連載 | #11 コバヤシのアナログゲームで遊んでみようのコーナー

NFTからゴジラまで、流行とクラシックが入り混じった「ゲムマ2022春」レポ

NFTからゴジラまで、流行とクラシックが入り混じった「ゲムマ2022春」レポ
NFTからゴジラまで、流行とクラシックが入り混じった「ゲムマ2022春」レポ

画像はすべて編集部撮影

4月23日、24日に開催された国内最大級のボードゲーム即売会「ゲームマーケット2022春」(通称「ゲムマ」)。

普段ボドゲ研究家として活動している筆者も、日曜日に、ゴールデンウィークで遊びまくったら楽しいであろうゲームを探してゲムマに潜入してきました。

その中で見た、様々な出展者たちの色が光る現地レポートをお届けします。

NFTをテーマにした『クリプトコレクター』

「Smart Ape Games(スマートエイプゲームス)」ブース

会場についてまず向かったのは、ホットワードである「NFT」をモチーフにしたオークションゲーム『クリプトコレクター』を展示している「Smart Ape Games(スマートエイプゲームス)」さんのブース。

オークション要素を持ったゲームかつ、アートをテーマにしようということで調査していった結果、「セカンダリマーケットでの売買によって、元の出品者(≒製作者)にマージンが入る」という特徴に惹かれ、NFTをテーマにしたという同作。

試行錯誤の結果、ゲームとしてのわかりやすさを重視し「オークション」という面にフォーカス。上記の性質も、「オークションで勝ち取ったオーナーカードを保有していると配当金が入る」というように、形をかえながら組み込まれています。

ゲームマーケット公式サイト(外部リンク)にてルール説明がされているので、より詳しく知りたい人はそちらをチェックしてみてください。
『クリプトコレクター』PV
同作でもう一つ特徴的なのが、ルールなどは同じで5パターンのパッケージのバージョンが存在しているという点。

オークションという、自身で購入対象を選ぶシステムを反映し、その「選んで買う」楽しさを購入する段階から感じて欲しいと、ストリートでポップなイラストのものやドット絵のもの、架空の風景画など、どれもポップなイラストを5人のイラストレーターたちが描いています。

『クリプトコレクター』パッケージ

ストーリーレーベル「POLARIS」のマダミス第2弾『インサイドブルー』

ストーリーレーベル「POLARIS」のブース

続いて向かったのが、前回の「ゲームマーケット2021秋」でも紹介したストーリーレーベル「POLARIS」のブース。

コロナ禍に立ち上げられ、人と人とが会えない時代にオンラインを通じてエンターテインメントを届けてきた「ノーミーツ」が新たに手掛ける同レーベル。

今回彼らが出展したのは、『RED LINE』に続くマーダ―ミステリー第2作『インサイドブルー』。

話を聞いてみると、今作は殺人事件を扱う王道のマーダ―ミステリー作品だった前作とは変わり、「高校生たちの青春」にフォーカスしているとのこと。パッケージも前作のようなカッコいいテイストというよりは、シティポップ感のあるエモいテイストになっている。

ストーリーレーベルとして、さらに”物語”にはこだわったそうで、ストーリーが書かれた冊子などのコンポーネントも大増量。箱を持ってみると、期待が膨らむズッシリとした重さが感じられました。

プレイ中に流すおススメの楽曲も用意されていたりと、物語の体験の演出にこだわられている『インサイドブルー』

ゲムマ出展ブースの中でも目を引くそのデザイン性に惹かれてくる人もいれば、話題となった前作『RED LINE』からのリピーターも集まったという「POLARIS」。次回はどんな作品がでてくるのか今から楽しみです。

試作品を来場者と共に磨き上げる「未来試作研究室」

「未来試作研究室」のブース

出展サークルの中でも異様な雰囲気を醸し出していたのが、黄色いシートが背面に貼られたこちらの「未来試作研究室」のブース。

話を聞いてみると、こちらのブースはデジタルハリウッド大学の研究室をベースに、有志が集まった「制作から販売までのプロセスを見せること」をコンセプトにしたというもの。

ブースには3人が立っていて、それぞれ試作したプロトタイプを展示。来場者からその場で自分のゲームへのフィードバックを受け、出展を重ねるごとにバージョンアップを果たし、最終的には正式な商品としての出品を目指しているとのこと。

出展作の1つは、大正時代に発生した、全国各地で生まれる生活に根ざした日常の生活道具に美しさを見出す「民藝運動」になぞらえ、「各地域で小学生のときに学校で遊んでいたゲーム」を募集し、来場者たちから地元のローカルルールやゲーム名などを募集する「民ゲー運動」。

「民ゲー運動」

当時流行ったという「定戦」。当時使われていたボールペンから、小学校の机まで実際に用意されているというこだわりよう(「民ゲー運動」で集まった遊びから、実際に3Dプリンターで定規を出力してゲーム化)

その他にも、ニコニコ静画や「ジャンプルーキー!」Web漫画媒体「マンガハック」にて『禍々』を連載するmutouさんが制作したAR作品『禍々』。アイデアを考えたものの作品に登場させられなかったキャラを自身でモデリング、3Dプリンターでミニチュア化し、ビジュアルエフェクトを付与している。

デザイン、モデリング、出力、ARでのエフェクト付けまでひとりで行ったという『禍々』

今回でバージョン2だというのは、実際にコンビニの食品をかたっぱしから食べ、それぞれの腹持ち具合を参照して制作された、胃袋の限界を試すゲーム『マンチー! ~ゴキゲンな宴~』。

そして、身近なだけどその種類を正確に把握している人は少ないであろう「紙」の材質を触って当てる『紙かるた』の4作品が展示されていました。

『マンチー! ~ゴキゲンな宴~』で、引いたら一発アウトに設定されている二郎系ラーメン。作者がコンビニ食品を食べまくった際、実際に胃のキャパシティーを超えて戻してしまったとか…

どれも負けず劣らずの個性的な作品たちですが、いずれもまだプロトタイプ。

例えば『禍々』は現時点では「専用の台座どうしをぶつけると、爆発するエフェクトが出る」というだけの遊びなので、今後はHPなども付与してゲーム性を出していきたいという。

『紙かるた』は、作者が前日に体調を崩して病院に運ばれてしまったそうで、当日、コンセプトのみで詳細なルールが決まっていない状態でした。会場で来場者と一緒に「これどっちが面白いと思います?」とルールを考えていました。

写真では見分けがつきづらいが、触ってみると確かに質感が違う『紙かるた』の紙たち

とはいえ、むしろその無限大の可能性や尖った個性からか、立ち止まって意見を交わす来場者も多く、いずれの作品もかなり好評だったとのこと。

もしかしたら、今後のゲームマーケットで、バージョンアップした作品と出会った際に「これ、俺が考えたフィードバックが反映されてるじゃん!」となる人も出てくるかもしれません。

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