2016年8月2日、「超ライブ×戦極 U-22 MC BATTLE」という大会が東京・渋谷TSUTAYA O-EASTで開催された。いいか! おまえらとぼくは精神的に身分がちがうのだ! ぼくは精神的貴族に位置する! 荒木飛呂彦『魔少年ビーティー』より
MCバトルの世界は、韻を踏んだりビートに乗ったりしてお互いのラップスキルを見せつけ合うのがセオリーとなっている。そんな中、ラップの技術に頼ることなく、独自の活路で決勝戦まで駒を進めたMCがAmateras(20)だった。
Amaterasというラッパーを知る人がすごく増えたのは、この大会のバトル動画のおかげだと思う。
この動画を見る限り、彼は彼なりの等身大で、無理をすることなく、余裕を持って振舞っているように見える。
すごく簡単に彼のMCバトルにおけるスタイルを説明すると、イタリア生まれ、白金育ちの「金持ち自慢」、幼稚舎から現在の大学に至るまで慶應義塾に通う「高学歴自慢」である。
この大会でAmaterasというラッパーは1つのスタート地点に到達した。
それは漫才師が漫才の型を手に入れたように、それはアイドルがグループ内での立ち位置を見つけた時のように、Amaterasなりの苦悩があってのスタート地点だった。
今回は彼と同じラッパーであり、それなりにフリースタイルにも精通しているハハノシキュウがAmaterasにインタビューをしながら、それがどんな道のりだったのかを紐解いていきたいと思う。
取材・文:ハハノシキュウ 撮影協力:Kodai Ikemitsu 取材・編集:吉田雄弥
Amaterasはキャラクター、プロデュースしている感覚
ハハノシキュウ Amaterasの「金持ち自慢」「高学歴自慢」のスタイルはどこからきたの?Amateras うーん、僕はAmaterasという名前ですけど、実際、本名は違うじゃないですか? 自分という人間の本質はステージの下にいる時であって、ステージの上にいるのはキャラクターなんだって捉えてます。
Amaterasの慶應義塾大学に通っていてお金持ちっていう特徴は、ステージの下にいる僕にとっては昔からのコンプレックスで。
だけど、みんなが想像するAmateras像をAmaterasは演じていて、格好つけた言い方をすると、僕はAmaterasをプロデュースしているような感覚です。僕はLINEで「笑」とか絵文字を使ったりするんですけど、Amaterasは「笑」とか絶対使わないだろうなとか。 Amateras だからこそ、逆にお客さんから見えない部分は見せない方がいいと思うんです。たとえば、シキュウさんとこうやって知り合って普通に話せてますけど、普通にバトルだけ見てたら、このハハノシキュウって人はどんな生活してんだろ? 普通に会話できるのかな? って想像できるのがMCバトルの魅力だとも思うんです。
ハハノシキュウ そうだ、これは聞こうと思ってたんだけど、Amaterasって本当に金持ちなの?
Amateras 親がイタリアで会社をやってて、父はイタリアに住んでいます。僕もイタリアで生まれたんですけど、その後すぐ白金に移って、白金で育ちました。世界を代表する大富豪ってわけじゃないですけど、金持ちって言えるくらいではあります。白金台のレストランには、毎晩世話になってますね。
ハハノシキュウ でも、たしか去年に僕とはじめて戦った時は、まだいまほど金持ちキャラじゃなかったよね。
Amateras そうなんです。去年の「戦極13章」でハハノシキュウさんと戦いましたが、この時のAmaterasは全然完成してなくて、せっかくシキュウさんがちゃんと組手してくれたのにうまくできなかったので、「ちゃんとやんなきゃな」って反省しました。
それからですね、慶應とか白金台とかもっとアピールしていこうと思ったのは。でも、たとえば偏差値を自慢すると嫌味になるので、ナルシズムじゃなくて、「ユーモアで笑いをとろう!」、バチバチの格闘技ではなく、「エンターテイメントをつくろう!」って思ったんです。 Amateras まだまだ完成系ではないんですが、より完成に近づいたのが「U-22」の時のAmaterasで、僕のイメージするAmaterasという存在を世の中に伝えられたかな? とは思います。
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関連リンク
Amateras
ラッパー
Contemporary Artist. Keio Univ. CEO by CreapeClassics. Directed : https://youtu.be/yhaa3WrOgD8 Contact→creapeclassics@gmail.com
今年12月下旬より、映画批評ラジオ「Amateras ~シネマの黙示録 ~」をYouTubeに定期配信予定。
Twitter:(@amateras_iam)
ハハノシキュウ
ラッパー
青森県弘前市出身のラッパーであり、作詞家、コラムニストなどの顔も持つ。MCBATTLEにおける性格の悪さには定評があり、優勝経験の少なさの割には高い知名度を誇っている。2015年にはおやすみホログラムとのコラボをはじめ、8mm(八月ちゃんfromおやすみホログラム×MC MIRI fromライムベリー)の作詞を手掛け、アイドル界隈でもその知名度を上げている。また、KAI-YOUにてMCBATTLEを題材にしたコラムの連載を開始、文筆の世界においても実力に伴わない知名度を上げようとしている。現在、処女作『リップクリームを絶対になくさない方法』、DOTAMAとのコラボアルバム『13月』に続き、おやすみホログラムのプロデューサーであるオガワコウイチとのコラボアルバムを製作中。
Twitter:(@8x8_49)
1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:2266)
逮捕おめでとう