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POPなポイントを3行で

  • 遊びの延長としての「ストリート」は今ネットにある
  • 文脈から自由になった結果、ストリート的なものが盛り上がってる
  • 自分の価値、基準を持たなければ、日本は世界を相手にはできない

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#FR2/石川涼と医大生モデルの本音「今、ストリートはネットにある」
現在日本を取り巻く、ゆるやかなストリート感の正体とは何か?

巻頭グラビア&インタビューとして、渋谷109メンズフロア等で圧倒的な人気を誇るファッションブランド「VANQUISH」を創設し、近年では「Fxxking Rabbits(#FR2)」を立ち上げた石川涼さんに、現役医大生モデルの撮り下ろし撮影を依頼。 インタビューでは、「いまストリートはネットにある」と語る石川涼さんと、佐々木希に似ていることからテレビで注目を浴びるが、「芸能界には興味がない」とする医大生・「にょみ。」こと能見真優華(のうみ まゆか)さんの活動が、ストリートと交差する。

撮影:石川涼、#FR2 取材・執筆:和田拓也 編集:新見直

ストリートはどこにある?

──石川さんが20歳で上京した90年代は、音楽ではクラブカルチャーやインディーバンドカルチャー、ファッションでは裏原ムーブメントなど、ストリートを語る上で外すことのできない時代だと思います。当時はどんな遊びをしてましたか?

石川 それがさ、全然遊んでないのよ。仕事ばっか。毎日飲みいってんじゃねーかとか、毎日クラブとかキャバクラにいるんだろってよく言われるんだけどさ。まったくないし、酒も飲まないしね。

──めっちゃ意外です。にょみさんはどこで遊ぶんですか?

にょみ 漫画が好きなので漫喫とか。私、インドアなので…。まわりの友達は、結構インスタのためにいろんなとこ遊びにいってるかも。

──インスタのために出かけるのはもう当たり前ですよね。みんなが同じものを撮ってると、「もういいや」みたいにならないんですか?

にょみ 私はなります(笑)。私の好きなものって周りと合わないことが多いので…。ファッションも好きなものを着るんですけど、「似合ってるけどなんかダサい」って言われます(笑)。

石川 それはわかる気がする(笑)。

にょみ えー!?(笑) 撮影:石川涼、#FR2 ──石川さんは東京のカルチャーにどういう印象持ってたんでしょうか?

石川 ストリートといえばみんな街を想像するんだけどさ、そういう感じじゃない気がするんだよね。90年代ってネットもなくて、例えばレコ屋とか、そこにいかないと情報を掴めないからその場所に集まってて、「体感して情報を得る」ってことがストリートだった気がする。

藤原ヒロシさんたちが友達で集まってTシャツつくったりしてみんなで遊んでた延長でブランドができて、いつのまにか巨大なマーケットになってく。

そういう、遊びでやってたものがムーブメントになることが面白かった。で、今それに近いのってインターネットなんだよね。

──市場原理(システム)の外で、遊びの延長で波及していくような?

石川 そうそう。俺が今回、モデルににょみちゃんを選んだ理由も、彼女がシステムの外にいる子だからなんだよね。これだけ美人なのに、「タレントにはなりません」「事務所には入りません」っていう。

──にょみさんは事務所には所属してないんですか?

にょみ してないです。今は、モデル活動もしてないです。やるにしても知り合いと撮影するくらい。有名になりたいとか、そういう欲がない。ただの趣味なんです。だから基本的にギャラとかももらってません。趣味なのに事務所に入っても、自分のやりたいことが制限されるだけですよね。

──芸能界を目指したり、みたいな目標はないんですね。

にょみ だって無理だもん(笑)。芸能界なんて綺麗が大前提じゃないですか。

芸能界を目指さないで今のままフリーモデルをやっていくとしても、私の代わりなんてたくさんいるんです。

若いのは今だけですから。その若さが失われて、どう生きていくのかという時に、自分には何もない、武器がない、というのがイヤなんです

次々と年下が出てくるし、年をとってくると、「サロモ」とか「読モ」って言うのが恥ずかしくなるから「フリーモデル」とか言い始めてるだけですよ。そこで勝負してもキリがない。

石川 暴走族と一緒。中学・高校とか下の世代からバンバン出てくると、「暴走族」が恥ずかしくなってヤクザになってた。

──それが今は、ヤクザじゃなくて無所属の半グレ集団になってしまうように、読モも事務所に入るんじゃなくてフリーモデルになる。

石川 そうそう。

にょみ だから私は自分の強みとして、医学部を卒業して、国家試験を受けて、医者として仕事していきたいです。

もともとアクティブなタイプじゃないんです。でも、今しかできないこともあるし、とりあえず一回はモデルを経験して、向き不向きとか、自分が興味あるかどうかを知りたかった。それを知れたので、SNSもそのうちやめます。

石川 えー! やめないでよ!

──22万人もフォロワーがいるのに、SNSにすら執着ないんですね…。

にょみ。さん(@nyon514)がシェアした投稿 -

にょみ (執着が)ありすぎると、結局は自分の価値を下げていってしまう気がして。私にとってSNSはただの趣味で、その範囲を超えちゃいけないようなきがするんです。モデル活動もそう。

石川 物心ついたときからネットがある世代って、20世紀の人々が抱いてたイメージとしての芸能界の華やかさとか、表面的な情報に騙されてないんだと思う。

憧れもないし、ちょっと可愛いって言われてるくらいじゃ芸能人とか目指さない。テレビに出たところでめちゃくちゃ稼げるわけじゃないし、今は情報も多くて興味関心の対象がほんとにたくさんあるしね。

にょみ テレビに出ようとかじゃなくて、インスタで有名になってフォロワーが増えていいねがたくさんもらえたらそれで満足、っていう子も多いかもしれないです。

──承認欲求がSNSで十分に満たされてしまう、と。ただ、有名になったきっかけの一つとして、「ものまねグランプリ」に佐々木希のそっくりさんとして出演されたのはなぜですか?

にょみ もしかしたら本人に会えるかもしれないと思ったから。テレビに出たり(佐々木希さんがモデルをつとめる)『with』で読者モデルしてるのも、昔から佐々木希ちゃんをリスペクトしてるからです。

私が佐々木希ちゃんに似てるかどうかも、どうでもいいんです。ただ好きな人に会いたいだけです。

石川 俺も、「VANQUISH」じゃなくて「#FR2」は趣味なんだよ。カメラも趣味。でも、それがブランドとして認められていった。そういうことって、今はもうネットでしか起きてないんだよ。

にょみちゃんはこれだけ可愛くて周りにモデル活動を勧められても、流されない。

「にょみちゃんがダサいって“言われる”のがわかる」っていうのも、周囲が一般的にもってる「カッコいい」っていう感覚と「違う」ってことだから。それを恐れてもいない。

本人はパンクが好きなわけでもないし、ストリートカルチャー云々なんてこととは遠いところにいる。でも、彼女自身がストリートだなって。

インフルエンサービジネスなんてクソ!

──ストリートって「ダサい」か「ダサくないか」ということも多分にあると思うんですけど、にょみさんはどういうことがダサいって思いますか?

にょみ 私は、医学部在学中にインフルエンサーみたいに言われたことで叩かれたこともあります。みんな一緒じゃないと不安だから、表層的な情報で色々言ってくるんです。

だけど、そういう人たちに限って、後からコロッと言うことを変えてきたりする。そういうのが一番ダサいなぁと思います。あと、SNSに捉われすぎてる人。いいねを欲しすぎる子とか、他人の評価ばかり気にする人。

──どんな叩かれ方をされたんですか?

にょみ 最初は「そんなことしてないで勉強しろ」みたいなのが多かったです。

石川 お前らよりしとるわ(笑)!

──本業ではないことをやって有名になることに、日本人は不寛容ですよね。有名税でもあると思いますが。 撮影:石川涼、#FR2 にょみ 私自身も、影響力みたいなものは少なからずあるんだと自覚はしています。けど、自分がインフルエンサーだとは思ってません。

石川 俺、インフルエンサーマーケティングってのが大嫌いでさ。そもそも、ブランドにしてもそうだけど、今はつくり手側にストーリーがないと売れない。それがあって、プラスしてモデルさんがハマることで広がる。だから、知名度に頼ってもブランドなんて生まれない。

昔からタレントブランドなのたくさんあるけど、続いてるやつなんて全然ないでしょ(笑)?

にょみ 私が涼さんを知ったのも「Influencer Kills」っていう「#FR2」のTシャツに共感したからでした。

にょみ 私はそういうお金儲けのためにSNSを使わないことにしてて、それを支持してくれるフォロワーさんで成り立っているのに、自分のフォロワー数だけを利用してくる人が多すぎてイヤになってる、というのもあります。

出る媒体もブランドも選ぶ。事務所にも入らず、あくまで素人でいる。だからこそ自分の価値も使う側の価値も高まると思ってます。

──SNS中心のコミュニケーションに対して、若い人の人間関係の築き方やコミュニケーションが脆い、表層的であるという人もいますが、どう思いますか?

にょみ きっかけはSNSですけど、興味があれば実際に会うし、めちゃくちゃ仲良くなりますしね。SNSで完結してるわけでもないです。仲良い子のほとんどもインスタがきっかけです。人間関係の半分以上インスタが占めてます。

石川 若い子の方が圧倒的にいろんな人に出会ってると思うよ? 若い子はコミュニケーションの取り方が下手とか言うけど、嘘だよ(笑)。

にょみ 自分とまったく異なるジャンルの人に会うなんて、SNSがなかったらできなかったですよね。

YouTuberはもっとスターになれた

──例えば、ここ数年で、日本でもヒップホップやラップがCMやアニメ、ドラマに取り入れられたりと、ストリートカルチャーから発生したものが市民権を得て社会に浸透しています。にょみさんはピンときますか?

にょみ そんなに突然来た感はないかも。だって嵐とかもラップは昔からやってたじゃないですか。

──嵐がやってきたことの延長に、今のラップがある。それがたぶん興味ない人にとっての普通の感覚なんですよね。

にょみ いや、でも私はインスタのことくらいしかわからないですけど…。

石川 ラップがここまで浸透したたくさんの理由の中でも、なんの障害もなく自由に情報を得られるようになった環境もすごい大きいと思うよ。誰かが何かを流行らせるとかじゃなくて、自然にみんなが良いものをチョイスしてるというか。

何も考えなくても、誰でも簡単にSpotifyとかで無限に掘れる。レコ屋にわざわざいく必要もない。昔みたいに自分から深堀りしないと見つからない、買えないっていうこともない。

──ただその時、本来のカルチャーとしての歴史や背景、つまりコンテクストは剥ぎ取られていってしまいませんか?

石川 そういう文脈とか、今の子にとってはマジで関係ないと思う。昔の人ってルーツとか、そういうの言いたがるじゃない? でも、若い子は歴史を知らなくても、良いものは良いって言える。表面的とも言えるけど、それってすごいシンプルだよね。

──そうですね。そういう「良いものは良い」と思える感度って、20年前と今とで、どっちが高いんですかね?

石川 今の若い子のほうが全然高いと思うよ。だってさ、20年前の俺らと比べて、降ってくる情報の量がえげつないくらい違うわけじゃん。その中から好きなものを選んでるわけでしょ。

──さらされてる情報量に比例して、リテラシーも育っているということですか? ユーザーの見たい情報をアルゴリズムが自動的に提供してくれることで、出会えたかもしれない情報と出会えなくなっているという「フィルターバブル」問題もずっと議論されています。

石川 情報をさばききれない人とそうでない人、両方いると思う。ぶっちゃけ、バカはバカだし、格差もある。それはどうしても受けて来た教育の話にもなっちゃうけどさ。

でも何を好きかによって、情報は選んでいくものでしょ。若い子みんなが深堀りしないとか、そういうことじゃない。例えば、大学出てなくてもヒップホップだったらめちゃくちゃ詳しいとか、ネットだったら負けない、とか。

どんだけ小さなことでも、個人の「好き」に対していくらでも掘れる時代で、そこに対しての情報リテラシーは自然に高まってる。めちゃくちゃバカでも、好きなものだったら何がダサいか、カッコイイかわかってる。

にょみ そうですね。私も、インスタグラムやSNS的に、本質的に何が正しいか、感覚的にわかってるかもしれません。

石川 それでいいんだよね。ただ一方で、好きなことを掘りすらしない人は、より一層遅れていく。その格差は半端なく広がってるとも思う。でも、それってしょうがない。努力しないと生きていけない国になったんだからさ。 撮影:石川涼、#FR2 石川 俺さ、最初YouTuberを見たとき、まじですげえと思ったの。もしかして、何十年って続いたテレビっていうメディアとネットの力関係を、唯一逆転できるマーケットだって。

にょみ 周りもみんなYouTuber見てますね。

石川 でしょ? でもさ、ある時期から急にテレビ番組とかCMに出始めて。せっかくテレビとの力関係が変わるかもしれなかったのに、「なんで出るんだよ!」と思った。

自分たちのやり方で新しいマーケットをつくれたはずだったのに、「結局(テレビに)出たい」って自分が思ってたら、ファンからも「テレビの方が偉い」って映っちゃう。長い目で見れば、YouTuberのファンがテレビに持っていかれるってことだよ。

──彼らにとってのゴールがテレビになっているように見えてしまうってことですね。

石川 それってクソだせえよ。

──元SMAPがYouTuberの番組にゲストで出ることがありますが、YouTuber自身も「すごいひとたちがやってきた!」という感じでした。「ネットではもうお前らの方が全然すごいのに!」って。

石川 自分で新しいメディアをつくった方が価値があるし、「絶対テレビには出ない」って言ってたら今よりもっと儲かってたしスターになってたと思う。

──なぜそうなっていないのでしょうか?

石川 最後のところで賢くなれてない。大人に丸め込まれちゃったんだよね。

──さきほどの、情報をさばく格差にもつながってくる話ですね。

石川 そう。だから、大人に踊らされないにょみちゃんがすごい賢いと思うんだよね。

──なぜ石川さんが今回にょみさんを猛烈にプッシュしたか、ようやくわかった気がします。フィルターバブルとかシステムの外側にいる存在。

石川 ただ、若い子たちは、自分たちが厳しい時代にいるなんて考えてもないと思うよ。新しいブランドなんて生まれないとか、音楽が売れないとか本が売れないとか、関係ない。だってその時代しか知らないんだから。

ただ単純に、かっこいいものはかっこいい。ダサいものはダサい。その基準が情報化によってフラットになってるんじゃないかな。

にょみ たしかに、正直「あー、そうなんだ」くらいの感覚です。音楽が売れないって言われても、私たちからすると一瞬で何でも聴けるのが当たり前の便利な時代だから。

──結果的に、アメリカの音楽産業がストリーミング事業のおかけでV字回復している(外部リンク)という話も話題ですね。先ほどの話で言えば、コンテクストから自由になった結果として、フラットにアクセスできるようになって市場としては盛り上がったのかもしれません。

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