画像生成AI「Midjourney」のイラストに著作権を認めず 米著作権局の見解

以下は、アメリカ合衆国著作権局が書簡の中で示した、画像生成AI『Midjourney』によって生成されたイラストについてユーザーに著作権が認められない詳細な理由を、筆者が要約したものである。

なお、あくまでもアメリカ合衆国の憲法・法律に基づいた見解であり、日本でも同じように解されるとは限らない。

「『Midjourney』はユーザーの予測不能な方法で画像を生成する」

「Midjourney」は、入力されたテキストプロンプトを、特定のアウトプットを生み出すための具体的な指示として解釈していない。「Midjourney」は、“人間のように文法や文型、単語を理解できない”ので、代わりにテキストプロンプトを“トークンと呼ばれる小さな断片に分解し、学習データと比較することで画像を生成”している(外部リンク)。

ユーザーが満足のいくイメージに「Midjourney」を使用してたどり着くまでの過程は、人間のアーティストたちのによる場合とは異なる。「Midjourney」で生成された画像がイメージと異なった場合、ユーザーはテキストプロンプトを追加することで次に生成される画像に影響を与えることができるが、それでも「どんな画像が生成されるか」は事前に予測することはできない。

つまり「Midjourney」は、ユーザーが自分の望むイメージに到達するようにコントロールして導くツールではなく、予測不能な方法で画像を生成するものである。

「ユーザーは『Midjourney』で生成される画像を十分にコントロールできていない」

(アメリカの)最高裁は、著作物の著作者とは「実際に作品を形成した者」であり、「発明的または主体性」の役割を果たしている者だという見解を示している。

「Midjourney」にテキストプロンプトを入力するユーザーは、出力された画像を実際に形成していない。また、ユーザーが「Midjourney」に作成するよう指示するものと、「Midjourney」が実際に生成する画像との間には大きな乖離がある。そのため、ユーザーは(著作者として)主体性をもっていると言えるほど、十分にコントロールできていない。

テキストプロンプトを入力したユーザーではなく、出力したMidjourneyに“著作者たる伝統的な要素”があるのは明らかである。

「Midjourney」とユーザーの関係は、アーティストに依頼するクライアントの状況に似ている(※筆者注:プロンプトを入力し、初稿が複数パターン出力され、そこから自分のイメージに近いものを選択し、リテイクを重ねるというプロセスは、その人自身の創作というよりはアーティストへの発注に近い)。

ユーザーが満足のいくイメージに近づけるためにプロンプトを工夫する多大な時間と労力は、(アメリカの)法律・憲法の上、ユーザーを著作者にするものではない。
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法律・倫理……画像生成AIの是非を巡る

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1件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:9879)

そりゃそうやろな
著作権取りたいなら、自分の手で描けばええのに

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