突然だが、私は普段、アニメを中心にライターとして活動している。春といえば、新生活を迎える人も多いタイミングだ。
新しい学校に入ったり、会社に入社・転職したり、はたまた筆者のように結婚して新たな環境で生活を始めたり……。それはアニメの中でも同じことで、キャラクターたちは新たな環境に身を投じながら様々な物語を繰り広げていく。
例えば『アイドルマスター シャイニーカラーズ』では新たにアイドルの世界へ身を投じる女の子が描かれ、『喧嘩独学』ではいじめられっ子がネット配信を通じて反撃を開始、『ささやくように恋を唄う』では二人の少女が新たな関係性を結ぶ……といった具合だ。
私事だが、3月31日(この記事の公開日)に結婚する筆者の目線から、春の新作アニメの中でも、特に新たな環境に身を投じる少年少女の動きが魅力的な作品『夜桜さんちの大作戦』(4月7日放送開始)を紹介したい。
──と同時に、この場を借りて結婚のご報告とさせていただきたい。
文:太田祥暉
スパイ家族コメディ『夜桜さんちの大作戦』は、結婚する太陽と六美の成長物語
両親と弟を事故で亡くし、心を閉ざしてしまった高校生・朝野太陽(あさの たいよう/CV:川島零士さん)。そんな彼には、唯一話すことができる幼なじみの少女・夜桜六美(よざくら むつみ/CV:本渡楓さん)がいた。
しかし、六美の正体は、代々続くスパイ一家の十代目当主! そんな彼女を溺愛する兄・凶一郎(CV:小西克幸さん)は、妹に近づく敵として太陽の命を狙いはじめる。太陽を凶一郎から救う方法、それは家族間の殺人を禁ずる家訓となっている夜桜家の一員となるべく、六美と結婚することだった……!?
『週刊少年ジャンプ』で2019年から連載されている『夜桜さんちの大作戦』(作者:権平ひつじさん)は、スパイアクションあり、ギャグありの中で描かれる主人公・朝野太陽とヒロイン・夜桜六美の関係性と成長を描く物語だ。
まず、ひょんなことからスパイ一家に婿入りすることとなってしまった太陽は、夜桜家の七兄弟と交流しながら、一人前のスパイを目指して奮闘していく。
『週刊少年ジャンプ』ならではの「努力」描写によって、彼が人見知りではなくなっていき、一人前のスパイへと成長していく。そして掴む「勝利」。この爽快感たるや、格別だろう。
そして、一風変わったキャラクターたち──例えば夜桜七悪(ななお/CV:内山夕実さん)が巨漢だけどバケツを被っているように、夜桜家の面々はスパイとしての能力はピカイチだけどどこか抜けている、彼らの魅力からも目が離せない。
連載
毎クールごとに膨大な量が放送されるアニメ。漫画やライトノベルを原作としたもの、もしくは原作なしのオリジナルと、そこには新たな作品・表現との出会いが待っている。 連載「アニメーションズ・ブリッジ」では、数々の作品の中から、アニメライター兼ライトノベルライターである筆者が、アニメ・ラノベ etc.を橋渡しする作品をピックアップ。 「このアニメが好きならこの原作も」、そして「こんな面白い新作もある」と、1つの作品をきっかけにまだ見ぬ名作への架け橋をつくり出していく。
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