの前やステージでは、自分の外見にも左右されて、特定の役柄しか演じられません。でも、声優なら年齢に関係なく、声だけで何者にでもなることができます。

──『SSSS.GRIDMAN』以外には、どんなアニメに出演されているのでしょうか?

マッキネス 『僕のヒーローアカデミア』のサー・ナイトアイ、『斉木楠雄のΨ難』の照橋信、『進撃の巨人』のハロルド、『黒執事・殺人の書』のパトリック・フェルペス、『ブラッククローバー』のフィンラル・ルーラケイス、『カードキャプターさくら クリアカード編』のユナ・D・海渡などを担当しました。 ──好きなアニメや映画を教えてください。ご自身が出演している・していない、日本・海外、どちらでも構いません。

マッキネス 一番好きなアニメは『カウボーイビバップ』です。子供の頃、アメリカのテレビで観てとても印象に残っています。あとは『銀河鉄道999』の映画も好きですね。

主人公 響裕太を演じるうえでもっとも難しかったこと

──『SSSS.GRIDMAN』の主人公・響裕太役に決定した経緯を教えてください。オーディションだったのでしょうか?

マッキネス 『SSSS.GRIDMAN』の吹替版の監督クリフォード・チェイピンさんとは、以前に『ネト充のススメ』(ヒメラルダ役)で一緒に仕事をしたことがありました。

チェイピンさんは、TRIGGER作品の吹替版をよく監督していることもあって、僕に声をかけてくれたんです。もしかすると、僕の声が日本語版の声優・広瀬裕也さんと似ていると思ったのかもしれません。

──主人公役に決まったときはどんな気持ちでしたか?

マッキネス 嬉しかったです! TRIGGERはアメリカでも高く評価されています。そんなスタジオの作品でメインキャラクターを演じられることに感謝しました。

──響裕太を演じるうえで、特に心がけたこと、難しかったことは何でしょうか?

マッキネス 響を演じるうえでもっとも難しかったのは、彼の信念や決意、感情が、あまり表情に出ないなかで表現することです。たとえ記憶喪失でも、彼は自分がやるべきことを100%やりますから。

収録中のマッキネスさん

──彼の行動や考え方で、自分と似ていると感じる部分はありますか?

マッキネス 他人が怒りや悲しみを感じているとき、裕太はそれらの人の声に耳を傾け、気持ちを理解しようとします。僕も彼と同じように、できるだけ相手の気持ちを理解しようとしています。

──逆に、自分とまったく異なる部分はどこでしょうか?

マッキネス 何も覚えていないところですね(笑)。僕もときどき昼食を忘れることがありますが、基本的に過去の出来事は覚えていると思います。

宝多六花と新条アカネのアメリカでの人気、知りたいよね?

──『SSSS.GRIDMAN』は魅力的なキャラクターや演出によって、日本で大きな反響を集めています。こうした日本での人気を見たり聞いたりすることはありますか?

マッキネス もちろん! アメリカでも同様の理由で人気があります。円谷プロダクションが1994年に原作である『電光超人グリッドマン』を、アメリカで『スーパーヒューマン・サムライ・サイバー・スクワッド』としてローカライズしました。

現在『SSSS.GRIDMAN』を観ている人たちのなかには、当時のローカライズ版を観た人がたくさんいると思います。ちなみに、宝多六花新条アカネはアメリカでも人気です。

──原作である特撮ドラマを観たことがあるんですね。

マッキネス 観たことあります。収録の合間に、音響監督とOP主題歌の「夢のヒーロー』を一緒に歌ったりしてますよ。「グリッドマ〜〜〜〜〜ン!」「ベイビドンドン!」って。

──『SSSS.GRIDMAN』で特にお気に入りのキャラクターを教えてください。

マッキネス サムライ・キャリバーが一番好きです。雄弁家ではないけど、グリッドマン同盟を守るためによく頑張っていますね。

──マッキネスさんが感じる『SSSS.GRIDMAN』の魅力はどんなところですか?

マッキネス 『SSSS.GRIDMAN』は常にノンストップのアクションシーンが続くわけではありません。視聴者を待機させることを恐れない、とでも言うのでしょうか。キャラクター同士の会話でも、時には物語の進行を妨げるような間を入れることがありますよね。

そういった演出が、作品のリアリティをより高めているのではないでしょうか。実際、現実の僕たちの会話には、気まずい沈黙が入ることがありますが、その沈黙の時間にこそ大きな意味があったりしますからね。

──マッキネスさんの声優人生において『SSSS.GRIDMAN』はどんな作品になりましたか?

マッキネス ファンからこんなにたくさんのメッセージをもらったのは『SSSS.GRIDMAN』が初めてです。もちろん、日本のメディアからインタビューを受けたのも今回が初ですよ。

女性声優が少年を演じるのはアメリカでも一般的?

──日本のアニメ・漫画は海外でも浸透しはじめていますが、いわゆる特撮ドラマについて、海外の認知・反応はいかがでしょうか?

マッキネス アメリカで人気のあるアニメや漫画と比べると、特撮ドラマは少しニッチかもしれません。でも、『SSSS.GRIDMAN』の存在によって、もっと世界的に有名なものになると思います。

──海外でのアクションモノとしては、アメコミのような“登場人物が等身大のまま変身して闘う”パターンが多く、人気を集めている印象です。『SSSS.GRIDMAN』をはじめ、“登場人物が巨大化して闘う”ことについてはどのような印象を持ちますか?

マッキネス 怪獣を倒すために日本のヒーローが巨大化する。僕はそこに、日本的なチームワークを感じますし、とても素晴らしいと思います。

──日本では、女性声優が男性キャラクター、特に男の子を演じるのは非常に一般的です。それは米国でも共通していますか? だとしたらその理由は何でしょうか?

マッキネス アメリカでも女性の声優は少年の声を担当することがあります。女性だからこそ、少年のキャラクターに若さのニュアンスを与えられる面もあると思います。とはいえ、基本的にはキャラクターによって違いますし、結局は監督次第ということだと思います。

──最後に、『SSSS.GRIDMAN』のファンに向けてメッセージをお願いします。

マッキネス 『SSSS.GRIDMAN』を観てくれてありがとうございます! 僕らが声優として仕事ができる理由のひとつは、ファンの人たちの存在ですよね。もし僕や僕の演じている役に興味があったら、Twitterをフォローしてみてください。英語と日本語でアニソンカバーをときどき投稿しています。本当にありがとう!

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1件のコメント

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onda

恩田雄多

アニメが世界で配信されるいま、当然英語の吹き替えの声優の人もいるんだなと改めて。『電光超人グリッドマン』の主題歌を収録中に歌ったりする、というのは驚きであると同時に一気に距離が近づいた気がしました!

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