「いつか絶対、また夢の続きを」キズナアイ、ラストライブに見た絆の光

自ら刻んだ「可愛い」の最高値を瞬間で更新

先ほどからライブ空間を彩っていたロケットやぴょこぴょこ、花火などの様々なアイテムたちは、YouTubeのスーパーチャットやスーパーステッカーに対応して出現していたようで、今日のために特別につくられたというシステムを嬉しそうに説明するキズナアイさん。VTuberの始祖たる彼女がプラットフォームの特徴を十二分に活用している姿にまた胸が熱くなる。

「ここまではかっこいい私を見ていただいたと思うんですけど、普段の私は?」と煽ればどこからか「可愛い〜」の声が聞こえてくる。満足げな笑顔を見せながらもまだまだ物足りないようで「普段の私は~??」とオーディエンスの心臓を止めかねないドアップで催促すると、今度はそこら中から「可愛い!」の声が響きわたった。

「ここからは可愛い私も見せていけたら」という宣誓から刹那での衣装チェンジと共にバーチャルMoe Shopさんが合流すれば、次なる曲は「RADIO LOVE HIGHWAY」だ。 ピンクのライトに照らされて、宣言通り全力全開の可愛いを表現する様はまさしく彼女の独壇場。自ら刻んだ可愛いの最高値を瞬間で更新し続けて、見る者の目にキズナアイがキズナアイたる由縁を焼き付ける

続いて「over the reality hello, world 2022 version」へと繋ぐと、背景には次々と笑顔のVTuberたちが映し出されていく。嬉しそうに飛び跳ねながら寄せられる祝辞を全身で受け止めて、ポップ&キュートなラップを繰り出してはハッピーなバイブスを散布。

バーチャルAvec AvecさんからバトンタッチしてバーチャルDE DE MOUSEさんが現れると「Melty Dreaming GIRL, Melty Dreaming BOY」を披露。カラフルなハートが飛び交うフロアでポニーテールを躍らせながら揺れ動く恋心を表現し、愛し愛されて辿り着いた今日のステージを味わい尽くすように舞い踊る。

ミライアカリ、電脳少女シロ──規格外な夢の共演

予想を大きく上回る衝撃を与え続けたライブもいよいよクライマックスへ。「ラスト3曲となります!」と宣言するやいなや「えー! 今来たばっかりー!」とセルフレスポンスを入れてみせる。

そんな彼女に歴戦のエンターテイナーっぷりを感じざるを得ないが、それでも漂いかけた一抹の悲壮感を振り払うように「燃え尽きるってくらい盛り上がっていっちゃいましょう!」とフロアに再び火を点けて「Touch Me」へ。

再びの衣装チェンジと共に光の中から現れたのは、なんとミライアカリさんと電脳少女シロさん! 今に続くVTuber文化を築き上げたスーパースターたちがステージ上に並び立つ歴史的瞬間に、問答無用でテンションがぶち上げられる。 そんなオーディエンスの狂喜乱舞に負けじと、可愛く振りを合わせて限界突破のハピネスを顕現させていく3人娘。もはや反則レベルのドリームチームの結成に笑顔と涙が止まらないでいると、続く「new world」ではおめがシスターズの2人に猫宮ひなたさん、犬山たまきさんらが参戦。

豪華すぎるセッションの連続はオーディエンスに情報の処理を追いつかせないが、遠慮知らずに激しさを増す照明と縦横無尽に荒ぶるカメラワークが、カオスと祝祭感を加速させる。 そして本編のラストは「ライブといったらこの曲ですね!」と全員集合の「AIAIAI」でフィナーレ。ステージにはloveちゃんやbilibiliで活躍する爱哥(アイガー)さんも駆けつけ、特別な瞬間をさらにスペシャルに彩っていく。

魅力全開のパーティーチューンに乗せられるがままクラップ&クラップで盛り上がりが過熱していくと「まだまだいくよ!」の掛け声でさらにヒートアップ。すぐそこに迫る終幕を忘れさせるような大熱狂を巻き起こし、打ち上げ花火まで上がって最高のハッピーに包まれ、ライブ本編は幕を下ろした。

彼女との絆を繋ぎ、紡ぐ「キズナ(#KZN)」ちゃん

キズナ(#KZN)ちゃん

すると息つく間もなく「キズナアイオリジナル CeVIO AIの開発」が発表。キズナアイさんの精神と歌声を継承した存在として、ここまで築き上げた絆がスリープ中にも繋がり続けるように、そして新たな絆を紡げるようにという願いを込められた名前は「キズナ(#KZN)」ちゃん。

そんなニュースターが、早速ライブを披露するという急すぎるアナウンスに大慌てしていると、キズナちゃんがキズナアイさんと共にオンステージ!

初披露曲として選ばれたのは「Kizuna AI to AI」。sasakure.UKさんがキズナアイさんの声をサンプリングして制作したこの曲を、本人とデュエットで披露するという文脈性の高すぎる構成に開いた口が塞がらない。まさしく新章を予感させる無限大のポテンシャルを発揮して、キズナちゃんの初ステージは大成功を収めた。 「私の声を学習して歌ってくれるので、つまり私がママってこと? ちょっとママって言ってみて!」と早速漫才のようなやり取りを繰り広げて、頼もしい後輩にバトンを渡すと、再びのクライマックスへライブは過熱していく。

続いて披露されたのは新曲「Linx」。「つなぐ」という言葉を誰より大切にしてきた彼女がその意味を体現するように言葉を紡いでいく。すると、湧き上がる光の粒によって背後に生まれた大きな輪が、彼女がつないできた絆を象徴するかのようにまぶしく光り輝いた。

煌めく絆が連なり、星々が瞬く大銀河を描き出すと「Sky High」で大団円を飾る。「長い眠りから覚めた声で聞かせて ハロー!」、アップデートへ向けてスリープを選択した彼女が歌うその言葉が、いつか来るその日を確信させる。キズナアイさんが静かに手を振って、アンコールは終幕した。

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