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「夏コミ」に続き、島本和彦先生に直撃インタビュー

──コミケ準備お疲れ様でした。前回も取材させていただいた者です。

島本先生 ああ! いや〜前回はちょっとしゃべり過ぎちゃったからねえ(笑)。

──完売直後のインタビューでしたが、大きな反響がありました。

島本先生 夏はさ、庵野秀明はじめ東宝さんに乗っけられて動いてしまったんだけど、ツイートを見てみると、「宣伝のために(東宝と)島本が組んでる」とか書かれていて、そんなこと一切ないんだよ! 一切ギャランティももらってない(笑)!

何かの授受があったとしたら、「発生可能上映」のチケットと、その後の食事をおごってもらっただけ(笑)。

チケットも、サービスというより、チケットを送ったら来なきゃいけないだろうっていう感じで(笑)。7分で完売するチケットを取る能力なんてないから、「ごめんチケット取れなかったよ」で済ませたかったんだけどね、本当は……。

要は、友達が映画をつくったから応援の意味で同人誌をつくった、友達が映画に呼んでくれたから応援に行った、というだけのこと。今回の続編も含めて、あくまで応援の一環ですよ。

そういうのも、『ザ・ツイート・オブ アンノ対ホノオ』では全部明らかにしているからね!

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冬コミ用に制作したという『アンノ対ホノオ』スタッフ用ジャンパー

──前回は、頒布の際に大きな混乱が起きて、先生も「想定外の盛り上がりだった」とのことですが、今回は順調に頒布されているようですね。

島本先生 そうそう、今回夢のシャッターだから。2000年からほぼずっと出展してるけど、初めてなんだよ。

前回までは、コミケ側にナメられてたから(笑)。「おまえなんかこんなところで売ってみろ、列なんてできねえぞ」って思われてたんだろうけど、うちは売り子が早くてものすごいスピードで売るから列ができないだけなの! 夏はそれでもパニックになっちゃったんだけどね。

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「ウラシマモト」スタッフによる熟練の頒布スピード

──それで今回はシャッター扱いになったと。

島本先生 前回、スタッフ追加人員用のチケットがほしいと頼んでも少ししかくれなかったんだけど、今回はさすがに多くくれた。それはコミケに感謝です、ありがとうございます!

──コミケ翌日の応援上映では、「クリエイター全員が負けたんだ」とお話されていましたね。

島本先生 要するに、「こういうゴジラが見たい」という子供の頃からの思いがずっとあったんだよね。小学生や中学生の時に見たものが原体験として残っていて、そういうものをもう一度大人になっても味わいたいと思うんだけど、そんなの無理じゃん。そもそもそういう風につくられていないんだもん。それはそれでいいと思っているのね。

でも、『シン・ゴジラ』は、大人になった自分が「これを見たかった」というものになっていた。これをつくれたことは、やっぱりすごいよ。後はヒットすれば文句ないと思ってたけど、ちゃんとヒットしたから、「どうだ、すごいだろ!」って。俺がつくったんじゃないけど(笑)。

──『シン・ゴジラ』も含めて、あの後、日本の映画はすごい盛り上がりましたよね?

島本先生 うん、本当に盛り上がったね。

──あの直後、同じ東宝配給の『君の名は。』も大ヒット、11月からは『この世界の片隅に』(配給は東京テアトル)も評判を博しています。先生は、その状況をどうご覧になっていますか?

島本先生 ある意味、「こういうのをつくりたいんだよ!」っていうのが出てきたってことだと思う。「こういうのがほしいんでしょ?」じゃなくて「こういうのつくりたいんだけどどう?」っていう作品がちゃんとウケたのは、非常に喜ばしいことですよ。

プロデューサーからの「こういうのをつくりなよ」っていう形から、つくり手側が「こういうのをつくりたい」というものがウケるようになると、作品の質が上がる。質が上がるというのは、単につくりたいものをつくるということではなくて、お客さんの方を向きながらもいいものをつくる、ということ。そういうのが出てきたのは嬉しいし、いい方向に向かっているなと。

──『シン・ゴジラ』も、庵野さんが思い入れを込めてつくりたいと思ったものをお客さんにちゃんと届けた作品であると。

島本先生 ただ、アイツはゴジラに思い入れがある、というわけでもないみたい。庵野は「ゴジラが好き」というか「特撮が好き」なんだよね。だから『シン・ゴジラ』では、特撮好きとして「ゴジラをつくるんだとしたらこうじゃないか?」と真剣に取り組んだと。

東宝さんも実は「庵野さんがこんなにやってくれるとは思ってなかった」んだって。庵野は総監督で、樋口さんが監督だから、ほぼ樋口さんがやるもんだと思っていて、ちょっとやってくれればいいかなと思っていたのが、彼自身がかなり制作したでしょ。それはやっぱり、(庵野の)特撮に対する思い入れだったんだよ。この本に、その辺のこともすべて描いてあるんだけどね!

──ちなみに、夏コミでは、庵野監督とはほとんど話していないとおっしゃっていましたが、その後、ゆっくりお話をされたんでしょうか?

島本先生 上映の後に、2・3時間くらい(話をした)。その時のことも少しだけ続編には描いてますね。

『ザ・ツイート・オブ アンノ対ホノオ』前後編、通販は未定

あとはネタバレになってしまうため、インタビューでうかがった裏話なども収録されている濃密な『ザ・ツイート・オブ アンノ対ホノオ』前後編を手に入れた人は読んでみてください。

ただし、前作『アンノ対ホノオ』はコミケ終了後に通販も発表されましたが、今回はまだ未定だという。

前作の通販を受け付けた際、未振込や同姓同名の申し込みによる発送時手続きの混乱が起きて、かなり苦労されたよう。惜しくも手に入れられなかったという方は、続報を待ちましょう。
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会場 東京国際展示場 東京ビッグサイト

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この記事へのコメント(1)

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にいみなお

2017.01.05

ようやく発売した『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』の感想を読むに、そちらにも「いかに庵野総監督が現場に出張ってきてスタッフも困惑したか」ということが克明に書かれているそうで、島本先生のこの証言とも一致する。

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