Yan Sekuの頭の中──Tajyusaim Boyz脱退から千葉雄喜プロデュース、逃げ出した空白の4年
2024.03.15
クリエイター
この記事の制作者たち
「孤独は一生ついてまわるものっすね」
まっすぐな目で遠くを見つめながら語る彼の姿は、哀しそうでも寂しそうでもない。ただただその事実を受け入れた上でやることをやるだけという、覚悟を決めた者の顔をしている。
「売れたから人が集まってきてチームが組めました、というのはあまり好きじゃないんすよ。リスナーが増えたのは、若手が出てきてドリルのシーンが拡大したから。それはそれで良いことだけど、自分は別に仲間が増えたなという感じはしない」
ralphは、今最も熱狂的な人気を誇るラッパーの一人。1998年に横浜で生まれた彼は2019年にデビュー、ドリルやグライムといったUKのサウンドにスキルフルなラップを重ねた音楽を日本のシーンに持ち込んだことでブレイクし、2020年には「ラップスタア誕生」で優勝も飾った。
2023年には「Get Back」がヴァイラル・ヒットしたことでその人気はさらに拡大。多数の客演をこなし、もはやこのシーンにおいて名前を聞かない日はないほどだ。「ralph第1章の集大成」と位置付け、11/5に渋谷 Spotify O-Eastで開催したワンマンライブ「DAVANTA」は圧倒的ともいえるフロアの熱狂を生み出して締め括った。一挙手一投足は多大なる注目を集め、ヒップホップ・ヘッズの指針になっているralph。けれども、どれだけ立ち位置が変わろうと彼がこだわっていることはただ一つ、自分自身との対峙。
目次
- アンダードッグでなくなったいま、自身に向く怒り
- ヘッズの頃の自分が一番のヘイター
- 孤独なラッパー、ralphのその先
- ロックサウンドへの接近。ヒップホップのフロアで起こしたクラウドサーフ
「自分が運良く長くやってるカルチャーが大きくなってきて、関わる人とか話が通じる人だったり、客演で一緒にやる人も増えてるけど、自分の中の孤独感はむしろ増えてる。そういう人って大体孤独なんじゃないかと思いますよ。取り巻きとかめっちゃいても。
だからこそ、周りに人がいないから自分で自分に注意するしかないんすよ。それはもう、昔から。子どもの時から注意してくれる人とかいなかったし、カッコいいと思える先輩もいなかったから自分でカッコよくなるしかなかったし」
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