2000年よりネットを中心とした音楽活動を始め、VOCALOIDシーンの黎明期から今まで、常にシーンのトップを走り続けているVOCALOIDプロデューサー・OSTER projectさん。
特に近年ではVOCALOID楽曲のみならず、アーティストへの楽曲提供やプロデュース、ライブ、PV制作など、マルチクリエーターとして活動の幅を広げている。
そんなOSTERさんのファン待望の新アルバム『Attractive Museum』が、いよいよ4月23日(水)にリリースされる。
本作は、OSTERさんの2010年代のVOCALOID楽曲をリニューアル収録したベスト盤。
中でも注目なのは、OSTERさんが新たに切り開いたジャンル“VOCALOIDミュージカル”の最新作「Music Wizard of OZ」だ。
VOCALOIDミュージカルとはその名の通り、VOCALOIDキャラクターが歌い、役を演じるというミュージカル仕立ての楽曲。2010年に公開した「Alice in Musicland」に続き、本作で2曲目となる。
楽曲だけでなく、映像制作もOSTERさん自らが手がける本シリーズは、楽曲のクオリティはもちろんのこと、映像演出面でもファンの目を釘付けにしている。特に本作は、前作の10分という長さを超える約20分の超大作となった。
今回はこの「Music Wizard of OZ」を中心に、OSTER projectさんのクリエイターとしての真髄に迫った。
(取材・構成 / 高橋里美)
OSTER 自分の中で毎年何かしらの変化はあるとは思うんですが、2010年以降の方が、かわいい系の楽曲よりも、かっこいいロックとかフルオーケストラ編成の曲が多くなっている気がします。
──それは、なにか心境の変化があったんですか?
OSTER それまでは割とかわいい感じの曲もかっこいい曲も、半々くらいでつくっていたんですが、私は元々インスト(インストゥルメンタル)で技巧的な曲などをつくっていたんです。そこにもう一度立ち戻ってみよう、と思ったのがきっかけだと思います。
それに、自分がつくる楽曲のジャンルに偏りがない方がいいと思うので、バランスが取れるよう、いろんなテイストの楽曲をつくるように意識していました。「この前はかわいめだったから、今回はかっこいい路線でいこう」という感じに。
──インストと言えば、2013年には「BEMANI」シリーズにも参加されていますよね。
OSTER そうですね。これはかなりインスト作曲のモチベーションに繋がりました。
──この10年以上に渡る活動のモチベーションは、どういったところにあるのでしょうか?
OSTER やっぱり、どの時代も刺激があったからこそ続けてこられたのかなと思います。
とっても好きな音楽と出会った時や、技術的に新しいものを取り入れた時、新しいムーブメントの中に飛び込んだ時……その時々に得る刺激がモチベーションを上げてくれた気がします。
OSTER 「アリス」はアルバム『Cinnamon Philosophy』のラストの曲だったんですが、このアルバムの収録曲をまとめた時に、さらに新曲を2曲入れようということになりました。
1曲は「HAPPY FLOWER SHOOOOOP!!」という曲をつくったんですけど、もう1曲は、CD-ROMに限界まで収録できる残り時間の10分間をすべて埋めてしまうような曲をつくろうと思ったんです。
10分の曲をつくるのなら、おもしろいことをやりたかったので、「そうだ、ミュージカルをやってみよう」と思ったのがきっかけで、「アリス」ができました。
──そこでミュージカルに着地する発想はなかなか浮かばないと思うのですが、普段からミュージカルはお好きなんですか?
OSTER 昔からディズニー映画が好きだったんです。ディズニーの作品ってミュージカルの要素が強いですよね。そういうのに憧れて、自分でもつくってみたいと思ったんです。
──この「アリス」の10分という長さも驚きだったのですが、VOCALOIDミュージカル2作目となる「Music Wizard of OZ(以下、オズ)」は、それをさらに上回る20分となっています。どうしてここまでのボリュームになったのでしょうか?
OSTER 「アリス」をつくってみて、いくつか課題点が残ったんです。
まずは、もっと物語をわかりやすく、さらに見た人がいろんなものを受け取れるような編成にしたかった。そこでどんな曲が必要になるのかを書き出していったら、軽く10曲は超えてしまったんです(笑)。長すぎても聴く側が飽きてしまうので、できるだけまとめて、この長さに落ち着きました。
──10数曲もあったら、それだけで1つのアルバムになりそうです。
OSTER 実際のミュージカルも、歌ものだけでもそれくらいありますよね。だから「オズ」も、ミュージカル1本分つくったぐらいのエネルギーはかかっています! ──童話の「オズの魔法使い」が題材になっていると思うのですが、なぜこの物語を選んだのですか?
OSTER わかりやすさという意味では、誰でも知っている物語がモチーフになっている方がいいだろうと思いました。
それだけではなくて、「アリス」と同じく、登場キャラクター全員にスポットが当たるようにもしたかったんです。その点は「オズの魔法使い」でも、それぞれがしっかりキャラとして立っているし、ストーリーにも絡んでくるので良いなと。
──なにか参考にされた作品はありましたか?
OSTER 原作のあらすじを何回もざっくりとなぞっていったり、以前サンリオピューロランドでやっていたオズの魔法使いのショーを見ました。ピューロランドのショーは30分の中でキレイに話がまとまっているので、どんなところを省けるのかなど、参考にしています。
──制作期間はどれくらいかかったのでしょうか?
OSTER 音楽では2ヶ月、動画だと半年以上はかかりましたね。
──そんなにかかっているんですね……!
【次のページ】「Music Wizard of OZ」メイキングを大公開!
特に近年ではVOCALOID楽曲のみならず、アーティストへの楽曲提供やプロデュース、ライブ、PV制作など、マルチクリエーターとして活動の幅を広げている。
そんなOSTERさんのファン待望の新アルバム『Attractive Museum』が、いよいよ4月23日(水)にリリースされる。
本作は、OSTERさんの2010年代のVOCALOID楽曲をリニューアル収録したベスト盤。
中でも注目なのは、OSTERさんが新たに切り開いたジャンル“VOCALOIDミュージカル”の最新作「Music Wizard of OZ」だ。
VOCALOIDミュージカルとはその名の通り、VOCALOIDキャラクターが歌い、役を演じるというミュージカル仕立ての楽曲。2010年に公開した「Alice in Musicland」に続き、本作で2曲目となる。
楽曲だけでなく、映像制作もOSTERさん自らが手がける本シリーズは、楽曲のクオリティはもちろんのこと、映像演出面でもファンの目を釘付けにしている。特に本作は、前作の10分という長さを超える約20分の超大作となった。
今回はこの「Music Wizard of OZ」を中心に、OSTER projectさんのクリエイターとしての真髄に迫った。
(取材・構成 / 高橋里美)
どの時代も刺激があったからこそ、続けてこれた
──『Attractive Museum』はOSTERさんの10年代をまとめたベスト盤とのことですが、10年以上ご活動されてきた中で、この2010年代はOSTERさんにとって変化の時期だったのでしょうか?OSTER 自分の中で毎年何かしらの変化はあるとは思うんですが、2010年以降の方が、かわいい系の楽曲よりも、かっこいいロックとかフルオーケストラ編成の曲が多くなっている気がします。
──それは、なにか心境の変化があったんですか?
OSTER それまでは割とかわいい感じの曲もかっこいい曲も、半々くらいでつくっていたんですが、私は元々インスト(インストゥルメンタル)で技巧的な曲などをつくっていたんです。そこにもう一度立ち戻ってみよう、と思ったのがきっかけだと思います。
それに、自分がつくる楽曲のジャンルに偏りがない方がいいと思うので、バランスが取れるよう、いろんなテイストの楽曲をつくるように意識していました。「この前はかわいめだったから、今回はかっこいい路線でいこう」という感じに。
──インストと言えば、2013年には「BEMANI」シリーズにも参加されていますよね。
OSTER そうですね。これはかなりインスト作曲のモチベーションに繋がりました。
──この10年以上に渡る活動のモチベーションは、どういったところにあるのでしょうか?
OSTER やっぱり、どの時代も刺激があったからこそ続けてこられたのかなと思います。
とっても好きな音楽と出会った時や、技術的に新しいものを取り入れた時、新しいムーブメントの中に飛び込んだ時……その時々に得る刺激がモチベーションを上げてくれた気がします。
VOCALOIDミュージカルのはじまり
──まさにVOCALOIDミュージカルは、2010年代にOSTERさんが生み出した新しいムーブメントだったと思います。「Alice in Musicland(以下、アリス)」がその始まりとなりましたが、なぜこの曲をつくろうと思ったのですか?OSTER 「アリス」はアルバム『Cinnamon Philosophy』のラストの曲だったんですが、このアルバムの収録曲をまとめた時に、さらに新曲を2曲入れようということになりました。
1曲は「HAPPY FLOWER SHOOOOOP!!」という曲をつくったんですけど、もう1曲は、CD-ROMに限界まで収録できる残り時間の10分間をすべて埋めてしまうような曲をつくろうと思ったんです。
10分の曲をつくるのなら、おもしろいことをやりたかったので、「そうだ、ミュージカルをやってみよう」と思ったのがきっかけで、「アリス」ができました。
──そこでミュージカルに着地する発想はなかなか浮かばないと思うのですが、普段からミュージカルはお好きなんですか?
OSTER 昔からディズニー映画が好きだったんです。ディズニーの作品ってミュージカルの要素が強いですよね。そういうのに憧れて、自分でもつくってみたいと思ったんです。
【VOCALOIDミュージカル】Alice in Musicland【オリジナル曲】
──この「アリス」の10分という長さも驚きだったのですが、VOCALOIDミュージカル2作目となる「Music Wizard of OZ(以下、オズ)」は、それをさらに上回る20分となっています。どうしてここまでのボリュームになったのでしょうか?
OSTER 「アリス」をつくってみて、いくつか課題点が残ったんです。
まずは、もっと物語をわかりやすく、さらに見た人がいろんなものを受け取れるような編成にしたかった。そこでどんな曲が必要になるのかを書き出していったら、軽く10曲は超えてしまったんです(笑)。長すぎても聴く側が飽きてしまうので、できるだけまとめて、この長さに落ち着きました。
──10数曲もあったら、それだけで1つのアルバムになりそうです。
OSTER 実際のミュージカルも、歌ものだけでもそれくらいありますよね。だから「オズ」も、ミュージカル1本分つくったぐらいのエネルギーはかかっています! ──童話の「オズの魔法使い」が題材になっていると思うのですが、なぜこの物語を選んだのですか?
OSTER わかりやすさという意味では、誰でも知っている物語がモチーフになっている方がいいだろうと思いました。
それだけではなくて、「アリス」と同じく、登場キャラクター全員にスポットが当たるようにもしたかったんです。その点は「オズの魔法使い」でも、それぞれがしっかりキャラとして立っているし、ストーリーにも絡んでくるので良いなと。
──なにか参考にされた作品はありましたか?
OSTER 原作のあらすじを何回もざっくりとなぞっていったり、以前サンリオピューロランドでやっていたオズの魔法使いのショーを見ました。ピューロランドのショーは30分の中でキレイに話がまとまっているので、どんなところを省けるのかなど、参考にしています。
──制作期間はどれくらいかかったのでしょうか?
OSTER 音楽では2ヶ月、動画だと半年以上はかかりましたね。
──そんなにかかっているんですね……!
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