中国発ゲーム『アークナイツ』が二次創作ガイドライン制定で賞賛される理由

中国発ゲーム『アークナイツ』が二次創作ガイドライン制定で賞賛される理由
中国発ゲーム『アークナイツ』が二次創作ガイドライン制定で賞賛される理由

『アークナイツ』/画像は『アークナイツ』アニメPVより

POPなポイントを3行で

  • 『アークナイツ』が二次創作に関するガイドライン発表
  • ゲームのリリース1ヶ月での発表にファンから称賛
  • その理由を二次創作を巡る議論から振り返る
アズールレーン』の開発や運営で知られるYostarが運営するスマートフォンゲーム『アークナイツ』が二次創作に関するガイドラインを公開した。

内容は、個人または法人格のない団体は、非営利かつ日本国内での発表・流通であれば、二次創作物(同人誌・同人グッズ・デジタル作品など)の制作・配布・頒布が行えるというもの。

公序良俗に反する内容や、直接的にコンテンツの素材のトレースなどが禁止された、ごく一般的な内容だ。 日本語版の配信日である1月16日からおよそ1ヶ月での公開に、ファンからは感謝や称賛の声が上がっている。

なおYostarは、アニメ化も果たした『アズールレーン』においても、日本語版の配信と同月にガイドラインを公開しており(外部リンク)、二次創作文化に対する理解の高さがうかがえる。

アニメPVも話題呼んだ『アークナイツ』

「アークナイツ」アニメPV フルVer.
『アークナイツ』はYostarが運営するスマートフォン向けのアプリゲーム。1月からiOSとAndroid向けに配信されている。

自分の領地に侵入する敵を倒すタワーディフェンスと呼ばれるゲームで、原因不明の天災がもたらした鉱石「源石(オリジニウム)」と、その影響で現れた「感染者」たちを巡る戦いを描く物語だ。 キャストには黒沢ともよさん(アーミヤ役)、石上静香さん(チェン役)、小西克幸さん(シルバーアッシュ役)らが出演している。

1月にはYostarが新設したアニメスタジオ・Yostar PicturesによるアニメPVのフルバージョンが公開、ファンの期待値が高まる中で、日本語版がリリースされた。

増加する「二次創作に関するガイドライン」に関する物議

近年、たびたび耳にする機会も多い「二次創作に関するガイドライン」。

作品の盛り上がりに少なからず影響を与える二次創作だが、ガイドラインがない作品の場合、行きすぎた表現や同人誌・グッズの扱いなど、ファンの間でたびたび物議を醸してきた。

物議や議論は、作品の人気に比例して活発化することが多い。たとえば、2018年10月に放送され人気を集めた『SSSS.GRIDMAN』では、二次創作に関する議論が巻き起こった。

『SSSS.GRIDMAN』のケースでは、権利者の申し立てによって頒布予定だった同人グッズの差し止め、成人向けイラストについての議論、円谷プロダクションの公式サイトに以前から掲載されていた同人作品に関する見解などが注目された中で、アニメの製作委員会がガイドラインを公開している(外部リンク)。

やや毛色は異なるが、2018年4月に放送されたアニメ『ウマ娘 プリティーダービー』では、実在の競走馬をモチーフとしている点に触れ、競馬ファンや馬主が不快に思う表現やイメージを著しく損なう表現に配慮してほしいとする声明を発表した(外部リンク)。

文化の発展に向け創作を後押しするガイドライン

こうした事例を見ると、表現を押さえつけるように見えるガイドラインだが、それは発表に至るまでの背景があってこそ。本質的には最低限のルール上でファンの創作を自由に認めるものだ。

たとえば、2019年6月に発表されたバーチャルYouTuber/バーチャルライバーグループ「にじさんじ」の二次創作ガイドラインは、すべての個人や法人格を持たない団体であれば、安心して二次創作を楽しめる内容だった(外部リンク)。

「VTuber文化・業界全体のさらなる発展に向けた」というガイドラインは、他の企業でも流用が可能。急速に大きくなったVTuber業界で、不必要に二次創作文化が抑制されてしまうことを防ごうという糸があった。 さらに同年7月には、20年以上前のメディアミックス作品『serial experiments lain(シリアルエクスペリメンツレイン)』は、日本に居住している個人のみおよび期間限定で、監修不要で商用・非商用にかかわらず無償で許諾することを明記したガイドラインを発表している。

今回『アークナイツ』のガイドラインの発表は、ゲームのリリースで一層人気が高まることに向けた一手と言えるだろう。

SNSに投稿されるファンアートやコスプレも盛り上がりを見せており、早いタイミングでの公開は好意的に受け取られているようだ。

二次創作を巡って

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