オーイシマサヨシが見せた「音楽人」としての姿 Zeppツアーファイナルレポート

盟友を祝福した歌は「ある意味自分のために書いた曲」

再びアコースティックギターを構えて届けられたのは「ベイビーミュージックライダー」と「ぜんぶ君のせいだ」。提供曲のセルフカバーとシングルのカップリング曲という普段なかなか演奏されることのない楽曲たちだが、思い入れのある曲として「改めて披露してみたい」というオーイシの思いのもと、セットリストに組み込まれた。

そんな強い思いをバンド全体が共有するように、アンサンブルはさらに威力を増し、呼応するようにミラーボールの光が降り注いでフロアのボルテージを高めていく。

改めてツアーを支えた頼れるバンドメンバーたちを紹介し感謝を述べていく。「誰かのための音楽もいいけど、自分が気持ちよくなれる音楽も忘れちゃいけない」オーイシマサヨシの意図を120%汲み、演奏で表現する心強いメンバーたちとのセッションを重ねる中でそんな気持ちを抱いたと告げる。 次の曲も、ある意味自分のために書いた曲なのかもしれない」と紹介して届けられたのは、盟友・加藤純一の結婚披露宴で披露した「しあわせチャンピョン」だ。

“もししあわせに形があるならきっと 今日みたいな日を言うのでしょう”

優しい鍵盤の音色からはじまる唯一無二の友への祝福の歌を真っ直ぐに歌う姿に、オーディエンスが純白のペンライトで応える光景は、あの祝宴に負けないしあわせの形をつくり出す。

世界が変わっても変わらない、オーイシマサヨシという等身大の英雄

エモーショナルな一幕を終え、クライマックスの気配が漂い始めたところで「みんなと一緒にやりたいことがある」とオーイシマサヨシ。オーディエンスにスマホのライトを点ける定番の演出を呼びかける。次の曲の一番いいところで合図をするからと約束して始まったのは「英雄の歌」。

“世界を歌う主役より 君をずっと感じてる 君をずっと信じてる 君だけの英雄でありたい”

以前とは大きく変わってしまった世界にあって、それでも変わらない等身大の英雄像を描く歌を、魂をぶつけるかのごとく絶唱すると、絶好のタイミングで客席からの暖かな光がステージを照らし出し、誰にとっても忘れることのできない感動的な瞬間を生み出した。 感動に浸る間もなく、今しがたステージから熱唱しながらオーイシ本人がスマホに収めた“映え”必至の映像をその場でツイートするという前代未聞の行動に出たが、サプライズはまだ終わらない。

続く相棒・Tom-H@ckとのユニット・OxTの楽曲「UNION」では、駆け付けることの叶わなかった相方の代わりに客席から今夜の相方を選び出し、フロアにスポットライトを当てて16小節のギターソロをエアギターで披露してもらうという空前絶後のイベントまで発生。

誰も(ゲストを)呼ばれへん(笑)、ただ、俺にはみんながいる!」と会場を笑わせつつファンを巻き込んで、一瞬たりとも退屈させまいという気概を歌唱から演出の細部に至るまで行き届かせ、さらなる熱狂をフロアに巻き起こすと間髪入れずに「インパーフェクト」へと繋げ、テンションを極限まで高めていよいよクライマックス。

クラップを煽って突入したのは「浪漫飛行」。珠玉の名曲を爽やかに歌い上げ、オーディエンスと合わせて大きく手を振って最高の祝祭空間を完成させる。そして本編ラストは、トレードマークのアコースティックギターを担いで必殺のスラップ奏法からの「君じゃなきゃダメみたい」でフィナーレ。カラフルなスポットライトを一身に浴びながら、本領発揮と言わんばかりにギターをかき鳴らし、どこまでも伸びてゆくような歌声を轟かせて名残惜しそうにステージを後にした。

「1秒でも長くステージの上に」次なるワンマンでの再会を誓う

アンコールを求める割れんばかりの拍手に応えて颯爽と登場すると、「オーイシ×加藤のピザラジオ」の企画でつくったエレキギターを手に「ドラゴンエネルギー」を披露。三度目の正直で一緒に歌っている加藤純一とステージに並び立つ……ことは実現しなかったが、事前に録音された歌声と軽妙なセッションを繰り広げ、最後の一滴までエネルギーを絞り出すように、歌声に魂を乗せていく。

1秒でも長くステージの上にいたくて」──計3公演を駆け抜けた初のZeppワンマンツアーを振り返りそうこぼすも、「またいろんな形でみんなに会えるように頑張ろうかな」と切り替えて「ようこそジャパリパークへ」で真なるフィナーレへ。

まるでライブが今始まったかのように全力でステージを飛び回れば、共鳴するようにオーディエンスも大騒ぎ。みんなで「うー!がぉー!」を合わせて、グランドフィナーレを賑やかに彩り、会場を突き破りかねんほどの幸福感が溢れた。

最後の最後には、次回のワンマンツアーの開催も告知され、名残惜しくも再びの邂逅を誓い合って最高の夜は幕を閉じた。

なお、5月から6月にかけて行われた「オーイシマサヨシ Zeppワンマンツアー2022」のセトリプレイリストが各音楽配信サービスで公開されている(外部リンク ※「ぜんぶ君のせいだ」は除く)。

■「オーイシマサヨシ Zeppワンマンツアー2022」セットリスト
01.楽園都市
02.乗ってけ!ジャパリビート
03.エンターテイナー
04.MANKAI☆開花宣言
05.奇天烈ポエマー
06.オトモダチフィルム
07.キンカンのうた2020
08.恋はエクスプロージョン
09.ベイビーミュージックライダー
10.ぜんぶ君のせいだ
11.しあわせチャンピョン
12.英雄の歌
13.UNION
14.インパーフェクト
15.浪漫飛行
16.君じゃなきゃダメみたい

ENCORE1.ドラゴンエネルギー
ENCORE2.ようこそジャパリパークへ

■ワンマンライブ情報
オーイシマサヨシ ワンマンライブ 2023開催決定!
2023.03.18(土)神戸文化ホール
2023.03.25(土)TOKYO DOME CITY HAL

大石昌良さんの連載記事

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