「この過労死がすごい!」というカードゲームを、みなさんご存じでしょうか?
11月22日に東京ビッグサイトで開催されたアナログゲームの祭典「ゲームマーケット2015秋」(以下、ゲムマ)で頒布され、開始1時間で100セットが完売。聞いたものの心を鷲掴みにするタイトルで、Twitter上でも話題になりました。
今回、その「この過労死がすごい!」を制作された「反社会人サークル」のメンバーお三方にお話を伺いつつ、実際に一緒にゲームをプレイさせていただきましたので、その模様をお届けします!
就業規則(取扱説明書)によると、「プレイヤーは社畜となり、カロウシしないように仕事量に気をつけながら、なるべく多くの残業代を稼ぐ」かつ、「あわよくば、他の社畜をカロウシさせる」というなかなか世知辛いもの。
最終的な残業時間は「ブユウデン」というポイントに換算され、ブユウデンを一番多く手に入れた社畜は賞賛の対象になります。
@noir_k 我々は、文学フリマなどで「ロウドウジン」という同人誌を頒布しているサークルなのですが、その冊子の中で「この社畜まんががすごい!」「この社畜アニメがすごい!」「この社畜メシがすごい!」といった具合に「この◯◯がすごい!」というタイトルのレビューコーナーをやっているんです。
そのコーナーで過去に「この過労死がすごい!」というテーマがありました。
@Nerd_Arthur 毎回テーマを決めて同人誌をつくるなかで、今度は実際にそのテーマをボードゲームで再現してみたいと思った時、「この過労死がすごい!」が使えるのではないかと思ったんです。
@2tar タイトルのヒキがよくて、ゲムマでもウケたので良かったなと思っています。
━━ゲムマ開催前から注目されているようでしたが。
@Nerd_Arthur 注目されてるとは全く思ってなかったです。
@noir_k どうやって告知するかも迷っていて、一応、2週間前くらいにゲムマの公式ブログに出したら、地味に広まっていたという感じで……。開催前のツイートは、それほどRTもされていませんでした。
@2tar ゲムマ後にツイートしたら、1400RTくらいされたんですよね。
━━KAI-YOU編集部でも、売り切れてて買えずに残念がってました(笑)。今後、増刷はされるのでしょうか?
@Nerd_Arthur 増刷するというところまでは決めました。ただ、ボードゲームをつくるのがはじめてだったので、どうやって売っていけばいいのか? どのくらい刷ればいいのか? というところが正直分からないので、検討中です。
@noir_k 欲しいと言ってくれる人には行き届いて欲しいし、売れたほうがうれしいんですが、同じ値段で売ろうとすると原価を下げなきゃいけなくて。売る機会もゲムマがメインになるので。
━━同人誌は「文学フリマ」を中心に頒布してらっしゃるんですよね?
@2tar そうです。同人誌は全然売れないんですが、このゲームはなぜか売れて、はじめて売上で打ち上げが出来ました(笑)。
@Nerd_Arthur 取り置きしていたけど取りに来なかった方の分など、残りを文学フリマでも頒布したのですが、それも売り切れました。
@2tar もともと@noir_kとは大学の時、東浩紀さんの授業で知り合ったんです。久しぶりに文フリで東さんにブースに来ていただいたのに売り切れでお渡しできなかったのが残念でしたね。
@2tar それはあまり関係ないんです。
@Nerd_Arthur もともと、社会人サークルをディスっていたら、自分たちもサークルをつくっていたという経緯で。
@2tar 「休日にバーベキューとかしてる社会人サークルうぜぇ」みたいな(笑)。
@Nerd_Arthur 「イケてないバーベキューをやってるやつらをディスろう」みたいな(笑)。
@noir_k だから、「反=社会人」ではなくて、「反=社会人サークル」なんです。
@noir_k 「ノー残業デー」とか「サービス残業」の設定含め、プレイヤーがみんなで実際に仕事しているような感覚になれることを大事にしています。
「人より働きすぎてないか?」「悪目立ちしてないか?」という現実の世界観がゲームに反映されるようにしているんです。
@Nerd_Arthur 実際の会社で働いている状況をエミュレートし、風刺しつつ、ゲームとしても楽めて、かつゲームバランスもしっかりさせないといけない点ですね。
@noir_k 一番はじめはもっとシンプルなシステムだったんです。単純にみんなで順番に数字のカードを出していって、一定の数字を超えたら「過労死、やったー!」みたいな……。
でも、それだと面白味もないし、残業のことも反映されていなかったんです。
@Nerd_Arthur あとは、カードの枚数が決まっているので、何時間残業すると過労死なのか、という基準をプレイヤーの人数によって変えています。その数字のレベル設定にすごく苦労しました。
@2tar メンバーそれぞれのこだわりを反映させつつ、テストプレイを繰り返しながらルールをアップデートしていきました。
@Nerd_Arthur わからないです……(小声)。
@2tar 「名刺じゃんけん」をつくりたいとは思っています。
@Nerd_Arthur 拡張性があるものをつくりたくて、「名刺じゃんけん」なら、こちらが制作するカードはダミーの名刺で、それにプラスして実生活でもらった名刺を拡張パックに出来るなと考えました。
━━め、名刺じゃんけん……。「いっせーので!」で名刺を出して、強い名刺を出したほうが勝ちというゲームですよね? 噂には聞いたことがあります……。
@Nerd_Arthur 会社単位の大小と役職単位の大小で競うということになりそうですが、まだ思いつきレベルのアイデアで、非常に難しいかなというところです。
━━この「この過労死がすごい!」も思いつきレベルからつくられたんですよね?
@2tar そうですね、「残業代を押し付けあって過労死する・しないの判定をする」というアイデア自体は一晩で出来上がって。そこからルールを詰めていくのはすごく長かったんですが。
@noir_k 当時は「死」の判定と「過労死」の判定が分かれていたり、もっと現実を反映した複雑なルールもありました。
@2tar 我々は、本当は映画を撮るという目的で5年間「反社会人サークル」をやっているんです。
@Nerd_Arthur 完全にダジャレなんですが、同人誌のあとがきも「“ロウドウムービー”への道」というタイトルでやっていて、結果的には私が観たアニメ映画の感想を中心にしたコーナーになってしまっているんですけど(笑)。
@noir_k いつかはその「ロウドウムービー」を実現できたらいいなと思っています。
11月22日に東京ビッグサイトで開催されたアナログゲームの祭典「ゲームマーケット2015秋」(以下、ゲムマ)で頒布され、開始1時間で100セットが完売。聞いたものの心を鷲掴みにするタイトルで、Twitter上でも話題になりました。
今回、その「この過労死がすごい!」を制作された「反社会人サークル」のメンバーお三方にお話を伺いつつ、実際に一緒にゲームをプレイさせていただきましたので、その模様をお届けします!
「この過労死がすごい!」とは?
インパクトが強いネーミングの「この過労死がすごい!」ですが、まずは簡単なルール説明から。就業規則(取扱説明書)によると、「プレイヤーは社畜となり、カロウシしないように仕事量に気をつけながら、なるべく多くの残業代を稼ぐ」かつ、「あわよくば、他の社畜をカロウシさせる」というなかなか世知辛いもの。
最終的な残業時間は「ブユウデン」というポイントに換算され、ブユウデンを一番多く手に入れた社畜は賞賛の対象になります。
反社会人サークルにインタビュー!
━━サークル初のカードゲームを「過労死」というテーマで制作されたのはどのような経緯からでしょうか?@noir_k 我々は、文学フリマなどで「ロウドウジン」という同人誌を頒布しているサークルなのですが、その冊子の中で「この社畜まんががすごい!」「この社畜アニメがすごい!」「この社畜メシがすごい!」といった具合に「この◯◯がすごい!」というタイトルのレビューコーナーをやっているんです。
そのコーナーで過去に「この過労死がすごい!」というテーマがありました。
@Nerd_Arthur 毎回テーマを決めて同人誌をつくるなかで、今度は実際にそのテーマをボードゲームで再現してみたいと思った時、「この過労死がすごい!」が使えるのではないかと思ったんです。
@2tar タイトルのヒキがよくて、ゲムマでもウケたので良かったなと思っています。
━━ゲムマ開催前から注目されているようでしたが。
@Nerd_Arthur 注目されてるとは全く思ってなかったです。
@noir_k どうやって告知するかも迷っていて、一応、2週間前くらいにゲムマの公式ブログに出したら、地味に広まっていたという感じで……。開催前のツイートは、それほどRTもされていませんでした。
@2tar ゲムマ後にツイートしたら、1400RTくらいされたんですよね。
『この過労死がすごい』というカードゲームを作って、本日のゲームマーケットに参加しました 初めてなのでどれくらい売れるか不明だったけれど、タイトルのおかげで取り置き分以外は1時間で完売してしまいました ありがたいことです! #ゲムマ pic.twitter.com/hQBjfXct8K
— @2tar 2015, 11月 22
@noir_k おそらく、開催前にRTしてくださった方のなかに、ボードゲーム界隈で顔の広い方がいらっしゃったんだと思います。━━KAI-YOU編集部でも、売り切れてて買えずに残念がってました(笑)。今後、増刷はされるのでしょうか?
@Nerd_Arthur 増刷するというところまでは決めました。ただ、ボードゲームをつくるのがはじめてだったので、どうやって売っていけばいいのか? どのくらい刷ればいいのか? というところが正直分からないので、検討中です。
@noir_k 欲しいと言ってくれる人には行き届いて欲しいし、売れたほうがうれしいんですが、同じ値段で売ろうとすると原価を下げなきゃいけなくて。売る機会もゲムマがメインになるので。
━━同人誌は「文学フリマ」を中心に頒布してらっしゃるんですよね?
@2tar そうです。同人誌は全然売れないんですが、このゲームはなぜか売れて、はじめて売上で打ち上げが出来ました(笑)。
@Nerd_Arthur 取り置きしていたけど取りに来なかった方の分など、残りを文学フリマでも頒布したのですが、それも売り切れました。
@2tar もともと@noir_kとは大学の時、東浩紀さんの授業で知り合ったんです。久しぶりに文フリで東さんにブースに来ていただいたのに売り切れでお渡しできなかったのが残念でしたね。
「反=社会人」ではなく「反=社会人サークル」
━━「ロウドウジン」では社会的テーマを取り上げていますが、それは東浩紀さんの影響なのでしょうか?@2tar それはあまり関係ないんです。
@Nerd_Arthur もともと、社会人サークルをディスっていたら、自分たちもサークルをつくっていたという経緯で。
@2tar 「休日にバーベキューとかしてる社会人サークルうぜぇ」みたいな(笑)。
@Nerd_Arthur 「イケてないバーベキューをやってるやつらをディスろう」みたいな(笑)。
@noir_k だから、「反=社会人」ではなくて、「反=社会人サークル」なんです。
会社で働いている状況をエミュレートし、風刺する
━━はじめてのカードゲーム制作で、苦労した点はありますか?@noir_k 「ノー残業デー」とか「サービス残業」の設定含め、プレイヤーがみんなで実際に仕事しているような感覚になれることを大事にしています。
「人より働きすぎてないか?」「悪目立ちしてないか?」という現実の世界観がゲームに反映されるようにしているんです。
@Nerd_Arthur 実際の会社で働いている状況をエミュレートし、風刺しつつ、ゲームとしても楽めて、かつゲームバランスもしっかりさせないといけない点ですね。
@noir_k 一番はじめはもっとシンプルなシステムだったんです。単純にみんなで順番に数字のカードを出していって、一定の数字を超えたら「過労死、やったー!」みたいな……。
でも、それだと面白味もないし、残業のことも反映されていなかったんです。
@Nerd_Arthur あとは、カードの枚数が決まっているので、何時間残業すると過労死なのか、という基準をプレイヤーの人数によって変えています。その数字のレベル設定にすごく苦労しました。
@2tar メンバーそれぞれのこだわりを反映させつつ、テストプレイを繰り返しながらルールをアップデートしていきました。
思いつきのアイデアをカードゲームに!
━━今後、新しいゲームをつくるご予定はありますか?@Nerd_Arthur わからないです……(小声)。
@2tar 「名刺じゃんけん」をつくりたいとは思っています。
@Nerd_Arthur 拡張性があるものをつくりたくて、「名刺じゃんけん」なら、こちらが制作するカードはダミーの名刺で、それにプラスして実生活でもらった名刺を拡張パックに出来るなと考えました。
━━め、名刺じゃんけん……。「いっせーので!」で名刺を出して、強い名刺を出したほうが勝ちというゲームですよね? 噂には聞いたことがあります……。
@Nerd_Arthur 会社単位の大小と役職単位の大小で競うということになりそうですが、まだ思いつきレベルのアイデアで、非常に難しいかなというところです。
━━この「この過労死がすごい!」も思いつきレベルからつくられたんですよね?
@2tar そうですね、「残業代を押し付けあって過労死する・しないの判定をする」というアイデア自体は一晩で出来上がって。そこからルールを詰めていくのはすごく長かったんですが。
@noir_k 当時は「死」の判定と「過労死」の判定が分かれていたり、もっと現実を反映した複雑なルールもありました。
「ロウドウムービー」への道
━━最後にこれからの展望をお聞かせください!@2tar 我々は、本当は映画を撮るという目的で5年間「反社会人サークル」をやっているんです。
@Nerd_Arthur 完全にダジャレなんですが、同人誌のあとがきも「“ロウドウムービー”への道」というタイトルでやっていて、結果的には私が観たアニメ映画の感想を中心にしたコーナーになってしまっているんですけど(笑)。
@noir_k いつかはその「ロウドウムービー」を実現できたらいいなと思っています。
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