劇場版『攻殻機動隊』は林原めぐみがすごい! 田中敦子×大塚明夫×山寺宏一が脱帽

一言「トグサ!」と呼んでもらえたらスイッチが入る

──草薙素子、バトー、トグサの3人は単なる上司部下とは異なる特殊な関係性なのが特徴的です。演じられた皆さんの関係性に共通するところなどはありますか?

大塚明夫 僕らは歳も近いし、似たような時期に仕事を始めて、同じように仕事をやってきているので、どうしても似通ってしまうところはありますよね。もちろん公安9課のメンバーはみんな信頼できる仲間たちですけど、この3人には特にそういう繋がりがあるのかなって感じてます。

山寺宏一 トグサはバトーのことをダンナって呼んで慕っていますけど、僕から見た大塚さんも実際そうなんですよ。本当に頼りになるし、まさに兄貴分って感じです。

そして少佐はトグサにとって憧れの存在なので、やっぱり特別な思い入れというか、何があってもついていくんだって気持ちがあります。あっちゃんは可愛らしい女性ですし、僕の方が年上ですけど、一言「トグサ」って呼んでもらえたらもうトグサスイッチが入りますね。

山寺宏一さん(トグサ役)

田中敦子 トグサ!

山寺宏一 ワン!

田中敦子 もう(笑)。そんな風に言っていただきましたけど、私から見たらそもそも2人は先輩ですし、私がデビューした時にはすでに雲の上の存在だったんですよ。

「攻殻機動隊」の前にも共演する機会はありましたが、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のオーディションの最終段階で、関係性のバランスを見るために3人一緒に演技をする機会があったんです。

その時は、この2人と一緒にやることになったらヤバいなって思いつつも、やってやるぞって武者震いがしてくるような思いもありました。そこからずっとご一緒することになったんですが、劇中の2人のように頼りになるし、本当にナイトのような存在だなって思います。

大塚明夫 まぁ従えてるクイーンが一番強いんですけどね(笑)。 ──本作では、「現実を生きながら、摩擦のないもう一つの現実を生きられるようになる」N化(ダブルシンク)という概念が登場します。現実の生活を送りながら仮想世界を生きるというのは、現在の技術では想像しかできませんが、仮に実現できるとしたら、皆さんはN化を望まれますか?

田中敦子 私は普段、結構キャパオーバーになってしまうところがあって、「あぁもう私が2人いてくれたらいいのに」って思うことがあるんですが、できるならN化してみたいなと思いますね。

大塚明夫 便利かもって意味でもやってみたいけど、自分がN化をしたとして、どんな理想の世界を描くのかが気になるな。

リアルな俺たちは、普段やらなくちゃいけないからって理由でいろんなめんどくさいことをこなしていると思うけど、それが自分の満足に繋がっているかというとそうじゃない。そんな俺が描く理想の世界ってどんなものなのか、確かめてみたいという思いはあります。 山寺宏一 実際どんな感じなんだろうね? 幸せって結局自分の感覚次第だし、現状で満ち足りて幸せだって思う人もいれば、どれだけ求めても足りないって考える人もいる。

そもそもリアルに戦争があって、今日の命すら危ぶまれるような人たちが実際にいるわけで、そうした解決できるのかわからない問題に直面している人々にとっての理想の世界って、どんなものなんだろうって考えちゃいますよね。

最初にN化の話を聞いた時は、興味深いけど仮想で理想の世界を生きるっていうのはちょっと違うんじゃないかと思いました。けど、もうそうまでしないと争いはなくならないなら……って、本気で考えてしまうところはあります。

大塚明夫 今のような社会が成立するもっと前の時代から人類は争い合ってるわけだし、そこまで強引にやらないと前に進まないのかもしれないな。

田中敦子 そう考えると、仮想の空間に救いを求めて、一日中ビーチで過ごすのもいいかもしれないわね。 ──本編さながらのやり取りを見せていただけましたが、皆さんとしてはN化をすすめるシマムラタカシの思想に賛同する部分もあるのでしょうか?

大塚明夫 今が幸せじゃないわけではないんですよ。ただ興味はあるなっていうだけで。

山寺宏一 もちろん今は幸せです。だから実際にN化するかって考えると、やらないかもしれないな。

田中敦子 あら、じゃあ山ちゃんはよっぽど幸せなのね?

山寺宏一 よっぽど幸せですよ! 恵まれているなって思うし、現状に不満があるわけでもありません。でも、かたや世界にはいろんな問題があって、それに対して何もできない自分がいる。それってどうなんだって考えてしまうことはありますよね。
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