「ねほりんぱほりん」インタビュー 山ちゃんとYOUがサイコパスに愛情抱いた

「ねほりんぱほりん」インタビュー 山ちゃんとYOUがサイコパスに愛情抱いた
「ねほりんぱほりん」インタビュー 山ちゃんとYOUがサイコパスに愛情抱いた

『ねほりんぱほりん「元サークルクラッシャー」』

ネット上で注目される人物や、希少な生き方を体験した人物を番組に招くNHKのトークバラエティ『ねほりんぱほりん』。

NHKらしからぬブラックな笑いや話題と、お家芸とも言える人形劇が融合。顔出しNGの訳ありゲストはブタに、聞き手はモグラの人形に扮して、深い本音やエピソードを引き出した。さらにはTwitterの効果的な活用によって、ネットでも大きな反響を呼んだ。

3月に惜しまれながら放送を終了したが、10月4日から「シーズン2」としてカムバック。初回から「少年院に入っていた人」が登場して、その過酷な人生を語った。

KAI-YOU.netでは、以前に番組担当ディレクターとSNS担当者に話を聞いているが(関連リンク)、今回は聞き手であるモグラのねほりん役・山里亮太さんと、ぱほりん役・YOUさんにインタビューできる機会を得た。

シーズン2に向けて上がったハードルと、それを超えていくテーマのラインナップ。今後のエピソードの見どころや印象的なシーンについて聞いているので、放送への期待とハードルをさらに高めてもらいたい。

番組としては珍しい、ひりついた瞬間とは?

「元サークルクラッシャー」

──シーズン2のラインナップもディープな内容ばかりですが、「元サークルクラッシャー」は言葉としてインパクトがあります。サークルや職場の中で複数の相手と恋愛し人間関係を崩壊させる、そんな女性に会ってみていかがでしたか?

山里亮太(以下、山里) YOUさんも思ったでしょうけど、まぁひどい女性ですよ。「人間関係を壊してまで、なんでそんなことするんだ。ビッチじゃないか」と。でも、それはあくまで入口であって、そこで終わらないのがこの番組。最後は「なるほどな」って。

実は、番組としては珍しく、ひりついた場面があったんです。途中、YOUさんにスイッチが入って「殴りてぇな……」と言った瞬間、女性がビクッとしたんですよ。がくがくっと震えて。

「元サークルクラッシャー」

山里 想定質問だと、そのあとYOUさんをもっと怒らせるようなことを言うはずだったんです。だから、このびびり方だと難しいかな、もう話さないかもなと思って。

YOU えぇーーー!? そんなことあった?

山里 ありましたよ! でも、その女性はちょっと息を吸うと、想定していた通り話し始めたんです。「ここで生ぬるいことを言うんじゃ意味がない!」って、覚悟を決めたんでしょうね。

YOU えらいなぁ、さすがクラッシャー。

──その戦いはぜひ見てみたいです。続く11月の放送回では「パパ活女子」に「ネトゲ廃人」と、これまた一筋縄ではいかない人たちですね。

山里 「パパ活女子」も同じく、世間からはよく思われない人じゃないですか。「若さを売りにして、身体の関係を持たないにしてもお金をもらうだなんて」と。そんな彼女たちの苦悩が結構聞けるんですよ。

手を出したがゆえの最大の不幸も知ることができました。ただ「最低だな」って言うんじゃなくて、いろいろな面で胸のすく思いになれる、そんな話でしたね。……どうかしましたか、YOUさん?

YOU ちょっと記憶をたどってて(笑)。

山里 えぇ…と、そうなんですよ。YOUさんは収録終わった回のこと何も覚えてないんですよ! 「ネトゲ廃人」も忘れちゃってますもんね?

YOU 顔は出てくる。ネトゲも最終的には「なるほどね」って思った。

──と言うと、やっぱり予想外の内容でしたか?

山里 「廃人」というネガティブな言葉から、相当ダメな生活を想像しちゃってたけど、話を聞いてみたら、アスリートなんじゃないかって。

そう納得するくらい、詳しく生活ぶりを聞いてます。「ネトゲ廃人」にもいろいろな種類があったりとか、子供が将来の夢として思いそうなくらいリスペクトできるポイントがあったり。

YOU そうなんだぁ。めちゃくちゃ楽しみ!

山里 一緒に聞いた話ですよ。

「下品な面を引き出そうとしてもそうならない」

──そのほか印象に……記憶に残っているゲストはいらっしゃいますか?

YOU 1人だけ、ちょっとサイコパスな人がいて……。その人のときは、私も山ちゃんも同時に気づいたんです。「あれ、もしかして? マジでヤバいかも」って。だから、ふんわり優しく包み込んで帰しました。

山里 その人も、きっかけはYOUさんの質問でしたね。本来は問題なく終わるはずだったのに、質問して以降、想定していた質問は全部無視して結果的にサイコな回に。

YOUさんは基本的に打ち合わせなしだから、「最初に1個聞いていい?」って言って、冒頭から核心突いちゃうことがある(笑)。それが相手の深いところを掘ることにつながるから、番組の良さでもあるんですけど。

YOU あくまでも私は、視聴者代表として参加しているので、わざと……

山里 打ち合わせしないんですよね! 収録では毎回「もう始まってるの?」「今日だれ?」って感じですけど。

── いち視聴者として気になったんですが、毎回必ず聞くようにしている質問はあるんでしょうか?

山里 そのつど興味を持ったことを聞くので、マストで聞く質問はないですね。むしろ、下品な面を引き出そうとしても、そうならない。

今日も元子役と話していて、「お金を持って変わった人間いる?」と聞きたかったんですよ。でも、話を聞いているうちに「面白いポイントはそこじゃない」と気づいて、ゲス山里は消え去りました。

YOU いっぱい話してくれて面白かったよね。

山里 聞きたいこと聞いて、共感する。これはYOUさんのおかげかなとも思います。ちょっと変わった人が来る場合、相手を知る上で共感が邪魔しちゃうこともあるんです。

でもYOUさんは、共感のかたちが独特なので、変わってる人を「変わってる」ままで終わらせないようになってるんですよね。

「“自分は人とは違う”と認めてるのかもしれない」

「ナンパ教室に通う男」/画像はねほりんぱほりん公式Twitterより

──番組全体を通して、ゲストの方々はなぜあれほど自身の内面を話してくれるのでしょうか?

山里 単純に「嫌い」と判断しないところがいいのかなって。僕らとしても、最初からバカにしようとは思ってないし、話を聞いてみて「バカだな」と感じたら、最後にバカって言って帰ろうと思ってるんです。

YOU でも言えない。

山里 結局いつも、「なるほどなぁ」「そうなのかぁ」って思って帰ってる。「ナンパ教室に通う男」以外は(笑)。

YOU 優しく優しく包み込んでます。

山里 あと「ねほりんぱほりん」の匿名性って、異様に信用されてるんですよね。

目隠しだけだと「ひょっとしたらシルエットでバレちゃう」ってことがあるかもしれない。それに比べて、この番組の人形はものすごく信頼度が高くて、どの人もブレーキ踏まずに話してくれます。

画像はねほりんぱほりん公式Twitterより

YOU 自分が人と違うことについて、認めてる部分があるのかもしれない。そういう経験や思考を、きちんと話そうと思って来てくれるんですよね。もちろん、収録前にスタッフさんがしっかりコミュニケーションしてるんだけど。

山里 最初は「怒ってやろう」みたいな気持ちでも、相手が誠心誠意話してくれるから「ん? いいやつなんじゃないか」って。

YOU 実際に会うと、やっぱり愛情が生まれるんですよ。どんなサイコパスでも。

山里 YOUさんの「なんとかしてあげたい」という気持ちによって、番組がお悩み相談になる瞬間があるんです。その解決策は、基本的にゲスト向けのものなんですけど、視聴者自身の悩みを解決することもある。

ゲストの方も、悩みを解決した瞬間、「もっと話を聞いてもらいたい!」と思って燃え上がって、より本音が飛び出すようになるんです。

「元薬物中毒者」のときも、話していく中で「仮に今、絶対バレない状況で薬物が目の前にある。どうする?」って聞いたら、「やっちゃいますね」って。

YOU 正直。

人形遣いの技術という「NHKさんの宝」

──お話を聞いていると、ブタやモグラという人形の力も大きいように感じるのですが、どうなんでしょうか?

山里 僕らがそのまま出て、ゲストもモザイクだけだったら、「失礼だな」って見えるかもしれない。でも、そこは人形遣いの方々の職人芸ですよ。

一度、生で僕らの動きに合わせてもらったことがあって、未来が見えているんじゃないかってくらい、ぴったりでしたからね。

YOU 服とか靴とか、アクセサリーまで、ゲストの方が身に着けてたものを再現していて、コストパフォーマンスが気になっちゃう。NHKさんの宝です。

山里 この人形劇の人たちこそ、『プロフェッショナル 仕事の流儀』で取り上げてほしいくらい。 山里 モグラはグッズ展開も決まっているみたいなので、ちょっと僕らのパーセンテージの話だけさせてもらって(笑)。

──実は番組企画当初、ブタとモグラ以外に、聞き手側にウサギを出すという案があったようですが、もし採用されていたとしたら、誰がいいと思いますか?

YOU 松居一代さんかな。

山里 すごい厳しい目で見てくれますからね。最近は、番組と連動してYouTubeで配信したりしてますから、そういう意味でも適任かもしれません。

場合によっては、「いろいろあったので、今日はブタ側でいいですか?」というのもできそうじゃないですか?

YOU ……。

「一番匿名で言わないといけないのはNHKの会長」

──9月の特番で「元薬物中毒者」の方が再出演しましたが、もう一度会ってみたいと思う方はいらっしゃいますか?

YOU それこそ「元薬物中毒者」の人は定期的に会わないとね。

山里 彼女の場合は、僕らもカウンセリングだと思ってますから。

あとは最初の頃でいうと「プロ彼女」とか、「元国会議員秘書」もすごかったですよね。

YOU 番組のあとでお手紙送っていただいたんですよ。しっかりしてるわぁ。

山里 そういえば、この間、たまたま鹿児島空港で「芸能スクープカメラマン」に会ったんですよ。YOUさんが「死んでくれないか!?」って言った人。まだ生きてました。

YOU ムカつくぅぅぅぅぅ!

「芸能スクープカメラマン」/画像はねほりんぱほりん公式Twitterより

山里 僕は別番組の収録で、あっちも何かを追っかけてたんでしょうね。空港で待ってたら話しかけられて、「山里さん、昨日は鹿児島中央の近くの屋台村で、ずいぶん派手に遊んでましたね」って。

驚いて「撮った?」て聞いたら「撮りました!」と。でも僕、かあちゃんと飲んでたんで、記事にはならなかったんですけど。

YOU 収録のときは結構強く言ったんだよね。結局「僕らは事実を撮っているだけです」って言われて、ぐうの音も出なかった。うん……そうだねって。

──それでは最後に、改めてシーズン2に向けた意気込みを聞かせてください。

山里 シーズン1が終わったときに、本来は悲しくなるはずなのに、自分でも「終わるべきだ」と思ったんですよね。続けるためだけに、テーマがぬるくなるくらいなら、一度華々しく散ろうじゃないかと。

「少年院に入っていた人」

山里 だからこそ、こうやって帰ってこれたんだと思います。

とはいえ、シーズン1で上がったハードルを超えられるのか──2の最初の収録のときは不安もあったんですけど、初回から「少年院に入っていた人」でしょ? (ハードルを)軽々と超えてきました。

YOU その通りです! さっきも言ったように、私は視聴者代表のような気持ちで参加していて、そういう意味でも毎回楽しめてますね。

──某テレビ雑誌の復活希望番組で、2位にランクインしていたほど期待度は高いですが、それに違わぬ内容だと思います。

YOU 1位はなんだったの?

──「笑っていいとも!」、3位が「SMAP×SMAP」です。

YOU そりゃそうだ。

山里 その並びに入っているのはすごいですね。

──今後、「こんな人に出てほしい」という希望はありますか?

山里 聞くところによると、アプローチしてるみたいですよ。YOUさんがずっと会ってみたかった例の人、現役の……

YOU “極”の“道”の本人、もしくは妻。楽しみにしてます。

山里 まぁ、一番匿名で何か言わないといけないのはNHKの会長なんじゃないかって思いますけど。

YOU 無理かなって(笑)。

番組ディレクターやSNS担当者のインタビューも

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番組情報

ねほりんぱほりん

【放送予定】
10月11日 「元サークルクラッシャー」
サークルや職場の中で複数の相手と恋愛し人間関係を崩壊させる女性「サークルクラッシャー」。かつて大学のサークルで7人の男性と次々関係を持ち、男同士が大げんかするなど騒動を起こした女性がゲスト。たくさんの男性をもてあそんだその先には、離婚や子どもとの別れなど壮絶な人生が待っていた…。男をその気にさせる驚きのテクニックも大公開!自分の存在価値や居場所を恋愛に求め生きてきた女性の人生に迫る。

10月18日・25日 アンコール放送
11月1日 「パパ活女子」
11月8日 「ネトゲ廃人」
11月15日・22日 アンコール放送

12月以降 「過保護すぎるママ」「元子役」「介護士」……などを鋭意取材中

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