実力派ボーカリスト・花たんインタビュー メジャー/ニコニコ/同人を横断する歌

ニコニコ動画、同人音楽、メジャーというそれぞれの場所

──同人やニコニコ動画での活動と、メジャーでCDをリリースするのとで、創作のモチベーションは違ったりしますか?

花たん 同人にしかできないこと、メジャーにしかできないことを意識しながら作品をつくっています。今作の『The flower of dim world』ですと、シンガーソングライターの天野月さんや元ホワイト・スネイクのダグ・アルドリッチさんに曲を書いていただいたり、それは同人の作品や自分一人の力じゃ絶対にできないことだと思うんです。

逆に同人の場合だとCDにどんな特典をつけたらお客さんに喜んでもらえるかな? と考えたり、全体のプロデュースまで自分で行うので、そこが面白い部分だと思います。同人音楽だと直接買って下さる方一人一人の顔が観れるし、直接顔が観れるのが大きいし、メジャーだと同人のCDよりもたくさんの方に手にとっていただけて、リリースイベントなどもしていただけたり。そういった違いが自分にとっては大事です。

趣味を仕事にするのって、すごく苦だなと思うことが、経験上あって。歌もお仕事になったらすごく苦しいものだと最初は思っていたんですが、私は歌うことが一番好きだったみたいです。こうやって3枚もアルバムを出せたことは、1枚1枚出すごとに発見があったり。性格的に変われた部分もありましたし、歌うというお仕事というのは、恵まれてるんだなと今は思っています。

──『The flower of dim world』にもそんな花たんさんの考えが反映されているように思います。アルバムにカバー楽曲が収録されているのは、「歌い手さん」のCDによくあるスタイルだと思うのですが、花たんさんいとってカバー楽曲を入れるのはどんな意図があるのでしょうか。

花たん アニソンを中心に、他の人が歌っている楽曲がやはり好きで。カバーだけでアルバムをつくってみたいという気持ちもあります。カバーを入れる理由というのは、ネットで生配信をやったりすると、「アニメの曲を歌って欲しい」というリクエストがあるんです。だからアルバムにもしっかり録音した音源を入れたら喜んでくれるかなあ、という気持ちです。あとは、カバーは歌い慣れている曲が多いので、歌っていて楽しい(笑)。オリジナルは当然ながら見本がないから、作品が出来上がった後に「ここの部分はもっとこう歌えばよかった……」という後悔が、実は毎回あります。ただ、オリジナル楽曲だけの作品で勝負してみたい! という気持ちもあります。

世界は恋に落ちている 歌ってみた



──聞いてくれるユーザーをしっかり見据えて活動されているということですね。最近の「歌ってみた」シーンについて思うことはありますか?

花たん 昔は、歌い手さんが「ニコニコっぽくない動き」をすると、ユーザーの方に嫌われるというか、バッシングを受けることが多かったんです。それが今は受け入られるようになってきたと感じています。おそらくニコニコ動画を観る人が増えて、閉鎖的なコミュニティから多様化が進行しているのだと思うのですが、周りの人たちがいろんなフィールドで活躍しているのを観ると、いい場所になったなと思います。でも最近は他の人の歌が上手すぎて、凹むことが多いですね(笑)。あとライブとかも積極的に出ていて、とても自分には真似できない……。

──たしかに、どんどんと表舞台で活躍する機会が増えていっていると思います。花たんさんは今後ライブの予定はありますか?

花たん 去年ぐらいからずっと担当さんからはツアーをやりましょうという話が続いているんですが、なにせ適当な方なので(笑)。ツアーも経験してみたいんですが、人前に出るのが苦手なので、実はライブに対してあまり前向きではないです。匿名でも活動できるのが歌い手の良いところだと思うんですけど……そう考えると逆に、他の歌い手さんたちがすごすぎて驚きますね(笑)。自分が「FF14」を寝ずにプレイしているのが異常なんじゃないかと思うくらいです。でも今回はインストアライブとトークをやるので、頑張ります!
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