日本総研、国内のアニメ産業に提言「強力な賃上げを行う必要がある」

日本総研、国内のアニメ産業に提言「強力な賃上げを行う必要がある」
日本総研、国内のアニメ産業に提言「強力な賃上げを行う必要がある」
日本のシンクタンク企業・日本総合研究所(日本総研)が1月9日、「わが国アニメ産業の現状と課題」と題した報告書を公開した。

国内のアニメ産業について、海外市場を活路として付加価値を増加させるポテンシャルがあるとしつつ、常態化している企業間および企業と労働者間の不公正な配分を是正する必要があると提言している。

海外市場が広がる一方、低賃金が才能の流出を招く国内アニメ産業

日本総研は、経済・政策情報などの研究をおこなう企業。「次世代の国づくり」をスローガンに、 経営戦略/産業振興のコンサルティング、 経済の調査分析や政策提言などの発信をおこなっている。 報告書で日本総研は、日本のアニメ産業が世界市場への拡大により、大きな成長の可能性を持っていると分析。

日本産アニメの市場規模は2012年の1.3兆円から直近2022年には2.9兆円まで拡大。国内売上は1.1兆円から1.5兆円と約1.3倍増加した一方、海外売上は0.2兆円から1.5兆円と約6倍の規模に成長している。

こうした市場の拡大の一方で、重要な課題として日本のアニメの品質を維持・向上させつつ、生産能力を増加させることを挙げている。

最低賃金の設定や、労働組合の設立による労働条件の交渉を提言

特に若手のアニメクリエイターの確保と育成が重要であるとし、他業界と比べて著しく低い賃金が才能の流出を招いていると問題点を指摘。

「若年層を中心に強力な賃上げを行う必要がある」と特定のアニメーター職種の最低賃金の設定や、労働組合の設立による労働条件の交渉が必要であると提言している。

報告書では政府に対しても、企業と労働者間の公平な分配を保証し、産業の持続可能性と世界市場での競争力を高めるための介入を求めた。

アニメ制作会社の利益率の低さと交渉力の問題に対して、特に海外市場におけるアニメの成功から恩恵を受けるために、会社が一定割合の著作権を保持する法整備が提案されている。

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1件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:9519)

これを実現するためには、アニメーターの職能別労組の結成や、利益の分配に関して政府による介入のどちらか、もしくは両方か、はたまた単純に補助金政策とかけあわせたりとか、色々考えられるが、問題は「果たしてその金は末端のアニメーターを利するのか」という事である。アニメ制作会社に金を入れても末端まで行き渡らなければ意味が無い。
支援をするのは大前提として、どういう形で支援するのがベターか、これから考えないとな。

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