つまり、画面に映っているものは、たとえそれが小さなアイテムであっても、「何故そこにそのアイテムを置いたのか? 持たせたのか?」と、制作者の意図を考えることが、アニメを理解する視点のひとつになるだろう。
2022年10月クールのTVアニメは、まさにそんな視点で楽しめる作品が多い。例えば『チェンソーマン』は藤本タツキの鮮烈な原作漫画を、実写的な画面構成でリライト。『ぼっち・ざ・ろっく!』は、人見知り少女がバンド活動を経て成長していく様子を、意欲的な演出と繊細な作画で表現している。それ以外にも、『BLEACH 千年血戦篇』『ヤマノススメ Next Summit』といった続編モノに、『ブルーロック』『アークナイツ 黎明前奏』など枚挙に暇がない。
そんな中、筆者が特にアニメの魅力が発露していると感じているのが、『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』だ。その名が示すように、DIY(Do It Yourself)を題材とした女子高生たちの青春模様を描く本作。「最近よくある、女子高生趣味モノじゃないの?」と思う方もいらっしゃるだろうが、それだけに終わらない魅力を本作は秘めているのだ!
文:太田祥暉(TARKUS) 編集:恩田雄多
女子高生×工具=“よくある作品”じゃない『どぅー・いっと・ゆあせるふ』
幼なじみの須理出未来(すりで・みく/通称・ぷりん)と別々の高校に通うことになった、のんびり屋の少女・結愛(ゆあ)せるふ。そんなせるふの高校生活は、ある朝を機に変化していく。通学用の自転車が故障してしまい困っていたところ、先輩の矢差暮礼(やさく・れい/通称・くれい)に助けてもらったのだ。そんなくれいに感謝の意を告げようと、せるふは彼女が所属するDIY部の部室に向かう。そこでせるふは、工作の楽しさに触れていき……。
『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』は、アニメスタジオ・PINE JAMのオリジナルTVアニメーション。監督は『かげきしょうじょ!!』の米田和弘、シリーズ構成は『転生したらスライムだった件』の筆安一幸、キャラクターデザインは『アイドルマスター シンデレラガールズ』の松尾祐輔が手掛ける。 イントロダクションからも、女子高生趣味モノの印象が拭えない。さらには新潟県三条市が舞台の聖地モノとしての要素もあり、「よくある」と思って視聴対象から外した方もいるのではないだろうか。
そんな本作の魅力は、ストーリーの面白さに加えて、アニメならではの画とギミックにある。 DIY部に所属したせるふは、好奇心の赴くままに様々なモノをつくり出していく。しかし、妄想癖のある彼女はすぐ上の空になり、壁にぶつかったり道で転んだりして、生傷が絶えない。
そんなせるふに惹かれて、DIY部には新入部員が次々と加入していく。幼なじみのぷりんはもちろん、クラスメートの日蔭匠(ひかげ・たくみ)や留学生のジュリエット・クイーン・エリザベス8世(通称・ジョブ子)、ぷりんの同級生である幸希心(こうき・こころ/通称・しー)など、彼女たちが紡ぐ関係性も目を引く。
連載
毎クールごとに膨大な量が放送されるアニメ。漫画やライトノベルを原作としたもの、もしくは原作なしのオリジナルと、そこには新たな作品・表現との出会いが待っている。 連載「アニメーションズ・ブリッジ」では、数々の作品の中から、アニメライター兼ライトノベルライターである筆者が、アニメ・ラノベ etc.を橋渡しする作品をピックアップ。 「このアニメが好きならこの原作も」、そして「こんな面白い新作もある」と、1つの作品をきっかけにまだ見ぬ名作への架け橋をつくり出していく。
2件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:6304)
オモコロばりの急な話の方向転換にステマを疑いたくなりますねこりゃ
匿名ハッコウくん(ID:6194)
? で、視聴者の度肝を抜いた自転車カットって?