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milktubインタビュー 音楽がやりたくてエロゲ会社の社長になった男が1億を集めるまで

bambooさん

『キラ☆キラ』や『僕が天使になった理由』といった作品で知られる美少女ゲームブランド・OVERDRIVEの代表、そして、アニメ『バカとテストと召喚獣』や『有頂天家族』の主題歌を歌うロックバンド・milktubのフロントマンとして知られるbambooさん。

同氏はライブ中に抱き枕を振るうイベント「抱き枕奇祭」を企画するなど、稀有なアイディアマンとしても知られている。

特に、近年話題となっているクラウドファンディングの分野ではいくつものプロジェクトを立案し、キュレーターとしても参加。その多くを成功に導いており、同氏が手がけたプロジェクトの総資金調達額は1億円以上にのぼるという。

つまり、"クラウドファンディングで1億円を集めた男”なのだ。

現在も多くのクラウドファンディングのプロジェクトを企画しているというbambooさん。今回のインタビューでは、そんなbambooさんの経歴をたどるとともに、クラウドファンディングとアーティストの関わり方について話を聞いた。

文:須賀原みち 編集:ふじきりょうすけ

ライブ100本より、ゲーム主題歌にした方が聞く人が多い

milktub | 春夏冬ROCK'N'ROLL Music Clip

──milktubは今年活動25周年を迎えるということですが、結成までの経緯を教えてもらえますか?

bamboo 結成当初のmilktubはロックバンドじゃなくて、電気グルーヴの影響を受けたテクノユニットだったんですよ。メンバーも7人くらいいて、ROLANDの「JUNO-106」とかAkaiの「S01」といったサンプラーを使いながら、本八幡のライブハウス・THE 3rd STAGEでよく演ってましたね。

並行してロックのコピーバンドもやってたんです。大学に行ってからは、元・黒夢のサポートドラムで僕のお師匠さんでもある松山一志さんと一緒にインディーズレーベルをやりました。

22、23歳の頃には、お師匠さんのバンドをプロデュースしてましたね。出稿って単語も知らないから、今はなき音楽雑誌『BANDやろうぜ』の編集部に土下座をして欄外をもらったり。

流通のこともわかってなかったので、自分たちでCDをつくって、ショップに持っていけば買ってくれるって思ってたんですよ。実際には、6掛けって言われて「なんで60%しかもらえないんだ!」って思ってました。

今にして思えば強気過ぎですけど、4000枚もCDをつくっちゃってた(笑)。結局、1年かけてすべて手売りしました。体中にCDをつけて、池袋のサンシャイン広場で女子高生をナンパしてCDを買ってもらったり。当時200万円くらい借金を抱えてたから、土方のバイトをしたりして、必死こいて返さないといけなかった。

──すでにbambooさんらしさが垣間見えますね(笑)。

bamboo その頃、知り合いだった音楽プロデューサーから頼まれて、『ボディーハッカー』というエロゲの主題歌をmilktubでつくったんです。当時はプロとしてやったことがないから、予算の概念とかも無くて、制作費はプロデューサーがその場で自分の財布から出した5万円だけ(笑)。家でマイク立てて、宅録でつくりました。

ほかにも、渋谷のオーロラビジョンで流れるクレジットカードのCMソングも宅録でつくりましたね。今にして思えば、こいつらなら安く使えるってことだったんでしょう。

bamboo2bamboo 師匠の松山さんからは「プロになって売れる時は一気に売れるけど、売れなくなった後の人生のほうが長いから手に職をつけときな」って言われてたんです。だから『フロムエー』を見て、「ゾンビ好き、集まれ!」って書いてあったバンダイの下請けのデザイン会社に入社して、そこで3年ほどプランナーとしての修行を積みました。

その時、自分でつくった音楽を聞いてもらうにあたって、バンドで年間100本ライブをやってついてくれるお客さんの数とゲームの主題歌をつくって聞いてくれる人の数を考えて、後者のほうが分母デカそうだなって思って。

ということは、ゲーム会社に入って偉くなったら、会社のお金で自分の音楽がつくれるじゃ〜ん!ってことに気づいた。そして、ちょうど会社を辞めるときに、音楽をテーマにした美少女ゲームのディレクターを探しているって言われたんです。

バンド経験者でゲーム開発に携わったことがある人ということで、僕が招聘されて、ディレクターとして参加したのは『カナリア 〜この想いを歌に乗せて〜』という作品でした。

bamboo これがエロゲ業界デビューで。シンガーの佐藤ひろ美さんとか、今の戦友が生まれてくる土台になった。その後に『グリーングリーン』(以下、グリグリ)をつくりました。

俺らが思うロックは、こうじゃい! 『グリーングリーン』の成功

──『グリグリ』の主題歌はエロゲファンからも大好評でした。「ゲームの主題歌になって、多くの人に音楽を聞いてもらう」という目論見はどうでしたか?

bamboo もう大当たりでしたね。音楽雑誌に頭を下げて欄外をもらっていたのが、電話1本で専門誌の巻頭7、8ページとかもらえちゃう。「なんてちょろいんだ」って(笑)。

『グリグリ』の頃って、エロゲの音楽は打ち込みがメインで、スカパンクとかバンドサウンド自体が非常に珍しかった時代。パンクサウンドを起用して大きく広がったエロゲタイトルとしては、僕らがはじめてだったんです。

PCゲーム『グリーングリーン』オープニングムービー

bamboo 当時のエロゲシーンの音楽はショボかったから「俺らが思うロックは、こうじゃい!」っていうのをぶつけたんですよね。当時は怖いもの知らずだったんで、サーチ・アンド・デストロイの精神でした(笑)。

『グリグリ』は当時1万本以上売れたらヒットと言われていたエロゲ業界で、初回ロットで2万本以上売っていた。シリーズ3作品累計でも8〜9万本売れて、TVアニメ化もしてましたから、、かなりヒットした部類です。

──bambooさんの軸には常に音楽がある。音楽1本で食べていこうとは思わないのですか?

bamboo いまだに音楽1本というのは夢を見ていますが、僕はミュージシャンになりたいと思ったことはあまりないんです。ニューロティカのイノウエアツシや、ZIGGYの森重樹一のようなロックスターになりたい。なれないまま、この歳になりましたが…。

ただ、『グリグリ』をつくったことで、エロゲが面白いなとも思えたんです。大学生の時には『同級生』を友達とやってたし、『To Heart』をやったら1日後には布団抱いて「マルチ〜」ってキャラ名を言ってたり、『WHITE ALBUM』をやって、泣いたりしたんですが──正直、それまでは「エロゲはヲタの最下層がやるもんだ」って小馬鹿にしてたところがあったんですよ。

それが『グリグリ』で考え方がガラッと変わって、つくったものにプライドを持つようになった。今は僕の考えるプロダクトやコンテンツは、すべて自信を持って出せるようにしています。

bamboo3──その後、bambooさんは自身のエロゲブランドであるOVERDRIVEを立ち上げます。

bamboo 『グリグリ』の後、僕は音楽1本でやろうと独立したんです。そしたら、前の会社が潰れることになって、残ったスタッフをどうしましょう?ってことに。本当はつくる気がなかったけど、それなら『グリグリ』の続編をつくろう、と。

その時の僕らの武器はそれしかなかったので、製作費の7000万円を借りて『グリグリ』の2と3をつくり、その後OVERDRIVEを立ち上げたんです。
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