北京、広州、上海の中国の3都市を舞台にした「陽だまりの朝食」「小さなファッションショー」「上海恋」からなる3本の短編からなるアンソロジー。
中国のアニメ制作会社・絵梦アニメーション/Haoliners(ハオライナーズ)の代表であるリ・ハオリンさんを総監督として、日本と中国の2人の若手が2作品で監督を担当する。
中国と日本の若手によるアンソロジー『秒速5センチメートル』へのオマージュ作も
リ・ハオリンさんが、10年近く前に『秒速5センチメートル』を観て新海監督に憧れ、CWFに熱烈なオファーを送り続けたことで始動した『詩季織々』のプロジェクト。監督はリ・ハオリンさんを含めて3人。1人は実写映画出身でアニメ初挑戦となるイシャオシンさん、もう1人はCGチーフとして長年に渡り新海作品を支え続けてきた竹内良貴さんが初めて監督をつとめる。
3人は担当作で、中国の暮らしの基となる「衣食住行」を描くという。
この作品を作るにあたり、中国の広州の街中を歩き回りました。
近代的な真新しいビルが立ち並び、かと思えば昔ながらの町の風景もそこかしこに息づき、それらがものすごい速さで変化していくという、まさに時代の変化を絵に表したかのような光景がそこにはありました。
そこで暮らす人々はどのような思いを抱いて生活しているのでしょうか。
様々な人たちがいると思います。幸せな人、つらい人、未来に希望を抱く人、あるいは流されて生きている人もいるかもしれません。色々想像することができると思います。
この僕の作品は服をキーにして姉妹の関係性の変化を描いていますが、それを通して何か感じ取れるものが見終わった後に残ってくれれば幸いです。 竹内良貴監督コメント
これまで実写作品を手掛けてきた私にとって、初のアニメーション監督作品です。
原作は、私が六年前に書いた短文です。当時の私は田舎から北京に来たばかりで、頼れる人も、友も、仕事の目標もあり ませんでした。ある寒い冬の夜、あまりの寂しさから、故郷を想い、祖母や家族との懐かしの味とその思い出を物語にしま した。その作品は共感を呼び、映画化の提案も多く頂きましたが、今回縁あってこの企画のお話をいただいた時に、この原 作でアニメに初挑戦しようと決めました。
唯一残念な事は、祖母に捧げた作品だったのですが、完成する2か月前に祖母が亡くなり、その目で観て貰えなかった 事です。ただ、天国にいる祖母も、微笑んでくれると信じています。イシャオシン監督コメント
『詩季織々』は2018年夏、テアトル新宿、シネ・リーブル池袋ほかにて公開される。人の一生は一瞬で過ぎ去り、人は何かを忘れ、誰かと別れ、離れていってしまう。そんな儚く消えゆくものを、美しい映像としてずっと残したいと思いました。
舞台となる上海の石庫門は、1980年代に生まれた私たちの世代には“実家”のような存在です。狭い中で、家族の距離は近く、温かい。しかし、時代とともに、人がいなくなり、石庫門は徐々に取り壊されています。幼少期、いつまでもその家に家族一緒に暮らしていくと思っていたのに、いつしか離れ離れに、そして永遠に別れる事になる。そんな”実家”への感情は”初恋”に似ていると思いました。
「上海恋」ではアニメーションという言葉を通して、それらの感情を皆様にお届けできれば幸いです。 リ・ハオリン監督コメント
なお、絵梦アニメーション/Haoliners(ハオライナーズ)でインターネット関連事業を手がけるテンセントを持株会社とするアニメ制作会社。中国の動画共有サイト・ビリビリからの事業出資も受けている。
新海誠監督の次回作も期待しています
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