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特集 | 市場規模はマヨネーズ並み!人生を変えるカードゲームの魔力

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ラッパー GOMESS 独占インタビュー「ストリートは孤独じゃなかった」

GOMESSさん

静岡県出身のラッパー・GOMESSさん。彼は10歳の頃に自閉症という病気を宣告され、しばらく人の目から遠ざかるために引きこもった。

しかし、ある日、ヒップホップという音楽に出会ったことでラップでメッセージを伝えることを選ぶ。2012年に開催された「第2回 高校生RAP選手権」へ出場。見た目からは想像もつかない熱い魂が込められたフリースタイルで決勝まで進出し、一気にその存在が知れ渡ることとなった。

また、2014年より、音楽プロダクション・Low High Who? Productionに所属している。

編集部では、そんな彼の奥底に秘められた思いや生い立ち、そしてヒップホップに対する思いにGOMESSというMCネームの由来、さらには発売予定のニューアルバムなど、幅広くお話をうかがってきた。

自閉症や引きこもりだった経験など、特異なバックグラウンドを持つがゆえに、そこに注目されがちなGOMESSさんだが、彼が持つ音楽性や本当の魅力を感じ取っていただければ幸いだ。

RHYMESTERのライブを見て、ラッパーになりたいと思った

──10歳の冬に自閉症を宣告され、それからしばらく引きこもっていたと聞いていますが、ヒップホップとの出会いはどのような形だったのでしょうか?

GOMESS ぼくは小中学校の時、学校へ行ってなくて、ずっと家にいて、ひたすら時間だけが流れていきました。ゲームがすごく好きなんですけど、うまく進まなくても、うまく進みすぎても長続きしなくて、いつも一日二日でやめてしまう。「あ、こんな簡単なゲームすらクリアできないのか」、その繰り返しが余計に自分をダメ人間にしていく気がしていました。

でも音楽だけはゲームのようにクリアはなくて、ただ聴いているだけでいい。ひたすらずっと好きな音楽を聴いて、それが2、3年続きました。その時期は1週間にCDを絶対20枚聴くという目標を立てていて、色んなジャンルの音楽を聴いていました。そんな感じで、小6から中1くらいの頃はソニー・ミュージックに所属しているほとんどのアーティストの情報を公式サイトを毎日覗いてチェックしていました。

その時にRHYMESTERさんのアルバム『HEAT ISLAND』の告知PVが自動的に流れたんですよね。最初は勝手に流れだして「うるさいな」と思ってたんですけど、「MTV」とかでもPVが流れていて、ちゃんと見てみるとなんとなく「かっこいい」、「これはフルで聴いてみたいな」と思ってアルバムを手に入れました。

それがきっかけで自分の中で何かが大きく変わりましたね。これまで音楽を受信する側だったのが、発信する側にも視点がいくようになって、ラップがかっこいい、ラッパーがかっこいいと思って、ラッパーへの憧れの気持ちに変わりました。

──憧れの気持ちからどのようにして自分でラップを始めようと思ったんですか?

GOMESS それからある時、お父さんが誕生日プレゼントでRHYMESTERさんのライブDVD『King Of Stage Vol.4〜「ウワサの真相」リリースツアー〜ファイナル』を買ってきてくれて。

少し古めのアルバムのツアーライブだったんですけど、会場は渋谷AXで、ライブではKICK THE CAN CREWさんがゲストで出演していたり、RHYMESTERさんが「今日は誰々が来てるぜ!」みたいにどんどん色んなゲストアーティストさんをステージに呼んでたんですよ。

その映像を見て、当時引きこもっていた孤独なぼくからすると「この人たちすごく楽しそうだな」、「かっこいいな」って特別強く感じました。その時に、まともに人と会話することはできなかったけど、ラップって会話に近いんじゃないかと思って、ラップなら直接面と向かって対話しなくても、ラップすることでメッセージを伝えて、ライブでお客さんと関わることができて、その上楽しむことができる。

だからそのRHYMESTERさんのライブ映像を見て、「あ、おれもラップやりたいな」って気持ちに変わりました。

──それから自分でラップをはじめたんですか?

GOMESS 14歳の中2の頃からはじめましたね。ぼくは昔からカセットテープがすごく好きだったので、最初はRHYMESTERさんの歌詞を耳コピしたラップをカセットテープに録音して1人で喜んでいました。

それでだんだんとラップしているうちに、今だったらフリースタイルでやった方が全然うまいくらいのリリックを何時間も何時間もかけて書くようになって、ラップして録音してそれを繰り返していました。ラップをはじめる前から作曲はしていて、どこに出すわけでもないけど自主制作でCDをつくったりして、賞を取ったりもしていました。

ラップをはじめてからしばらくは手拍子や指パッチンだけでラップしていて、その影響もあってか今でもハンドクラップでラップするのが一番かっこいいと思ってますね。


GOMESSの由来は自分の境遇と似ていて実はヒップホップ

GOMESS インタビュー ──なんでMCネームはGOMESSという名前になったんですか?

GOMESS ぼくの本名は森翔平なんですけど、本当は名前がGOMESSになるはずだったという話を、ぼくも数年前にはじめて親から聞かされました(笑)。

たしかに幼い頃からお父さんはぼくのことをずっとGOMESSと呼んでいて、むしろ翔平と呼んだことがないんですよ。お母さんやおばあちゃん、お姉ちゃんはちゃんと翔平って呼んでくれるんですけど、お父さんだけはなぜかずっとGOMESSと呼んでたし、お父さんの職場の人たちとバーベキューなどでお会いするときもぼくは職場の人にGOMESSくんって呼ばれてたんです。

「おお、GOMESS大きくなったな」とか「GOMESS、誕生日おめでとう」みたいに言われて、本当にGOMESSって呼ばれる環境で育ってきたんですよ。だから「あれ、本名ってGOMESSなのかな?」って思ったりしたこともありました。

そういう流れもあってか、GOMESSという名前に違和感がなくなってきちゃって、それでラップをはじめようと思ったときに自然にGOMESSにしよう、と思いましたね。本名じゃない上にパッと見ラッパーっぽい。しかも中日ドラゴンズのレオ・ゴメスが好きだったし、やっぱGOMESSって名前はいいなぁと思いましたね。

──GOMESSという名前の由来はあるんですか?

GOMESS 自分のMCネームにつける前にちゃんと由来は知っておきたいと思って、お父さんに聞いてみたんです。そしたら『ウルトラQ』という『ウルトラマン』よりも前に放送されていた特撮に出てくる「ゴメス」という怪獣からきているみたいで、「なんでゴメスなの?」って聞いたら、「第1話に出てくる怪獣だから」って言われて、「意味分かんないよ」って返したら、「長男だからに決まってるじゃん」って言われて、「マジか!!!!」ってなりましたね(笑)。もし弟ができたら、弟は「リトラ」か、みたいに、すごいハードコアだなって思いました(笑)。でもお母さんの猛反対で翔平になったみたいです。

──怪獣の名前が由来で強そうだし、何か一般的なヒップホップのイメージとマッチしてる気もしますよね。

GOMESS 後々調べてみたら「ゴメス」という怪獣は、自閉症を宣告された辺りのぼくの境遇と近い気がしたんですよ。「ゴメス」は古代怪獣でずっと地下で眠ってたんですけど、人間に工事で掘り起こされちゃうんですよね。それで怒って暴れちゃって、見た目も結構凶悪で一気に人間から敵視されちゃうんですよ。それで「リトラ」という別の怪獣が「ゴメス」と戦って、相打ちでお互い死んでしまうことになるんです。

そのときに人間たちは「リトラ、ゴメスから守ってくれてありがとう」って感謝して、リトラのお墓をつくるんですよ。

ぼくはそれを見たときにゴメスは何したんだよって、寝てただけなのに急に起こされて、そもそも彼らに伝える言葉を持っていなかった。だから暴れることで怒りをぶつけるという手段をとるしかなかったわけで、それなのに結局周りからは全部ゴメスが悪いというふうになってしまう。そういう状況が、周囲から受け入れられなかったぼくに近いなって思いましたね。

あとゴメスはすごくヒップホップに近い部分があるんですよ。というのも、ゴメスのきぐるみはゴジラのきぐるみを改造したものが使われていたんです。映画で使われたゴジラのきぐるみをバラして、それを新たにつくり直したきぐるみがゴメスになっていて、これはヒップホップでいう、既存の音源の一部を使って曲をつくるサンプリングとほとんど同じだなと思って、そういう意味でもゴメスのことを知れば知るほど、まるで自分のような気がします。

滑り込みで出場した「高校生RAP選手権」

──そんなGOMESSという名前が一番広く知れ渡るきっかけになったのは、やはり2012年開催の第2回「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」だと思いますが、出場のきっかけは何だったのでしょうか?

GOMESS ぼくは生まれも育ちも静岡県なんですけど、高校3年生の夏に愛媛県に1人で引っ越していて、そこで同い年のラッパーの友だちができたんです。その友だちが応募したって言ってて、それでぼくも出たい! と思ったら締切がちょうどその日で、しかもそのときはもう22時で、もうすぐ日付を跨いでしまう。これはもう出るしかない! と思って、本当に滑り込みで応募して、後々スタッフさんに聞いたら一番最後のエントリーだったみたいですね(笑)。

──いきなり決勝まで進んで、かなり多くの方から注目されたと思いますが、反響はいかがでしたか?

GOMESS あまり覚えてないんですけど、収録を終えた後のやり遂げた気持ちと、放送されて多くの人に届くまでの期間が短かったので、色んな人が見てくれてる! やったぞ! という感情が倍増しになったのは強く印象に残っていますね。


ストリートは孤独じゃなかった

GOMESS インタビュー ──放送されたプロフィール映像で、駅前で1人でラップしている姿が印象的でしたが、1人で外でラップするのに不安などはなかったんですか?

GOMESS よくあの映像を見て、「勇気がある」と言ってくれる方がいるんですが、あれは勇気うんぬんの行動ではなくて、単純に友だちもいなくて、人に声をかけることができないからやっていただけなんです。

ラップをしている姿をラッパーが見たらきっと反応してくれるし、どうしようって迷ってるよりもラップして自分がラッパーだと分かるように目立った方が良いと思ったからやってただけで、「孤独」とか「勇気」という気持ちはなかったですね。でも周りの方からはそういう印象を持たれてしまって、ちょっと思ったのとは違う反響でした。

──それでもやっぱり端から見ると、勇気のある行動に見えてしまうと思います。外でラップすることに対して、周りの目は気にならなかったんですか?

GOMESS もう、人から嫌な目で見られることには慣れています。人の顔を見るのはいまだに苦手なんですが、人から見られることに関しては、死ぬほど経験してきました。一度地獄に落ちているので、「殺してやる」くらいの殺意の目で見られない限りは、どんな目で見られてもいい、何をされてもいいと思っています。

だけど地獄を見たおかげで成長できた部分もあって、今の自分があります。人間は地獄を経験していかないと成長できないとも思っていて、今ぼくはうまく事が運びすぎているので、そのうちもう1回地獄に落ちることは覚悟しています。

──駅前でラップすることで出会いはあったんですか?

GOMESS 結局ラッパーは見つかりませんでした(笑)。でもダンサーやシンガーソングライターと仲良くなることが多くて、ある日、学校の帰りにいつものように外でラップしていたら、RHYMESTERさんの「B-BOYイズム」のイントロが地下で鳴っているのに気がついて、「なんだこれは!」と思って、地下道を探しまわっていたら「B-BOYイズム」で踊っているダンサーがいたんです。しばらく見ていたら今度はNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDさんの曲で踊りだして、「日本語ラップで踊ってる!」「ヤバいぞ!」と思って話しかけたら、意気投合しちゃって、その人のところに毎週遊びに行ったりとかしてましたね。

あとはシンガーソングライターがぼくの好きな楽曲を歌っていたら話しかけにいくことが多いです。それで一緒に即興でセッションしたりして仲良くなって、連絡を取るとかではないんですけど、たまに外で会うと今日は一緒に曲をつくろうって流れになったり、だからストリートは全然孤独じゃなかった。SNSよりもよっぽど楽しかったですね。

ラップは楽器がなくてもどこでもできる

──よく公園や道端にラッパーさんが集まって、フリースタイルをする、いわゆるサイファーは、ラッパーさんの間ではあらかじめ決めてる場合だけじゃなくて、自然とそういう輪ができることもありますよね。それはラッパーさん同士で何かが共鳴して自然とできあがるんですか?

GOMESS 謎ですよね。多分ぼくらラッパーも分かってないと思いますよ。わりと会話に近いことができてしまうというか、たとえばクラブにいるときに話しかけようとすると、爆音で音が鳴っているので、大声で話しかけますよね。そのときにラッパーだったら大声出すくらいなら、ラップしちゃえよ! みたいなノリでみんな集まりだすんじゃないですかね(笑)。

あとはライブの出演者で呼ばれてる人はステージでラップできるけど、見に来てるラッパーもテンションが上がって一緒にやりたくなっちゃうというところもあると思います。なんかラッパーってやる側と見る側の区別がそこまではっきりしていなくて、ほかの歌手とは違って楽器がなくてもできてしまう。だから客席でも外でもステージでもどこでも絶対ラップできるから、それはほかのジャンルにはない良い所であり悪いところでもあると思います。そういう流れや特徴がサイファーみたいに、自然とラップする文化につながっているんじゃないかと思いますね。

感動を呼んだ迫真のライブ「B BOY PARK」

──Low High Who? Production所属のきっかけはなんだったんですか?
※この日はLow High Who? Production代表のParanelさんも同行

Paranel はじめはGOMESSくんのことはそんなに気にしてなかったんだけど、黒ゐ目(GOMESSさんが所属するグループ)のCDがタワレコで無料配布されていて、そこで出身がぼくと同じ静岡県ということを知って一気に親近感が湧いてきました。それから気になり始めて、GOMESSくんの活動を追っていくうちに「人間失格」という曲を聞いて、なんとなく境遇が自分と似ていると思って声をかけました。

GOMESS「人間失格」PV


GOMESS もともとLow High Who? Productionは、今よりも規模の小さい時に、ぼくが中2や中3の頃からチェックしていて、今みたいにフリーダウンロードが流行ってなかったのにその頃からもうやっていて、曲もヤバくて、ずっとファンでした。タワレコに持っていったCDの数もすごく少なかったのに、手にとってくれて、「人間失格」も聞いてくれて、ぼくが今Low High Who? Productionに所属しているのは、色んな偶然が働いて結びついたものなんだなってすごく実感しています。

──2013年はLow High Who? Production所属の発表や、ほかにさまざまな方面から注目されて、色んなイベントにご出演されたと思います。中でも印象に残っているライブはありますか?

GOMESS そうですね、いくつかあるんですけど、1つは7月に開催されたParanelさん主催の「POETRY FES」というイベントで、渋谷のパルコにある2.5Dという会場だったんですけど、イベントの様子がUstreamで生配信されたんですよ。しかもその日はLow High Who? Production所属の発表の場だったんです。ぼくは今でこそライブでフリースタイルとかやるようになったんですけど、その時がはじめてライブで10分間ぶっ通しでフリースタイルをしました。

Paranel 前日に決まったんだよね(笑)。

GOMESS そうなんですよ! でもそのおかげでライブでの度胸はつきましたね。

──たしかにGOMESSさんのライブは、緊張や会場のアウェイ感を全く感じさせないくらいの迫力が宿っていると感じます。ほかにも印象に残っているイベントはありますか?

GOMESS 2つ目も夏にあった「B BOY PARK」ですね。当日のライブではすごく良い反応をもらえて、途中からお客さんが増えていくのがステージ上からもわかったので、すごく嬉しかったのを覚えています。

──その場で見ていましたが、何か心に刺さるようなすごく感動的なライブでした。

GOMESS あのライブの印象は強く残っています。ライブが終わった後に見てくれたお客さんが号泣しながら目の前に来て「ライブすごくよかったです」って言ってくれて、思わずハグしてしまいましたね。ぼくも逆に泣かされてしまうというか、本当にあの日はすごい1日でした。

BBOY PARK 2013 LIVE GOMESS


GOMESS 何よりも今まで見ていた側のラッパーが、たとえば晋平太さんがぼくのことを意識してくれるようになったのは恐らく「B BOY PARK」がきっかけでした。

晋平太さんがそのときに「お前は引きこもりで孤独だって言ってるけど、この場にいる奴らは全員お前のことわかってるし、お前がラッパーである以上、お前は1人じゃない」って言ってくれて、そのときに「あ、おれ生きてるんだな」、「ようやく地獄から抜け出せたな」ってすごく感動しました。2013年はその2つのイベントがすごく大きかったですね。

般若さんの言葉が前に進ませてくれた

GOMESS インタビュー あともう1つだけ。これは2014年になってしまうんですけど、1月に般若さんのアルバムのツアーファイナルが開催されたんですけど、そこで1曲「倍ヤバイ」のリミックスにSHINGO☆西成さんと紅桜さんと一緒に参加させてもらったんですよ。

それでその会場が渋谷AXだったんですよね。さっき話したぼくがはじめて見たラッパーのライブ、RHYMESTERさんのライブ会場が渋谷AXで、当時は映像で見ているだけだったぼくがその時と同じ実際にステージに立てた。渋谷AXに出ることはぼくの1つの夢みたいなものだったので、すごく感動しました。本当はワンマンライブで渋谷AXに立つことが夢だったんですけど、渋谷AXは5月で閉鎖してしまうみたいで、最後に何かできないかなと思っていたところに、滑り込みで般若さんが誘ってくれて、本当にうれしかったですね。

──実際に渋谷AXのステージでラップしてみていかがでしたか?

GOMESS 思ったよりは緊張しませんでしたね。それよりも楽屋にいるときが緊張しました(笑)。隣には田我流さんがいるし、向こう側にはSHINGO☆西成さんがいるみたいな、いつもPVで見ているラッパーさんばかりでした。

──そもそも般若さんとはどういうきっかけで共演されたんですか?

GOMESS 去年の4月、5月くらいに精神的にまいっていて、もう外に出たくない、ラップもしばらくやめたいって時期があったんですよ。でもちょうどそのときに「高校生RAP選手権」を見てくれていた般若さんから電話があって、「お前は言葉に魂を込めている、言葉で何かを伝えようとしている、それは周りから理解されないものかもしれないけど、届く奴にはちゃんと届いてるし、お前にしか救えないやつがいる」って言われて、前に進まなきゃいけないと感じました。

般若さんのような偉大なラッパーがこんなに言ってくれてるんだから「負けちゃいけない」と思って、それから一歩前進することができて、般若さんの楽曲に客演で参加させていただきました。

日本のヒップホップシーンはどう映っているのか

──今のGOMESSさんから見て、日本のヒップホップシーンはどう映っていますか?

GOMESS すごく自分勝手で失礼な言い方になってしまうかもしれませんが、ぼくは自分のことをヒップホップというジャンルに所属してないと思ってるんです。たしかに周りからはそう見えると思いますが、別に自称はしてないです。日本のヒップホップは色んな人がそれぞれのスタイルで集まっている。人によってヒップホップの好きなところは違うと思うし、だからみんなが一丸となってシーンを盛り上げて行くぞ! という感じでやっていく必要はないと思います。

そういうふうに何かに縛られる必要はなくて、ヒップホップ全体の未来を考えてる人はちゃんといるし、そういう方々が未来を考えた行動をしてくれている。だからぼくは中途半端な気持ちでヒップホップに対してどうこう言うつもりもないし、その中に入るつもりもありません。そういう人たちに失礼だし、言ったところで意味がない。だからぼくは自分がやれることだけをやろうと思っています。

──なるほど。所属してないと言いつつも、やっぱり端から見ていると、GOMESSさんは10代の若手の中ではシーンを率先して活動しているようにも見えます。シーン全体がどうこうというよりも、活動していてヒップホップに対して何か感じることはありますか?

GOMESS 1つだけすごく訴えたいことがあって、サイファーに行く度に感じることなんですけど、ラッパーって色々なことを平気でディスるんですよね。それなのに、今まで批判していたくせに急に手のひらを返すように褒めだしたりとかして、いつもディスってる内容が自分たちに返ってきてると思うことがあります。

以前DARTHREIDERさんが、「ファックバビロンって言ってるラッパーがいるうちは、きっとヒップホップと外の関係は良好にならない」とおっしゃっていて、本当にその通りだと思いました。

それって戦争しようぜって常に言ってるようなもので、ヒップホップには歩み寄りの精神が少ないな、と感じることがあります。むしろ基本的にはそっちから歩み寄ってこい、というスタンスで、それなのにすごく批判する。そういう意味でも一緒にされたくないな、という気持ちもあります。

もちろんヒップホップという音楽自体は大好きだし、RHYMESTERさんが外に向かって発信していたからぼくも受信することができて、勇気をもらった。だからヒップホップを全否定する気も全然ないですし、今までの自分をないがしろにする気もない。むしろヒップホップに対する思い入れが人一倍強いからこそ、軽率なことはできないと思っていて、自分の立場をしっかり見定めて、自分のやるべきことを考えていきたいです。


ヒップホップが大好きだからこそ、シーンにはずっといない

──愛がありつつも、ヒップホップの暗い部分も客観視できていてすごいと思います。

GOMESS ぼくはヒップホップが大好きだからこそ、そこにずっといる気はないですね。大好きな奴がずっといたら、好きな奴らしか集まらなくなってどんどんオタク化していくだけだと思います。ロックだったり、J-POPだったり、あんまりジャンルにこだわりたくなくて、色んな役を演じる役者という表現に近いかもしれませんね。

なんだったら役者自体もやってみたいし、絵も描きたいし、何かをつくってメッセージを表現することができれば何でもよくて、ぼくはまだ19歳ですし、そういう意味でもラップという武器だけで未来を潰したくない、もっともっとやれることはいっぱいあると思っています。ラップも続けたいけど、ラップだけの人生はもったいない。一人ひとりのラッパーがラップ以外にも武器を持てば、自然と色んな外の世界とつながっていけるんじゃないかと思いますね。

ついにリリースされる待望のアルバムについて

──最後になりますが、今年はLow High Who? Productionから、7月にアルバムのリリースが発表されていますが、どんな作品になるのでしょうか?

GOMESS 実はまだ収録もしてなくて、どうなるのかわかりません(笑)。でも最近はあえて自分1人での楽曲はあんまりつくらないようにしていて、誰かの客演で参加したり、ライブでも誰かのゲストという形で出演するようにしています。

しばらくこのままのスタンスで続けていけば、自分が本当に書きたいテーマが頭に浮かんできて、募っていくと思います。それを一気に開放する期間を設けて、その期間に全てを凝縮させればアルバムとしての統一性も、自分という個性もうまく出せるのかな、と考えています。

Paranel 最近GOMESSくんのことを見ていると、外の仕事で役を演じてきて、アルバムのときに本当の自分が出せる役者のような感覚に近いのかな、と思いますね。なんか彼の演技している感じがすごく好きなんですよね。

GOMESS たしかにぼくは外でというよりも、トラックやその作品の音楽性によってラップのフロウからリズムの取り方、リリックの書き方までを全部変えます。単に韻を固めるリリックなんか書こうと思えば当たり前に書けるんですけど、自分がそんなに韻を踏むことが好きじゃないということもあって、あんまりおもしろくない。

だから曲の雰囲気や求められている要素によって声を高くしたり、低くしたり、だみ声にしてみたり、毎回全部変えているので演技に近いかもしれませんね。1月にPVを公開した、PAGEくんと一緒に客演で参加したdaokoの「メギツネ」なんかは、いつもメロディをつくってラップするPAGEくんが「メギツネ」のときは一切そういうフロウはやらないとわかっていたので、むしろぼくはメロディを混ぜたような変なフロウでラップしました。

【MV】daoko - メギツネ feat. PAGE, GOMESS


Paranel GOMESSくんに対する注目って、どうしても自閉症という点に集まってしまっている。当然、そのイメージにいつまでも留まっていてはいけなくて、本当の彼の本質は、演出や演技の力が強いところなんですよ。それを瞬時につくれることが彼のすごい魅力で、それをちゃんと魅せられるか、ということが、今回のアルバムの一番の焦点だと思っています。

GOMESS 「GOMESSってこういうことできるんだ」「すげぇ」って言わせたいですね。その後に頑張ってるんだっていうことが付いて来ればいいのかなって思いますね。早く本当の音楽がしたいと思っています。

GOMESS // ゴメス

ラッパー

1994年、静岡県生まれ。2012年開催第2回「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」の出場をきっかけに、その名前を全国に轟かせた。2014年より音楽プロダクション・Low High Who? Productionに所属し、7月にアルバムをリリース予定。現在は東京を拠点に各地の様々なイベントに引っ張りだことなっている期待の若手ラッパー。

GOMESS (@gomessthealien) Twitterアカウント

GOMESS

Paranel // C●▲$▲RU

クリエイター

昭和56年生まれ、東京在住。 芸術家と音楽家の顔を持つ。2005年にNELHATE名義「動物達の演奏会」を リリース。その後、LOW HIGH WHO? を設立。WEB・パッケージデザインからミックス、マスタリング、映像(MV/アニメ)等全レーベル作品一人でこなすこ とで新しいレーベルモデルを完成させる。また不可思議/wonderboyを始め、 daokoやJinmensaugiなどもプロデュ ース、輩出させた。2014年にはアニメ プロダクションSTUDIO4℃の作品「Tuzki: Love Assassin」の音楽全編を担当。多様な表現で常に発信している。

Paranel C●▲$▲RU (@Paranel) Twitterアカウント

Paranel

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著者 : GOMESS
発売 : 2014年7月16日
価格 : 2,000円(税込み)
販売元 : LOW HIGH WHO? PRODUCTION

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