2016秋アニメをSNSデータで分析!「覇権切り」にあった注目3作品を発掘する

2016秋アニメをSNSデータで分析!「覇権切り」にあった注目3作品を発掘する
2016秋アニメをSNSデータで分析!「覇権切り」にあった注目3作品を発掘する
はじめまして。株式会社シェアコトの武者慶佑(むしゃけいすけ)です。僕は企業×アニメのコラボプロモーションの企画を専門で行う仕事をしています。

具体的には、カルピス「ゲンエキインタビュー」や、ポッキーのLiSAさんコラボではKAI-YOUさんとご一緒しました。

そのほか、LiSAさん×ライフカード、お名前.com×ラブライブ!……など、たくさんプロジェクトを手がけてきました。一例ですがシェアコトのサイトに掲載しています。(外部リンク

企業とのお仕事では、定量的にプロモーションの効果を検証する必要があります。そんな仕事柄もあってクールごとにアニメに関するTwitterの投稿データを調べて参考にしています。たとえば、「放送日にどのくらいそのアニメについてツイートされているか?」などです。

そこで、この記事では日頃から収集したデータを活用し、企業のプロモーションを設計する「アニメコンテンツマーケティング」のプランナーである僕の立場から、アニメに対する新しい出会い方や評価の仕方を、みなさんに提案してみたいと思います。

題して「覇権切り撲滅委員会」です!

近年のアニメに起こりがちな「覇権切り」とは?

さて、2016年の秋アニメで印象に残っているものといえば、『ユーリ!!! on ICE(以下、ユーリ)』でしょう。いわゆる「覇権アニメ」というやつですね。

下の表を見てみますと、ユーリ(緑のライン)に関するつぶやきが多すぎて、他の作品が埋まってしまっています。

画像クリックすると拡大できます ※他作品は上位のつぶやき数のもののみ抽出

僕的にはアニメのつぶやき数は放送日に10,000件を超えると、それは十分に大きな話題=覇権アニメの要素であると考えています。

その基準の理由は、Blu-rayやDVDといったパッケージが「10,000本売れれば大ヒット」と言われていることや、息の長い人気コンテンツである『新世紀エヴァンゲリオン』や『進撃の巨人』、初音ミクなどがおおよそ1日10,000件のつぶやきを維持し続けているからです。

でも、仮に10,000件に満たなくても、つぶやき数がユニークに変化していたり、ずっと右肩上がりで盛り上がっていたりする作品もあるのです。

最近は、そもそも放送するアニメの本数が多いこともあって、覇権アニメがひとたび決まってしまうと、そこにばかり話題が集中し、他の作品の話題が届きにくくなってしまっているようなことがあるのではないでしょうか?

そこで、本連載では、毎クールごとに覇権アニメの裏に潜んでいる「実はたくさんのつぶやきがあったんだぞ!」という作品をKAI-YOUでは「覇権切りにあったけれど注目に値するアニメ」としてご紹介し、その理由をデータの側面から探ってみたいと思います。

今は配信サイトによりアーカイブされているアニメがほとんどですので、見逃していた!という方は、あらためて楽しんでみるきっかけになれば嬉しいです!

2016年秋アニメは、この3作品が(データも)熱い!

それでは、ユーリ以外のアニメを検証するべく、グラフからユーリを消しまして、さらに「2期もの/2クールもの」も消し、新作にしぼって見てみましょう。2期ものを消した理由は、「2期が決まった=すでに一定の人気を獲得している」と考えられますので、厳密には今クール作品ではないとして対象外にしました。 だいぶすっきりしてきました。『3月のライオン』と『ドリフターズ』は1話目がすごい高いですね。前評判が良かったことが見てとれます。クールを全体的に見ると1話目が高く、徐々に下降していくグラフが多いです。いわゆる「1話切り」が発生していることが見てとれます。

次は、作品ごとにグラフを検証します。赤い横線はつぶやき数が10,000件を示しています。その上で、僕が今になって後追いで注目してみたくなったのは以下の3作品。

「オカルティック・ナイン」「魔法少女育成計画」「ろんぐらいだぁす」

注目したところは、図内に黒丸をつけましたが、以下の放送話のつぶやき数です。 ・オカルティック・ナイン(第6話以降)
・魔法少女育成計画(第6話)
・ろんぐらいだぁす(第5話)

話数を重ねるにつれてつぶやき数は下降していく作品が多いですが、黒丸の部分で急激に上がっています。察するに、その放送日に“つぶやきたくなる何か”があったのでしょう。

「つぶやきたくなる何か」をテキストマイニングから探る

ここからは「数」だけではなく、つぶやきの「内容」を調べてみます。今回はテキストマイニングという技術を使います。

テキストマイニングとは、文字列を対象としたデータ分析の手法のことです。単語や文節で区切り、それらの出現の頻度や、セットになって現れる言葉の傾向にある相関を見る分析方法です。今回は、作品名を含むつぶやきの中に、どのような単語や文節が出てきているのかを調べます。
オカルティック・ナイン(第6話)
第6話でつぶやき数が増えてきていることから、その日に「オカルティック ナイン」を含んだつぶやきを1,000件ほどサンプルでピックアップし、テキストマイニングしてみました。すると、なんか面白そうなキーワードが上位に出てきました。

展開、死ぬ、怖い、やばい・・・第6話に何かとんでもない展開が待ち受けているに違いないことが見えてきます。これだけでも気になってきますが、見方を変えればTwitterにはネタバレの危険度がものすごい高いともいえますね……。

ただ、未見アニメを発掘する上では、こういった話題の話数だけでも集中的に見るようにすることで、話のタネに役立ちそうです。
魔法少女育成計画(第6話)

(※「まほいく」というキーワードの中に「魔法少女育成計画」も同義語として内包されています)

こちらもオカルティック・ナイン同様に、第6話で急激につぶやきの件数が上がってきていました。

放送日を基点にテキストマイニングをしてみました。これまたオカルティック・ナインと同じようなキーワードが並んでいますが、より一層リアリズムを感じますね。絶対これ誰かグロい感じで死んでますね。

さて、ちなみに、第3話、第5話が制作スケジュールの影響によって放送延期が発生してしまった『ろんぐらいだぁす』。こうしたこともTwitterを騒がせる原因となるのはデータを見てもわかりますが、その後の反響はですね。後ろ倒しになった最終回は2月に放送され、実は高いつぶやき数を出しておりました。

2016年の秋アニメは、覇権のユーリの裏側で、実はグロテスクな何かがうごめき、Twitterを賑わせていた。もしかしたらそんな、人をドキッとさせる演出の多いクールだったといえるのかもしれません。あるいは、そういった作品が求められているという兆候も感じとれるでしょう。

Twitterの数字が全てではありませんが、アニメを見てみるきっかけはさまざま。これで新しい作品を見ようと思っていただければ幸いです。

今度は2017年冬アニメの分析でお会いしましょう!……やっぱり本命は「すごーい!!たーのしーー!!!」ですかね。

配信情報

Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-
GYAO / AbemaTV / dアニメストア / アニメ放題 / バンダイチャンネル / U-NEXT / ひかりTVPlayStation®VideodTV / ゲオチャンネル / Amazonプライム・ビデオ / VideoMarket

魔法少女育成計画
ニコニコチャンネル / ニコニコ生放送 / NETFLIX / Amazonビデオ / Amazonプライム・ビデオ / AbemaTV / U-NEXT / アニメ放題 / J:COM オン デマンド / dアニメストア / フジテレビオンデマンド(FOD) / ゲオチャンネル / dTV / バンダイチャンネル / ふらっと動画 / Google Play / YouTube / ひかりTV / PlayStation Video / TSUTAYA TV / Video Market / RakutenShowtime / DMM.com / VIDEX / HAPPY動画 / ムービーフルPlus

ろんぐらいだぁす
dアニメストア / Hulu / J:COMオンデマンド / ビデオパス / U-NEXT / アニメ放題 / Playstation™Video / ひかりTV / GYAO!ストア / Google Play™ / Amazonプライム・ビデオ / Amazonビデオ / Rakuten SHOWTIME / TSUTAYA TV / DMM.com / FOD / ビデオマーケット / HAPPY!動画 / ニコニコ生放送 / アクトビラ / ふらっと動画

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武者慶佑

アニメコンテンツマーケティング/プランナー

1982年生まれ宮城県仙台市出身。青山学院大学卒。

スターバックス、コンサルティング会社、広告代理店、などを経て2012年より株式会社シェアコトにて企業プロモーション×アニメコンテンツの企画を専門に行うアニメコンテンツマーケティング部門の立ち上げを行う。

アニメや声優、アーティストの定量的な分析を通して、企業ソリューションとして考え、ドコモ、マイクロソフト、GMOインターネット、レキッドベンキーザジャパン(クレアラシル)、カンロ、アサヒ飲料(カルピス)、ライフカード、パソナテックなど、業界を越えてのプロモーション企画・制作をプロデュース。

日本動画協会主催のアニメビジネスパートナーズフォーラム、コンテンツ東京2015など登壇多数。「アニメビジエンス」にて連載。
日本グミ協会会長として「マツコの知らない世界」に出演。

株式会社シェアコト

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