連載 | #106 渋谷万歳

写真家 佐藤健寿「バーチャル軍艦島」を撮影 渋谷で世界遺産の体験展示開催

写真家 佐藤健寿「バーチャル軍艦島」を撮影 渋谷で世界遺産の体験展示開催
写真家 佐藤健寿「バーチャル軍艦島」を撮影 渋谷で世界遺産の体験展示開催

ハビウル渋谷で開催されている「渋谷軍艦島展」のキービジュアル

  • 20 images

写真家・佐藤健寿さんが撮影したバーチャル軍艦島の写真を展示する「渋谷軍艦島展」が、1月15日(月)まで渋谷文化村通りのハビウル渋谷で無料で開催されている。

世界遺産をはじめとする貴重な自然や文化を3Dデータ化して保存。様々な企業・団体と3Dデータを活用し、保全活動に還元していくプロジェクト「HERITAGE DATABANK(ヘリテージ・データバンク)」の第1弾イベントとなる。

長崎の世界遺産・軍艦島とバーチャル軍艦島

巨大な廃墟として知られる長崎県長崎市の世界遺産・軍艦島は、現在上陸見学ツアーはあるものの、島の9割が立入禁止エリアに指定されている。

海上の天候によっては上陸不可な日も多く、アクセスは容易ではない。また、近年では劣化の進行も著しく、文化遺産の保全や修復、観光などへの利活用は地方自治体にとって大きな課題となっている。 そうした背景を受け、新しい世界遺産保全を目指すプロジェクト「HERITAGE DATABANK」は、長崎市世界遺産室とともに最新の3Dスキャン技術によって軍艦島のデジタルアーカイブを実施。

バーチャルの世界にもうひとつの軍艦島が誕生した。

「渋谷軍艦島展」では、そのデータを活用した様々な表現に挑戦。写真家・佐藤健寿さんによる「バーチャル軍艦島写真展」のほか、立入禁止エリアに上陸しバーチャル写真を撮影できる「バーチャル軍艦島上陸展」「バーチャル軍艦島解剖展」などを企画した。

会場の展示概要
1F:プロジェクト概要(展示)
新しい世界遺産保全を目指す「HERITAGE DATABANK」プロジェクトと渋谷軍艦島展の概要を展示。

2F:軍艦島建築解剖展(展示)
軍艦島に現存する歴史的な建築群の一棟一棟を、3Dデータならではの表現によって解剖しデジタルアー
カイブ。日本最古の鉄筋コンクリートアパートをはじめ、劣化が進む軍艦島の「今」を記録する。

3F:佐藤健寿氏 バーチャル軍艦島写真展(展示)
写真家・佐藤健寿氏によって撮影された世界初のバーチャル軍艦島写真の展示。機材が置けない、アングルが切れないなど、現実世界では撮影不可能なバーチャルならではの軍艦島写真を展示。

4F:バーチャル軍艦島 撮影・探索コンテンツ(体験)
佐藤健寿氏が撮影に使用したバーチャル軍艦島の撮影・探索コンテンツを来場者も体験可能。軍艦島の立入禁止区域に足を踏み入れて、自分だけの軍艦島をバーチャル写真で記録することができる。

佐藤健寿「懐かしくもあり、同時に新しい、未知の体験だった」

佐藤健寿さんは世界各地の“奇妙なもの”を対象に、博物学的・美学的視点から撮影している写真家。

著書に写真集「奇界遺産」シリーズ、『THE ISLAND – 軍艦島』ほか。TBSのTV番組『クレイジージャーニー』などに出演。

写真展は長崎グラバー園、ライカギャラリー東京/京都、群馬県立館林美術館などで開催してきた。

佐藤健寿さん

佐藤健寿さんのコメント
過去に何度か上陸した軍艦島に、今回は全く新しい方法で「上陸」した。廃墟となった荘厳なビルの隙間から溢れる光、時間の移ろいで変わる島の独特の陰影。画面を見つめながら島を「歩く」うち、島の記憶がフラッシュバックして、眼前のリアルな光景に没入した。それは懐かしくもあり、同時に新しい、未知の体験だった。

【画像】会場に展示される写真や体験コンテンツ

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連載

渋谷万歳

日本が世界に誇るべき最高のポップシティ、渋谷。 あらゆるカルチャーと人種が集まるこの街で、毎日のように繰り広げられるパーティー、愛のはじまり、夢の終わり、高揚感と喧噪、その捉えがたきポップの断片をかき集める人気連続企画。 2010年代は渋谷から発信されていく、と思う。

佐藤健寿をもっと知る!

イベント情報

渋谷軍艦島展

開催場所
ハビウル渋谷
住所
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町26-6
アクセス
JR山手線・東京メトロ銀座線・東京メトロ半蔵門線「渋谷駅」徒歩3分
イベント期間
2024年1月12日〜1月15日
11:00〜21:00
主催
渋谷軍艦島展実行委員会(HERITAGE DATABANK / ⻑崎市 / 一般財団法人産業遺産国⺠会議)

【軍艦島 概要】
⻑崎港から南⻄約18kmの海上に浮かぶ無人島・軍艦島。
かつては海底炭鉱の島として栄え、良質な石炭によって日本の近代化を支えていた。1960年代には5,000人以 上もの人々が暮らし、埋め立てによる島の拡張や日本初の鉄筋コンクリート造による高層アパートの建築など、小さな島に当時の先端技術が集められていた

しかし1974年、炭鉱が閉山をむかえると同時に無人島に。以来、建物は朽ち果て、現在進行形で劣化を続けている。2015年には「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つとして端島炭坑が世界文化遺産に登録されたが、地理的・技術的理由からその保全は困難を極めている。

現在、上陸見学ツアーはあるものの、島の9割が立入禁止エリアであり、海上の天候によっては上陸不可な日も多く発生しており、アクセスは容易ではない。


【「HERITAGE DATABANK」プロジェクト概要】

ヘリテージデータバンクは、「デジタルアーカイブ×クリエイティブデザイン」で、世界の貴重な自然や文化を保全し、新たなカルチャーを創り出すプロジェクトです。

世界有数の3Dスキャン技術による、超高精細なデジタルアーカイブの実現と、メタバースやWEB 3.0時代における、3Dデータの新たな活用と体験の開発で、保全活動だけでなく、観光やエンターテイメントまでも、アップデートします。

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