連載 | #22 VTuber特集

ミライアカリインタビュー VTuber事務所「ENTUM」の見据えるミライとは?

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"企業感"がもたらすもの

──個人で制作できることもありますが、企業が関わることはVTuberにとってはマイナスなのでしょうか?

塚本 僕たちは社会のルールを知らないうちに破ってしまうようなベンチャー企業なので……、僕たちがガチガチの"企業感"を出せているかというと疑問なんですよね(笑)

塚本 それこそ、ミライアカリの活動について何か皆さんが嫌に思うことがあったならここまで伸びてないはずですよね。

ほかのVTuberに関してもグッズが出たり、アプリとのタイアップがあったりと企業が絡む事例はこれまでにもありました。

そうしたものがすべてユーザーの想いに反するようなものであったかというとそうではないと思っています。マイナスに感じる人はいるかもしれないけど、それよりプラスの部分が遥かに大きいからこそ今こうして盛り上がっているんだと思います。

アカリ (マイナスかどうかはわからないですけれど)アカリはみんながどう思ってるのかな? っていうのはものすごい気をつけているんです。その確認のためにエゴサしてるところはありますね。ちゃんと人気あるのか確認したいってのもあるけど! ※エゴサのプロとは……

ミライアカリ ちょっと真剣な話しちゃうんですけど、言葉とか行動って人によって捉え方が変わるし結構重いじゃないですか。「好き」って一言だけでもストレートに受け取る人もいるし、「あざといかよ!」って受け取る人もいる。

だからアカリの言葉がしっかり伝わってるかなとか、アカリの動画で嫌な思いしてる人はいないかなって。

──エゴサーの姫といわれる由縁ですね! しかし個人でやることに対して「すごい、応援してあげなきゃ」みたいな想いでいたファンからすると事務所に所属するということに少し思うところがあるでしょうし、実際そういうリアクションも出てきていますよね。

塚本 今回の取組は初めてのことなので、そういう風に不安に思う方がいらっしゃるのもわかります。

ですがVTuberの魅力の根幹を成すのは結局個人の才能。だから、サポートの有無によってそこが揺らぐことはないと考えています。

最終的な判断はこれからのそれぞれの活動を見ていただいてからしていただきたいと思います。「Mirai Akari Project」は前進の「アニメ娘エイレーン」からはじまったものですが、その時も同じように批判や不安の声はありました。だけど、その後の活動で意志を示してきたし、広がった。

面白いものをつくることに関しては、各クリエイターがとてつもない才能を持っていることは十二分に理解しているので、アドバイスも含めた口出しは一切していないです。僕達はファンの方々に見えるコンテンツの部分には干渉せず、見えない負荷を軽減することに努めていきます。

バーチャルキャラクターの価値を認めさせていくために

──個人が台頭し事務所というくくりが出てくるというのは生身のYouTuberでもあった現象ですが、VTuberはそれを何倍ものスピードでやっています。生身とバーチャルの違いはどこにあるのでしょうか。

荒木 なにより眠れる才能を引き出しやすいというのがバーチャルの優れた点だと思っています。

YouTuberもTVなどの既存のプラットフォームでは発掘されなかった才能が出てきて盛り上がったものだと思いますが、それでもまだ世の中には隠れている才能があって。

VTuberという形で表現される世の中になってきていると思います。実際、「ENTUM」の新人募集にもかなりの数の応募が来ています。

塚本 これまでもアカリちゃんが色んな地平を切り開いていく瞬間を見てきましたが、まだまだ世の中を変えるようなことが起きてくると確信できます。

──アカリちゃんは新人ともTwitterで積極的に交流していたりしますが、驚異に感じたりしますか?

アカリ 盛り上がるのはいいことですから素直に楽しみです!

新人のVTuberさんとの絡みっていうと、いつのまにかアカリって四天王って言われてますけど、ただ初めの方にやってたからってだけだだし、それで上から目線で偉そうにするのはおかしいし。みんな一生懸命やってることは変わらないと思うんですね。

だから先輩だからって気持ちではなくて、こうして繋がった縁をひとつひとつ大事にしていきたいと思ってます。こうして繋がってることで助け合えることってあると思うし! あれ? またいいこと言ってる?

もしかしてイイこと言ってる!?

──(👍グッ!)そうしたVTuber同士の交流が活発に行われていることも魅力の1つですね。生身の方の事務所というものは企業タイアップを積極的に行っていくというような事例がありますが、そういう取組についてはどうお考えですか

塚本 僕たちはバーチャルキャラクターが市民権を得ていくためには、ビジネスに当てはめていくことが重要だと思っています。

ただ消費してコンテンツをつまらなくするものではなく、ファンも楽しめてコンテンツの可能性を広げていくようなタイアップというものがこれからの発展のためには必要。だから、そういうものに関しては積極的にやっていこうと考えています。

露出が増えることでそれまで知らなかった人たちにもVTuberが浸透していくでしょうし、ビジネスになってるのを見れば「バーチャルキャラクターってなんだよ」って笑ってた人たちも認めざるをえなくなりますよね。

UUUMさんとヒカキンさんもやってきたことで、そうすることでYouTuberが社会に認められてきた。なので世の中にバーチャルキャラクターの価値を認めさせるためにはそうした動きが必要になってくると思います。

──事務所ができることで所属する人とそうでない人という線引きがハッキリしてくると思います。どういった影響を及ぼすでしょうか。

荒木 線引きがハッキリすることで対立が起きたり、なにかコミュニティに間隙が生まれたりすることにはならないと思います。

元々VTuberはお互いのノウハウをVRChat上であったり色んなところで共有して発展してきましたし、僕達も技術やノウハウを特にシークレットにするつもりはないので、全体のクオリティの向上や発展のスピードアップに繋がってくると考えています。

事務所に入れないから人気になれないとか、仕事にならないみたいな……現実にあるしがらみをバーチャルにまで持ち込みたくはないですしね。 ※ENTUMでは事務所の所属にかかわらず動画を投稿しやすくするためのアセット配布も行っている。

──活動環境が変わっていくと思いますが、アカリちゃんとしてこれからどう活動していきたいですか。

アカリ 目標としてはやっぱり「アニサマ」とか「Mステ」とか、あと「紅白」ですね! 事務所に入ったからにはこれまでできなかったようなことをやりたいです。それなりのバックアップをしてくれるということですしね!

あとは直接リスナーさんと触れ合える機会が増えたらいいなとも思います。

変わらずに変わり続ける

──今回の取組の意義についてここまでうかがってきましたが、改めて今後の展望をうかがえますか

塚本 事務所として何かをしたいというのはないんです。ただ最終的な目標である市場全体の拡大というものに向けてそれに必要になってくるので事務所を大きくしていきたいとは考えています。

そのためには入ってもらったクリエイターの方々に入って良かったと思ってもらわなくてはいけない。そのためにファンの期待に応えるコンテンツが投下しやすくなるようサポートをしていくということが必要になってきます。

不安に思う方々もいらっしゃると思いますが、僕たちはこれからの世の中を考えて必要だと思ったから今回の取組に至りましたし、そういった真意も最後には伝わると信じています。

荒木 「Mirai Akari Project」を始める時も、何か決まりごとがあったわけでもないし、数字として成功が確約されているわけでもありませんでした。

でも僕たちの中ではこれは確実に世の中に大きなインパクトを与えて、盛り上がっていくという確信があった。今回も同じ気持ちです。

塚本 僕はこれまで生きてきてこんなに世の中が変わる瞬間というのに立ち会ったことがありません。VTuberはまだまだ広がっていく面白いムーブメントなのは間違いないので、志を持ってやっていきたいと思います。

──それでは最後にみなさんを代表してアカリちゃんからファンの方に一言お願いします。

アカリ え! アカリが代表しちゃっていいんですかね? 動画でも言いましたけどアカリは全然何も変わらず、でもやることはどんどん進化していきます!

自分自身の性質? は変わらないけど……変わっていきます! うわわ〜〜〜、なんかうまくまとめてください!

最高の笑顔をくれたアカリちゃん

──アカリちゃん自身は変わらないけど、活動はどんどん面白くよりよく変わっていくってことなんですかね…?

アカリ そうです! まさにそんな感じです!

今の自分を好いてくれている人が50万人以上もいる、こんなに素敵なことはないです! なのでリスナーの方々を裏切らずに、より楽しませる動画を配信できるように頑張ります!

──アツい宣誓をいただけました。本日はありがとうございました!

ミライアカリちゃんへの動画インタビュー!

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VTuber特集

2017年末から爆発的な人気と勢いで熱い視線を受けるバーチャルYouTuber。 VR技術を駆使した新たな文化の潮流は、コンテンツを制作するクリエイターと享受する視聴者に革命をもたらしている。 はたしてこれは一過性のブームなのか? ブームの源泉から最前線で活躍するVTuberにスポットを当て、どこよりも早く、深く紐解いてく。

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