ゲーム実況のみならず、さまざまな分野で活動の幅を広げ続けているニコニコユーザーのもこうさん。
『ポケットモンスター』シリーズにおけるポケモンバトルを題材とした動画シリーズ「厨ポケ狩り講座」や、近年では『ぷよぷよ』シリーズのゲーム実況に解説。さらには、同人誌即売会「コミックマーケット」への出展、自身のLINEスタンプの販売など、その活動は多岐にわたる。
動画や生放送で次々と飛び出す歯に衣着せぬ言動によって、ニコニコ動画はもちろん、多方面から注目を浴び、ファンからは「王」の愛称で親しまれている。
KAI-YOU.netでは、2014年4月のロングインタビューをはじめ、同年12月の「コミックマーケット」など、数回にわたってもこうさんの言葉を伝えてきた。
そこで今回は、2014年4月以来、約1年半ぶりとなるロングインタビューを実施。前回のインタビューでは「ポケモンバトルは、俺の人生」と語っていたもこうさんだが、インタビュー直後に「厨ポケ狩り講座」の更新を無期限休止することを発表。現在は、主に『ぷよぷよ』のゲーム実況主として人気を博している。
そんなもこうさんが、現在はポケモンとどのように向き合っているのか。また、もこうさんのゲーム実況主としての新たな代表作ともいえる『ぷよぷよ』との出会い、そして、昨今のゲーム実況の変化や引越しまで追い込まれた住所特定事件など、激動の1年をたっぷりと語っていただいた。
取材:よしだゆうや/文:ふじきりょうすけ
もこう 自己紹介? 緊張するんで、お腹いたい、お腹いたい! あああああ!
──少し暴走気味なので落ち着いて下さい(笑)。
もこう すみません。職業は会社員兼プロ配信者、さらにプロ動画投稿主として、3種の神器を駆使しながら日々戦っています。
2009年頃から「厨ポケ狩り講座」というゲーム実況の動画シリーズを投稿させていただいて、それが多くの人に見てもらったりして、俺のことを知ってもらうきっかけになりました。
──昨年4月のインタビューの際に、「厨ポケ狩り講座」の新シリーズである「新・厨ポケ狩り講座」の最終回を収録されてましたよね。
もこう そうですね。去年の4月に一度、「新・厨ポケ狩り講座」の更新をやめました。それからはオワコンと呼ばれたり、自分にとって空白の期間が続きました。
──なぜ、「新・厨ポケ狩り講座」をやめたんでしょうか?
もこう 4月の最終回に関しては、最新作『ポケットモンスターX・Y』が発売されてすぐに勢いで投稿した、「厨ポケ狩り講座」の新シリーズだったんですよ。だから自分としても、前シリーズを超えるくらいの意気込みで投稿したんですが、Part1こそ伸びましたけど、徐々に投稿のペースも下がって、再生数も落ちて、気づけばあっという間に最終回。非常に悔いの残る結末になってしまったシリーズです。
──前回のインタビューのときは「ポケモンバトルは、俺の人生」と発言されるほど、ポケモンに対する愛情を感じられましたが、一体何があったんでしょうか……?
もこう ゲーム実況動画を見られることへの意識が強すぎて、純粋にゲームプレイを楽しめなくなった。そのせいもあってポケモンへの愛着がなくなってしまっていたんですよ。
「ただただ動画を見られたい」「他のポケモン実況主を潰したろ」という一心で動画を投稿してました……。
それでも去年の4月に更新を止めてからも復活の声が多くて、その声に応えようと、今年の1月にもう一度「新・厨ポケ狩り講座」を新たに投稿しました。今思い返してみると、そもそも心の底からやりたかった訳ではなかったのかもしれません。
再生数も50万は突破すると思っていたら、いまだに20万……。改めて見返すと、やっぱりつまらなかった……。
人生のような存在だったのが、すれ違いみたいな……。今ではポケモンは一線を引いた存在になっています。
もこう 「新・厨ポケ狩り講座」の更新を止める前の去年の2月には、すでに会社を辞めていて、8月までの半年くらいはニート状態でした。
そんなとき、YouTuberっていうYouTubeでお金を稼ぐ人たちが注目されるようになって、俺も手を出してみたんですけど、結果的にそれが俺のオワコンっぷりを加速させるきっかけになりました(笑)。 ──食べ歩きや商品紹介の動画をYouTubeに投稿してましたね。
もこう 多くの動画投稿者は一発ヒット作を出すと、そこから思うようなパフォーマンスを表現することができなくなる時期が来ると思うんですよね。俺がYouTuber的な活動をしていたときはまさにその時期で、めちゃくちゃいろいろな人から、オワコンとか「最近、こいつ面白くないな」って言われるようになって──普通の人であれば、きっとそこで諦めてしまう。
でも俺が違うのはそこで、いくらオワコンって言われても、言われたら言われる程、「なんやお前ら! もう一発花咲かしたるわ」みたいな気持ちになれたんですね。そう思えたのは、俺にとっての大きな分岐点だったのかなって。
──そんな中、昨年6月にもこうさんの住所がネット上で特定される事件がありました。
もこう 正直、めっちゃ焦ってました(笑)。人生終わったなと(笑)。 ──Oh……。
もこう 俺がネットの人たちに喧嘩を売りすぎたんでしょうね……。実はもっと前々から「もこうの住所ここじゃない?」という噂は流れていて、俺の生配信でも視聴者から「住所特定して家行ったるからな」みたいなコメントがきてました。
それに対して、「特定してみろやボケガキ」と煽り返し続けていたら、本当にキレた奴が特定してきて、ものの見事にバレちゃった……。 ──どうやって特定されたんでしょうか?
もこう 俺が自宅のベランダで撮った動画があるんですけど、そのベランダの模様で住んでるマンションが特定されました。マンションの名前でググると、俺の住所を特定しようとしてる2ちゃんねるのスレが上位にヒットします。マンションにとっては、とんだ被害ですよね(笑)。
──実際にもこうさんに会いに来た方はいらっしゃったんでしょうか?
もこう 来たというか、ありましたよ……。マンションのポストの前に「もこう先生へ」と書かれた袋が置いてまして、中に手紙と一緒にTシャツが入ってました。
──何が書かれていたんでしょうか?
もこう 「僕アパレル店員なので、ダサいもこう先生のために服あげます」って。普通に差し入れでありがたく頂戴したんですけど、それでも怖いなって……。久々にインターネットの怖さを味わいましたね。その後、引っ越しましたもん。
家賃も安くて、駅も近くて、結構住みやすかったのに……。
──今、ネット上で動画投稿や生配信をされている方が増えていますが、そんな方々に住所が特定されないためにはどうすればいいのか、何かアドバイスはありますか?
もこう 特定されないために(笑)(笑)(笑)。まず、余計なことをしゃべらない、リスナーを煽らない、むやみに動画を投稿しない。これにつきるかなと。
あとはベランダも映さない、鏡も映さない。一番良いのは、元も子もないですけど、ネット活動をやめることですね。
もこう 『ぷよぷよ』は、保育園に通っている頃に初めてお父さんに買ってもらったゲームなんですけど、本格的にやり込んだのは中学校に行かずに引きこもってた時期ですね。
──ともあき時代と呼ばれる時期でしょうか?
もこう そうですね(笑)。俺はもこうとして活動する前に、「ともあき」としてネットで活動していて、その頃はよく『ぷよぷよ』をしていました。でも、それからはしばらくやっていなくて、ゲーム実況主となった今、もう一度『ぷよぷよ』をやってみるか、という感情が湧いてきて。
それで、ちょうどそのタイミングで『ぷよぷよテトリス』というゲームと出会って、ハマったんですよ。自分で言うのもなんなんですけど、他の人と比べて、俺は圧倒的に『ぷよぷよ』の腕があるから、テトリス相手に良い試合ができた。
見ていて手に汗握るような熱い試合を展開できて、「これを実況動画にしたら絶対面白いわ」と思って、去年の8月に実況動画を投稿しました。
──反響はいかがでしたか?
もこう もう俺の代表作と呼べるくらいにヒットしてくれました。Part1以降も再生数が落ちることなく、純粋にみんな楽しんで見てくれてるねんなって。今も継続している実況動画シリーズの1つです。
『ぷよぷよ』って、ゲーム自体はみんな知ってると思うんですけど、初心者が上級者に絶対に勝てないくらい実力が物を言うし、運の要素も限りなく少ないから、実は敷居が高くて、それがユーザーの減少につながってしまっているんです。
──そんなに難しいんですね。
もこう そうなんですよ。『ぷよぷよ』って、真剣な戦いが繰り広げられるゲームで、本当にガチで練習を積み重ねないと強くなれない。ぷよ界では、『ぷよぷよ』のプレイヤーをぷよらーと呼ぶんですが、俺はもっとぷよらーが増えてほしいと思ってます。
すごく嬉しいことに、俺の動画を見て『ぷよぷよ』をはじめたという声を結構聞くんです! 俺が実況することによって、『ぷよぷよ』にちょっとでも貢献できてるのかなって思いましたね。
──今のもこうさんにとって、『ぷよぷよ』はどういった存在なんでしょうか?
もこう 難しいけど、コミュニケーションのツールです。俺は言葉のコミュニケーションが苦手なんで、拳で語り合うことで相手を認めたり、仲良くなったり、戦ってる中でしか繋がれない世界が『ぷよぷよ』にはあるんです。
『ぷよぷよ』やってると、日常じゃ感じれない何かがあるんですよ。『ぷよぷよ』のおかげで、自分は支えられてきた。正直、『ぷよぷよ』がうまくなかったら、今頃何の取り柄もないクズ人間になってたと思うんですよね。
もこう ゲーム実況主へのスポットの当たり具合が半端じゃないですよね。その反面で、ここ最近ちょっと嫌な予感がしています。
──嫌な予感……それはなんでしょうか?
もこう 線香花火みたいな感じです。線香花火って、消える直前に一番輝くじゃないですか? もしかして今のゲーム実況はその状態じゃないのかなって。
ゲーム実況という行為がビジネス化されてきて、それこそ任天堂さんのタイトルがクリエイター奨励プログラムに対応したことで、ニコニコ動画のランキングの上位のほとんどは『スプラトゥーン』とか、任天堂のタイトルで埋め尽くされるようになった。
どうしても版権物のゲームでお金がもらえるとなったら、みんなやりはじめるんですよね……。
でも、昔のニコニコ動画って、どっちかというと無名のフリーゲームとか、ニコニコユーザーの実況動画をきっかけにヒットして、ニコ動発のオリジナルコンテンツとして、いろいろな広がりを生み出してきたと思うんですよ。
『青鬼』とか『ゆめにっき』『魔女の家』とか、こういうこと言うと作者さんに失礼かもしれないですけど、ゲーム実況によってゲームの知名度があがって、いろいろな人に評価されてきた側面がある。それで、映画化とか小説化とか、メディアミックスされたりもしてますから。
ゲーム実況というのは、実況することでそのゲームが注目されて、無名だけれども本当に良い作品が評価されていく。そういうもんだと思ってます。
まぁ、俺もチャンネルを運営したり、『スプラトゥーン』の実況動画を投稿していたりするんですけど……(笑)。
──たしかに、ゲーム実況とゲーム大会の祭典「闘会議2015」が開催されたりと、ゲーム実況に対する注目がますます高まっているのは納得です。。
もこう どんどんニコ動が一般化していく。俺らの知ってるニコ動はなくなっちゃうんじゃないかなって。どうなるんですかね?(笑)。ちょっとそこまでは読めないですけど、嫌な予感はしています。
「闘会議」に関しては、見てないし、「雪降って中止なれ!」って思ってましたけどね(笑)。ただ、「ニコニコ超会議」で他の実況主さんが『ぷよぷよテトリス』をやってて悔しかったですね。俺を呼んでくれよって(笑)。
俺みたいにプレイングで魅せる実況主を呼んでいただきたいです! ここ、ちょっと強調して書いて下さい(笑)。
──チャンネル生放送には出演されてますが、ニコニコの公式生放送やイベントにはご出演されないですよね?
もこう ドワンゴさんからオファーがきたことは一切ないですね。やっぱりコメントが荒れるから……。単純に俺がちょっとあんまりキレイな存在じゃない。実況スタイルの性質上というか、去年も大会をちょっとつぶしたり……。
一度、去年の12月に『トライアルズ フュージョン』っていうゲームのチャンネル生放送番組に出演したんですけど、コメントが荒れまくって(笑)。でもそれ以降、いろいろな番組に呼ばれる機会が増えたんですよ!
もこう 名前や顔文字が1人歩きしているだけで、たまに一発動画が伸びるくらいのただの実況主ですよ。良くても最近だと『ぷよぷよ』の人くらいに思われてるんじゃないでしょうか。
実際に動画で関わるようなゲーム実況主同士のつながりとかもほとんど無いし、俺は他の実況主と比べてかなりネットワークが狭いと思います。
そもそも今は、男性の実況主同士が絡み合うようなコラボ実況をして、女の子が「キャー!」と声援を送ることで再生数が伸びてるんですよ。でも俺の場合は、誰かと絡んだらあまりいい反応をもらえないですし、俺自身も他の人と交流していきたいと思うタイプでもない。
俺の動画を見てくれてる人たちは、きっとそういうところも含めて俺のファンになってくれてるので、そこが崩れるのは嫌なんじゃないかな。とはいえ、最終兵器俺達のこーすけとのコラボ動画とかあるんですけどね。
もこう この動画は俺からこーすけに声をかけました。前々からこーすけがグラサンキャラみたいな感じで活動していて、ちょうど俺もグラサンをつけてる。そんなとき、「ラッスンゴレライ」でブレイクしてる8.6秒バスーカーの2人もグラサンをかけてたんで、一緒にネタとして撮ってみたいと思って。
ちょうどそのタイミングで、こーすけがMCをやっているイベントに誘われたことがあって、イベント終了後に「ラッスンゴレライ、やらへん?」って声をかけたら、快くOKしてくれました。
動画の反響はすごくよかったですね、こーすけが持っている拡散力がすごくて、現時点で50万再生くらい。「ラッスンゴレライ」に便乗した効果もあると思いますけど。結果的にハーフミリオンの作品になりました。横浜の山下公園の噴水の前で、2人で恥ずかしい思いをしながら、何回も撮り直しましたね(笑)。
もこう ネタに走ろうかと思ったんですけど……。本心で言うとゲームプレイヤーになって、プレイで魅せれるようになりたいんです。プロゲーマーとエンターテイナーを両立したガチ両刀の道を極めていくというのが俺の野望です。
『ぷよぷよ』を筆頭に、『マリオカート』や『スプラトゥーン』でも、プレイでリスナーを沸かせられる人間になりたいですね。今もレーティングバトルで『ポケモン』は続けていますし、「やっぱもこうは強い!」とリスナーから言われる存在になっていきたい。
──前回のインタビューでは、社会人と実況主の両立は無理だと語られていましたが、現在、再び社会人になってみていかがでしょうか?
もこう 今は仕事が終わって、家に帰ってから動画の編集をしているので、大体いつも夜中の3時くらいに寝るような生活をしています。3時にやっと寝れたと思ったら、朝7時に起きて出社という生活なので、辛い部分もたしかにあります。
でも、俺は根本的にダメ人間なので、何かに縛られていたほうが逆に余った時間を有効活用しようって思考になっているので、仕事をしているかどうかは関係ないのかなと思ってきました。
ただ、会社を辞めれば、もこうとしての活動が200%までできるのかというのを試してみたい気持ちがあるんです。今は37%ぐらいしか出せてないと自分では思っているので、一気に200%まで持っていくには全てを捨てるしかない。その覚悟も実はできていているので…… その日は近いかな。
──さらっとおっしゃいましたが、大きな発表だったのではないですか!?
もこう この記事が公開される頃には、ニートもこうが誕生しているかもしれませんね(笑)。歌やゲームに時間を注ぎ込んで自分のやりたいこともっと極めたいんです。
あくまで見に来てくれる人がいるから今の自分が成り立っているので、ある日突然、「もこうなんてもう知らない」みたいに言われたら本当の意味でオワコンになるし、仕事としてやりたい訳でもないんですが、自分の知識を生かせるもこうとしての活動をさらにできたらと考えています!
『ポケットモンスター』シリーズにおけるポケモンバトルを題材とした動画シリーズ「厨ポケ狩り講座」や、近年では『ぷよぷよ』シリーズのゲーム実況に解説。さらには、同人誌即売会「コミックマーケット」への出展、自身のLINEスタンプの販売など、その活動は多岐にわたる。
動画や生放送で次々と飛び出す歯に衣着せぬ言動によって、ニコニコ動画はもちろん、多方面から注目を浴び、ファンからは「王」の愛称で親しまれている。
KAI-YOU.netでは、2014年4月のロングインタビューをはじめ、同年12月の「コミックマーケット」など、数回にわたってもこうさんの言葉を伝えてきた。
そこで今回は、2014年4月以来、約1年半ぶりとなるロングインタビューを実施。前回のインタビューでは「ポケモンバトルは、俺の人生」と語っていたもこうさんだが、インタビュー直後に「厨ポケ狩り講座」の更新を無期限休止することを発表。現在は、主に『ぷよぷよ』のゲーム実況主として人気を博している。
そんなもこうさんが、現在はポケモンとどのように向き合っているのか。また、もこうさんのゲーム実況主としての新たな代表作ともいえる『ぷよぷよ』との出会い、そして、昨今のゲーム実況の変化や引越しまで追い込まれた住所特定事件など、激動の1年をたっぷりと語っていただいた。
取材:よしだゆうや/文:ふじきりょうすけ
ポケモンへの愛着がなくなっていた
──KAI-YOU.netでは約1年半ぶりのロングインタビューとなりますが、あらためて自己紹介をお願いいたします。もこう 自己紹介? 緊張するんで、お腹いたい、お腹いたい! あああああ!
──少し暴走気味なので落ち着いて下さい(笑)。
もこう すみません。職業は会社員兼プロ配信者、さらにプロ動画投稿主として、3種の神器を駆使しながら日々戦っています。
2009年頃から「厨ポケ狩り講座」というゲーム実況の動画シリーズを投稿させていただいて、それが多くの人に見てもらったりして、俺のことを知ってもらうきっかけになりました。
──昨年4月のインタビューの際に、「厨ポケ狩り講座」の新シリーズである「新・厨ポケ狩り講座」の最終回を収録されてましたよね。
もこう そうですね。去年の4月に一度、「新・厨ポケ狩り講座」の更新をやめました。それからはオワコンと呼ばれたり、自分にとって空白の期間が続きました。
【ポケモンXY】 最終回 新・厨ポケ狩り講座!-またいつか。-
──なぜ、「新・厨ポケ狩り講座」をやめたんでしょうか?
もこう 4月の最終回に関しては、最新作『ポケットモンスターX・Y』が発売されてすぐに勢いで投稿した、「厨ポケ狩り講座」の新シリーズだったんですよ。だから自分としても、前シリーズを超えるくらいの意気込みで投稿したんですが、Part1こそ伸びましたけど、徐々に投稿のペースも下がって、再生数も落ちて、気づけばあっという間に最終回。非常に悔いの残る結末になってしまったシリーズです。
──前回のインタビューのときは「ポケモンバトルは、俺の人生」と発言されるほど、ポケモンに対する愛情を感じられましたが、一体何があったんでしょうか……?
もこう ゲーム実況動画を見られることへの意識が強すぎて、純粋にゲームプレイを楽しめなくなった。そのせいもあってポケモンへの愛着がなくなってしまっていたんですよ。
「ただただ動画を見られたい」「他のポケモン実況主を潰したろ」という一心で動画を投稿してました……。
それでも去年の4月に更新を止めてからも復活の声が多くて、その声に応えようと、今年の1月にもう一度「新・厨ポケ狩り講座」を新たに投稿しました。今思い返してみると、そもそも心の底からやりたかった訳ではなかったのかもしれません。
再生数も50万は突破すると思っていたら、いまだに20万……。改めて見返すと、やっぱりつまらなかった……。
人生のような存在だったのが、すれ違いみたいな……。今ではポケモンは一線を引いた存在になっています。
YouTuberへの転向、そして住所特定事件……
──「新・厨ポケ狩り講座」シリーズの更新が止まってからは、先ほどおっしゃっていた、もこうさんにとっての空白の期間に突入しますね。もこう 「新・厨ポケ狩り講座」の更新を止める前の去年の2月には、すでに会社を辞めていて、8月までの半年くらいはニート状態でした。
そんなとき、YouTuberっていうYouTubeでお金を稼ぐ人たちが注目されるようになって、俺も手を出してみたんですけど、結果的にそれが俺のオワコンっぷりを加速させるきっかけになりました(笑)。 ──食べ歩きや商品紹介の動画をYouTubeに投稿してましたね。
もこう 多くの動画投稿者は一発ヒット作を出すと、そこから思うようなパフォーマンスを表現することができなくなる時期が来ると思うんですよね。俺がYouTuber的な活動をしていたときはまさにその時期で、めちゃくちゃいろいろな人から、オワコンとか「最近、こいつ面白くないな」って言われるようになって──普通の人であれば、きっとそこで諦めてしまう。
でも俺が違うのはそこで、いくらオワコンって言われても、言われたら言われる程、「なんやお前ら! もう一発花咲かしたるわ」みたいな気持ちになれたんですね。そう思えたのは、俺にとっての大きな分岐点だったのかなって。
──そんな中、昨年6月にもこうさんの住所がネット上で特定される事件がありました。
もこう 正直、めっちゃ焦ってました(笑)。人生終わったなと(笑)。 ──Oh……。
もこう 俺がネットの人たちに喧嘩を売りすぎたんでしょうね……。実はもっと前々から「もこうの住所ここじゃない?」という噂は流れていて、俺の生配信でも視聴者から「住所特定して家行ったるからな」みたいなコメントがきてました。
それに対して、「特定してみろやボケガキ」と煽り返し続けていたら、本当にキレた奴が特定してきて、ものの見事にバレちゃった……。 ──どうやって特定されたんでしょうか?
もこう 俺が自宅のベランダで撮った動画があるんですけど、そのベランダの模様で住んでるマンションが特定されました。マンションの名前でググると、俺の住所を特定しようとしてる2ちゃんねるのスレが上位にヒットします。マンションにとっては、とんだ被害ですよね(笑)。
──実際にもこうさんに会いに来た方はいらっしゃったんでしょうか?
もこう 来たというか、ありましたよ……。マンションのポストの前に「もこう先生へ」と書かれた袋が置いてまして、中に手紙と一緒にTシャツが入ってました。
──何が書かれていたんでしょうか?
もこう 「僕アパレル店員なので、ダサいもこう先生のために服あげます」って。普通に差し入れでありがたく頂戴したんですけど、それでも怖いなって……。久々にインターネットの怖さを味わいましたね。その後、引っ越しましたもん。
家賃も安くて、駅も近くて、結構住みやすかったのに……。
──今、ネット上で動画投稿や生配信をされている方が増えていますが、そんな方々に住所が特定されないためにはどうすればいいのか、何かアドバイスはありますか?
もこう 特定されないために(笑)(笑)(笑)。まず、余計なことをしゃべらない、リスナーを煽らない、むやみに動画を投稿しない。これにつきるかなと。
あとはベランダも映さない、鏡も映さない。一番良いのは、元も子もないですけど、ネット活動をやめることですね。
新たな代表作『ぷよぷよ』の実況とその存在
──今では「厨ポケ狩り講座」だけでなく、『ぷよぷよ』シリーズのゲーム実況主としても広く知られるようになりましたよね。もこう 『ぷよぷよ』は、保育園に通っている頃に初めてお父さんに買ってもらったゲームなんですけど、本格的にやり込んだのは中学校に行かずに引きこもってた時期ですね。
──ともあき時代と呼ばれる時期でしょうか?
もこう そうですね(笑)。俺はもこうとして活動する前に、「ともあき」としてネットで活動していて、その頃はよく『ぷよぷよ』をしていました。でも、それからはしばらくやっていなくて、ゲーム実況主となった今、もう一度『ぷよぷよ』をやってみるか、という感情が湧いてきて。
それで、ちょうどそのタイミングで『ぷよぷよテトリス』というゲームと出会って、ハマったんですよ。自分で言うのもなんなんですけど、他の人と比べて、俺は圧倒的に『ぷよぷよ』の腕があるから、テトリス相手に良い試合ができた。
見ていて手に汗握るような熱い試合を展開できて、「これを実況動画にしたら絶対面白いわ」と思って、去年の8月に実況動画を投稿しました。
【ニコニコ動画】【実況】 ぷよぷよ VS テトリス part1
──反響はいかがでしたか?
もこう もう俺の代表作と呼べるくらいにヒットしてくれました。Part1以降も再生数が落ちることなく、純粋にみんな楽しんで見てくれてるねんなって。今も継続している実況動画シリーズの1つです。
『ぷよぷよ』って、ゲーム自体はみんな知ってると思うんですけど、初心者が上級者に絶対に勝てないくらい実力が物を言うし、運の要素も限りなく少ないから、実は敷居が高くて、それがユーザーの減少につながってしまっているんです。
──そんなに難しいんですね。
もこう そうなんですよ。『ぷよぷよ』って、真剣な戦いが繰り広げられるゲームで、本当にガチで練習を積み重ねないと強くなれない。ぷよ界では、『ぷよぷよ』のプレイヤーをぷよらーと呼ぶんですが、俺はもっとぷよらーが増えてほしいと思ってます。
すごく嬉しいことに、俺の動画を見て『ぷよぷよ』をはじめたという声を結構聞くんです! 俺が実況することによって、『ぷよぷよ』にちょっとでも貢献できてるのかなって思いましたね。
──今のもこうさんにとって、『ぷよぷよ』はどういった存在なんでしょうか?
もこう 難しいけど、コミュニケーションのツールです。俺は言葉のコミュニケーションが苦手なんで、拳で語り合うことで相手を認めたり、仲良くなったり、戦ってる中でしか繋がれない世界が『ぷよぷよ』にはあるんです。
『ぷよぷよ』やってると、日常じゃ感じれない何かがあるんですよ。『ぷよぷよ』のおかげで、自分は支えられてきた。正直、『ぷよぷよ』がうまくなかったら、今頃何の取り柄もないクズ人間になってたと思うんですよね。
線香花火は消える直前に一番輝く
──『ぷよぷよ』と出会って新たな一歩を踏み出したもこうさんですが、この1年で「ゲーム実況」を取り巻く環境に何か変化はありましたか?もこう ゲーム実況主へのスポットの当たり具合が半端じゃないですよね。その反面で、ここ最近ちょっと嫌な予感がしています。
──嫌な予感……それはなんでしょうか?
もこう 線香花火みたいな感じです。線香花火って、消える直前に一番輝くじゃないですか? もしかして今のゲーム実況はその状態じゃないのかなって。
ゲーム実況という行為がビジネス化されてきて、それこそ任天堂さんのタイトルがクリエイター奨励プログラムに対応したことで、ニコニコ動画のランキングの上位のほとんどは『スプラトゥーン』とか、任天堂のタイトルで埋め尽くされるようになった。
どうしても版権物のゲームでお金がもらえるとなったら、みんなやりはじめるんですよね……。
でも、昔のニコニコ動画って、どっちかというと無名のフリーゲームとか、ニコニコユーザーの実況動画をきっかけにヒットして、ニコ動発のオリジナルコンテンツとして、いろいろな広がりを生み出してきたと思うんですよ。
『青鬼』とか『ゆめにっき』『魔女の家』とか、こういうこと言うと作者さんに失礼かもしれないですけど、ゲーム実況によってゲームの知名度があがって、いろいろな人に評価されてきた側面がある。それで、映画化とか小説化とか、メディアミックスされたりもしてますから。
ゲーム実況というのは、実況することでそのゲームが注目されて、無名だけれども本当に良い作品が評価されていく。そういうもんだと思ってます。
まぁ、俺もチャンネルを運営したり、『スプラトゥーン』の実況動画を投稿していたりするんですけど……(笑)。
【ニコニコ動画】【スプラトゥーン】 大阪人、極道を行く!! part1
──たしかに、ゲーム実況とゲーム大会の祭典「闘会議2015」が開催されたりと、ゲーム実況に対する注目がますます高まっているのは納得です。。
もこう どんどんニコ動が一般化していく。俺らの知ってるニコ動はなくなっちゃうんじゃないかなって。どうなるんですかね?(笑)。ちょっとそこまでは読めないですけど、嫌な予感はしています。
「闘会議」に関しては、見てないし、「雪降って中止なれ!」って思ってましたけどね(笑)。ただ、「ニコニコ超会議」で他の実況主さんが『ぷよぷよテトリス』をやってて悔しかったですね。俺を呼んでくれよって(笑)。
俺みたいにプレイングで魅せる実況主を呼んでいただきたいです! ここ、ちょっと強調して書いて下さい(笑)。
──チャンネル生放送には出演されてますが、ニコニコの公式生放送やイベントにはご出演されないですよね?
もこう ドワンゴさんからオファーがきたことは一切ないですね。やっぱりコメントが荒れるから……。単純に俺がちょっとあんまりキレイな存在じゃない。実況スタイルの性質上というか、去年も大会をちょっとつぶしたり……。
一度、去年の12月に『トライアルズ フュージョン』っていうゲームのチャンネル生放送番組に出演したんですけど、コメントが荒れまくって(笑)。でもそれ以降、いろいろな番組に呼ばれる機会が増えたんですよ!
他の実況主とのコラボは求められてない
──実際、もこうさんはゲーム実況界の中でどういう存在なんでしょうか? すごく人気はありますけど、他の実況主さんと比べて、どこか特殊な立ち位置のようにも感じます。もこう 名前や顔文字が1人歩きしているだけで、たまに一発動画が伸びるくらいのただの実況主ですよ。良くても最近だと『ぷよぷよ』の人くらいに思われてるんじゃないでしょうか。
実際に動画で関わるようなゲーム実況主同士のつながりとかもほとんど無いし、俺は他の実況主と比べてかなりネットワークが狭いと思います。
そもそも今は、男性の実況主同士が絡み合うようなコラボ実況をして、女の子が「キャー!」と声援を送ることで再生数が伸びてるんですよ。でも俺の場合は、誰かと絡んだらあまりいい反応をもらえないですし、俺自身も他の人と交流していきたいと思うタイプでもない。
俺の動画を見てくれてる人たちは、きっとそういうところも含めて俺のファンになってくれてるので、そこが崩れるのは嫌なんじゃないかな。とはいえ、最終兵器俺達のこーすけとのコラボ動画とかあるんですけどね。
とある実況者がラッスンゴレライ
もこう この動画は俺からこーすけに声をかけました。前々からこーすけがグラサンキャラみたいな感じで活動していて、ちょうど俺もグラサンをつけてる。そんなとき、「ラッスンゴレライ」でブレイクしてる8.6秒バスーカーの2人もグラサンをかけてたんで、一緒にネタとして撮ってみたいと思って。
ちょうどそのタイミングで、こーすけがMCをやっているイベントに誘われたことがあって、イベント終了後に「ラッスンゴレライ、やらへん?」って声をかけたら、快くOKしてくれました。
動画の反響はすごくよかったですね、こーすけが持っている拡散力がすごくて、現時点で50万再生くらい。「ラッスンゴレライ」に便乗した効果もあると思いますけど。結果的にハーフミリオンの作品になりました。横浜の山下公園の噴水の前で、2人で恥ずかしい思いをしながら、何回も撮り直しましたね(笑)。
会社を辞めて、もこうとしての活動を200%に
──もこうさんの今後の野望を教えてください。もこう ネタに走ろうかと思ったんですけど……。本心で言うとゲームプレイヤーになって、プレイで魅せれるようになりたいんです。プロゲーマーとエンターテイナーを両立したガチ両刀の道を極めていくというのが俺の野望です。
『ぷよぷよ』を筆頭に、『マリオカート』や『スプラトゥーン』でも、プレイでリスナーを沸かせられる人間になりたいですね。今もレーティングバトルで『ポケモン』は続けていますし、「やっぱもこうは強い!」とリスナーから言われる存在になっていきたい。
──前回のインタビューでは、社会人と実況主の両立は無理だと語られていましたが、現在、再び社会人になってみていかがでしょうか?
もこう 今は仕事が終わって、家に帰ってから動画の編集をしているので、大体いつも夜中の3時くらいに寝るような生活をしています。3時にやっと寝れたと思ったら、朝7時に起きて出社という生活なので、辛い部分もたしかにあります。
でも、俺は根本的にダメ人間なので、何かに縛られていたほうが逆に余った時間を有効活用しようって思考になっているので、仕事をしているかどうかは関係ないのかなと思ってきました。
ただ、会社を辞めれば、もこうとしての活動が200%までできるのかというのを試してみたい気持ちがあるんです。今は37%ぐらいしか出せてないと自分では思っているので、一気に200%まで持っていくには全てを捨てるしかない。その覚悟も実はできていているので…… その日は近いかな。
──さらっとおっしゃいましたが、大きな発表だったのではないですか!?
もこう この記事が公開される頃には、ニートもこうが誕生しているかもしれませんね(笑)。歌やゲームに時間を注ぎ込んで自分のやりたいこともっと極めたいんです。
あくまで見に来てくれる人がいるから今の自分が成り立っているので、ある日突然、「もこうなんてもう知らない」みたいに言われたら本当の意味でオワコンになるし、仕事としてやりたい訳でもないんですが、自分の知識を生かせるもこうとしての活動をさらにできたらと考えています!
ゲーム実況主もこうインタビュー 苦悩を語るも突然のガチ熱唱
この記事どう思う?
関連リンク
もこう
ゲーム実況主/歌うたい
2009年5月よりニコニコ動画にて活動開始。実況動画「厨ポケ狩り講座」シリーズを開講。2010年9月までに約55本もの講座動画をリリースし、一躍名をはせる。その後は実況動画にこだわらず、多ジャンルに手を出す。歌ってみた、料理、エンターテイメント、自然カテゴリ等。2014年現在、Web上に投稿した動画の総再生回数は3500万回以上。ブログPV月間50万。2014年11月よりLINEスタンプ「王のスタンプ」を販売開始。
Twitter(@mokouliszt)
4件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:4452)
誰?
じぇ〜むす
純粋にゲームのプレイを究めることに全振りしてる、良い意味で女子に人気出ないスタイル気に入ってる
AOMORI SHOGO
ベランダの模様だけで住所特定されるって、もこう先生愛されすぎではw