度肝を抜くコンセプトアートのような見開き
作者・泉光さんのそんな類まれなストーリーテリングを最大限に引き出しているのが、精緻な描き込みも大胆な見開きもお手のものな超画力です。
筆者は1話の冒頭からずっと「すげえ……!」と思いながら読んでいます。全ページ細部まで目を凝らしたくなる絵です。
コマ割りはかなり細かく設計されているのですが、見辛さはなく読みやすい。見開きには殴りかかってくるような圧すら感じます。この漫画はこういう作品なのだ!と、強烈に伝えてくる。
不特定多数のチームで作品をつくりあげるゲームやアニメで、関係者全員にイメージを共有するため配られるコンセプトアートが、受ける感覚としては一番近いかもしれません。見るだけでなんとなく世界観が掴める、そんな絵がたびたび現れるのが視覚的に楽しいです。
また、キャラクターの目にも色々な感情が詰まっています。言葉にしなくても喜怒哀楽が伝わってくる。ことわざの“目は口ほどに物を言う”を絵で表現している稀有な漫画なのです。
出会い、別れ、そして彼は主人公に成った
ちなみに、筆者はここまで、主人公の少年の名前をあえて書いていません。これは1巻の構成上、彼の名前が出てくるタイミングに大きな意味があるからです。
この瞬間に彼は本当の意味で主人公に成ったのだと、分かる時が来ます。
これ以上語ると初読の感動が薄れるので、未読の方はぜひとも、1巻だけでも手にとってほしいと思います。そして1巻以降も加速度的に面白くなる物語にどっぷりハマってください。
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連載
テーマは「漫画を通して社会を知る」。 国内外の情勢、突発的なバズ、アニメ化・ドラマ化、周年記念……。 年間で数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事とリンクする作品を新作・旧作問わず取り上げ、"いま読むべき漫画"や"いま改めて読むと面白い漫画"を紹介します。
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