連載 | #3 「ワンダーフェスティバル2018[冬]」

「うしじまいい肉」18禁フィギュア爆誕! 女性原型師入魂のエロい腰づくり

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「うしじまいい肉」18禁フィギュア爆誕! 女性原型師入魂のエロい腰づくり
「うしじまいい肉」18禁フィギュア爆誕! 女性原型師入魂のエロい腰づくり

「ワンダーフェスティバル2018[冬]」で展示された「フィギュアの国のうしじまいい肉」/モザイク加工は編集部

POPなポイントを3行で

  • あの「うしじまいい肉」18禁フィギュアの制作秘話
  • 実は、原型師がメーカーに持ち込んで実現していた
  • こだわり抜かれた腰回りは必見!
2月18日に開催された「ワンダーフェスティバル2018[冬]」。このイベントの企業ブースにおいて、一際異彩を放つのがフィギュアメーカー「native」(ネイティブ)のブースだ。

Hなことしかやりません! 他のことには興味、ございません!」と断言するネイティブのブースは巨大な箱型。外から見えないように展示されたフィギュアは、いずれも「可愛くてH」という目標に向けて投げ込まれた、豪速球のストレートばかりである。

ワンフェスでは毎回、外からは見えない18禁ブースに長蛇の列が広がる光景が繰り広げられている。

そんな中に展示され、大いに注目を集めていたのが「フィギュアの国のうしじまいい肉」の完成見本。スレンダーな肢体が特徴的なコスプレイヤーうしじまいい肉氏をモデルに、イラストレーターのERIMO氏がイラストを作成。さらにそれを原型師である石長櫻子氏が立体化したという異色のフィギュア(当然18禁)である。このフィギュア製作に参加したクリエイターは全員女性

そこには一体どのような経緯とこだわりがあったのか? 石長氏とERIMO氏にお話をうかがってみた。

取材・文:しげる 編集:新見直

原型師がうしじまフィギュアをメーカーに提案

企画の発端は原型を担当した石長氏。フィギュアをつくり出してから20年近くになり、ネイティブでは『さよならを教えて』の「天使様」やイラストレーターRAITA氏による『魔法少女』シリーズの「新田由比」を手がけている。

ディーラー「植物少女園」として個人でもワンフェスに参加する、少女らしい華奢な造形を得意とする原型師だ。彼女は以前からうしじま氏のファンだったという。

石長「元々ウェブでうしじまさんの写真とかは見てて、体つきとか顔とかすごくかわいい方だなと思ってたんです。その後に青森で開催されたフェスに行ってその撮影会で初めてご挨拶させていただいたんですけど、お会いしたらすごくいい方だったんです。それでやっぱりフィギュアをつくりたいと思って、こっちからネイティブさんのほうに企画を出したんです。うしじまさんもネイティブさんも快くOKしてくださったので、それでつくり始めました」

イラストを担当したERIMO氏と石長氏は元々親交があり、今回オファーしたのも石長氏の案だ。「ERIMOさんは最近アイドルを可愛く二次元化したりしていたんで、今回の趣旨には合うだろうと思って」お願いしたという。

実は、原型師からの企画持ち込みという形で商品化されたうしじまいい肉フィギュア。石長さんとしても「こういうプロセスで決まった仕事は今までなかったです」とのことだった。

本人のデッサンを通して気づいた、うしじまいい肉の立体感

かくして「うしじまさんのフィギュアをつくりたい!」という強い気持ちから始まった実製作。イラストを担当したERIMO氏は、まず独特の体型を活かすポージングからこだわったと語る。

ERIMO「ポーズを決めるときにまず正面立ちの写真とかも見せていただいたんですけど、私は体をひねったポーズが好きだったんで、こちらから『こういうポーズの方がいいんではないでしょうか』と3~4種類ラフを提出して、そこから選んでいった感じです」

さらに、イラスト作成にはうしじま氏本人を直接デッサンしてわかったことも盛り込まれている。

ERIMO「実際にデッサン会を開催してもらって、そこでご本人の体型を直接見ることができたんです。想像だとそこまでボリュームのある体とは思っていなかったんですけど、うしじまさんの体型って肩幅が割とあるのに体の前後の幅がすごく薄いんですよ。だから体を捻ると立体的に動きが出てすごく見栄えがするんです。そこは大きなポイントで、実際に見てよかったなと思いました」

フィギュアの服装についてもこだわった。肌色多めの服装だが、ベースになっているのはERIMO氏のオリジナルキャラクターだという。 ERIMO「最初はメイド服がいいかなと思ったんですけど、単に普通のデザインもどうなんだろうと。そこで、私のつくってた『お正月ちゃん』っていうキャラのモチーフをミックスしました。"私の考えたキャラクターの服を私が好きな人に着てもらう……"という妄想も含めてデザインしたんですけど、みなさんにかわいいって言ってもらえたんでよかったですね(笑)。露出度を高くっていうのはうしじまさんからの要望でもあったんですけど、そこに準じてギリギリにしつつあくまで可愛くしようと」

ERIMOさんによる原案イラスト/画像はnativeブログより

ということでなんともエロくもおめでたいイラストが完成。ここからは原型を担当する石長氏の担当である。

うしじまいい肉からNGはなし!

華奢でラインが綺麗な肢体の造形を得意とする石長氏。最近は中村明日美子氏の作品を題材としたフィギュアも作成しているが、元々は造形物としての少年は手がけていなかったという女の子フィギュアガチ勢である。

石長櫻子氏による中村明日美子『同級生』の胸像

「最初から自分でつくるのは女の子のフィギュアばっかりだったんです。ちょっと前に商業で『黒執事』のシエルをつくったんですけど(外部リンク)、それまで少年ってつくったことがなくて。その時に色々勉強してやっとわかってきたかなって感じですね。明日美子さんの作品は前から好きだったんですけど、やっぱり難しそうだったんで『つくれるようになってからつくろう』と思ってました」

そんな彼女がこだわったのも、やはりうしじま氏の体型を再現することだった。

石長「うしじまさんって体型自体がイラストっぽいというか、二次元っぽいんですよね。ご本人がネットにあげている写真も、どれを見ても『これはうしじまさんだ』って体型だけですぐわかるんですよ。それをどうしてもフィギュアで再現したかったんです。ボディライン全体にこだわってはいるんですけど、例えばウエストはすごく細くつくってます。それに対するお尻の大きさや上半身の薄さは、相当気を使った箇所ですね」

うしじまさんの体型として一番特徴的なのが腰骨のあたりの形状」だと語る石長氏による最大のこだわりが盛り込まれたのが、やはりお腹から腰にかけてだ。

エロさにこだわったといううしじまいい肉フィギュア/一部モザイク加工は編集部

確かに現物を見ると、薄く浮き出た肋骨と腹筋の凹凸、さらにそこからつながる腸骨の形状には執念すら感じる。

さらに言えば、上半身を大きくひねりつつ右足を持ち上げているポーズなので骨盤自体が大きく斜めに傾いているのだが、その角度と各部の筋肉との整合性もバッチリ。さらに体の表面には腰回りの薄い脂肪の柔らかさの表現まで盛り込まれており、見れば見るほどとんでもないことになっている。眼福である。 二人が口をそろえるのが、「うしじま氏からは何もNGを言われなかった」という点だ。

石長「ERIMOさんとは色々やりとりをしたり、ネイティブさんにはディレクションを入れてもらったところもあるんですけど、うしじまさんからは何も『やっちゃダメ』的なことは言われなかったです。アーティストの人たちをリスペクトしているから、そういうことは言わないんですよ」

題材となったうしじま氏と実作業を担当したERIMO氏と石長氏。互いにリスペクトがあり、信頼しあって進んだプロジェクトであることをうかがわせる。その結果として、それぞれが考える可愛さとエロさを存分に盛り込むことができたのが、「フィギュアの国のうしじまいい肉」なのだ。クリエイターの現場としては、理想的な環境ではないだろうか。

そんな「フィギュアの国のうしじまいい肉」は現在ネイティブのショッピングサイトで4月16日まで受注中。発売は今年9月を予定している。

完全受注生産なので、購入する場合には注文は必須である。3人のクリエイターによるこだわりが盛り込まれまくったそのボディラインを、ぜひ実際に手にとってみてほしい。

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しげる

Writer

1987年岐阜県生まれ。プラモデル、アメリカや日本のオモチャ、制作費がたくさんかかっている映画、忍者や殺し屋や元軍人やスパイが出てくる小説、鉄砲を撃つテレビゲームなどを愛好。好きな女優はメアリー・エリザベス・ウィンステッドとエミリー・ヴァンキャンプです。
https://twitter.com/gerusea
http://gerusea.hatenablog.com/

連載

「ワンダーフェスティバル2018[冬]」

トイやフィギュアの祭典「ワンダーフェスティバル2018[冬]」に取材に行ってきました! コスプレはもちろん、個人ディーラーの注目ブースや、立体のトレンドなどを独自の視点で取材しています。

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