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フォークと寓話、対極なボカロPの目指す先とは? sasakure.UK×ピノキオピー初対談

左がsasakure.UKさん、右がピノキオピーさん

2007年、動画共有サイト「ニコニコ動画」が登場し、時を同じくて、音声合成ソフトウェア・VOCALOID2として誕生した「初音ミク」。

音楽・イラスト・動画・ガジェット……これまでのポップカルチャーのどれとも毛色の異なる「ボーカロイド」という一大ムーブメントは、すでにシーンとして定着し、今も形を変えながら独自の進化を続けている。

2007年に作品を初投稿し、ボーカロイドによって、寓話的な世界観をつくりあげているsasakure.UKさん。そして、2009年に登場した、ポップな毒を振りまいて存在感を放つピノキオピーさん。

今回、ピノキオピーさんは12月3日に2ndアルバム『しぼう』、sasakure.UKさんは12月17日にミニアルバム『摩訶摩謌モノモノシー』と、それぞれの節目となる作品のリリースを記念して、特別対談を敢行。

一見、出自も音楽への関わり方も対極に見える2人が初めて語り合う、お互いの音楽性から、ボカロシーンの現在に至るまで──最前線で活躍するクリエイター同士のトークが繰り広げられた。

また、本記事ではプレゼント企画も実施! KAI-YOU公式アカウント(@kai_you_ed)をフォローした後、この記事を12月19日(金)までにTwitterでツイートした人の中から、抽選で2名に、sasakure.UKさんが描いた「ピノキオピーのキャラ」のサイン色紙か、ピノキオピーさんが描いた「sasakure.UKのキャラ」のサイン色紙をプレゼント。
※抽選の上で、公式アカウントからDMいたします
※どちらの色紙が当選するかは選べません
reIMG_5330-2-2 取材・構成 山田井ユウキ

ルーツは「ゲーム音楽」と「音楽ゲーム」

【sasakure.UK】ミニアルバム「摩訶摩謌モノモノシー」



──ボカロPとして活躍されているお2人ですが、そもそもどういうきっかけから音楽をつくるようになったんですか?

ピノキオピー(以下「ピノキオ」) 音楽のルーツだと、小学校までさかのぼりますね。当時、「モンスターファーム」というゲームがあったのですが、それがCDからモンスターを生み出すという作品だったんですね。それで、中古ショップでCDを買いあさって集めたんです。

最初は、単にモンスターを呼び出すためのアイテムとして買っていたのですが、あるとき、そういえばこれって聴けるんだよなと思って聴いたのが、スピッツの「チェリー」でした。そこからスピッツの曲が好きになって、ちまちま買い集めるようになりましたね。

sasakure.UK(以下、ササクレ) スピッツ! いいですね! 僕も大好きですよ。ピノさんの歌詞が良いのは、きっとそこにルーツがあるんですね。

実は、僕もゲームが始まりなんです。といっても、ゲームミュージックです。「音楽ゲーム」と「ゲーム音楽」なので、ちょうど逆ですね(笑)。ゲーム中に流れる音楽に感銘を受けて、サントラを買ったり、サントラが出てないものはテレビから流れる音をカセットテープに録ったりして聴いていました。

最初に買ったサントラはゲームボーイの「聖剣伝説」でしたね。他には「ロックマン」や「グラディウス」なども。ゲームミュージックって、自分の胸に刺さるリズムやコードワークに一番近かったんですよ。

ピノキオ わかります! CDになっていないものをTVから録音して自分だけのテープをつくる感覚って、テンションあがりますよね。

僕、小学校の時はパッケージフェチだったんです。想像で曲のタイトルをつくって、歌詞も書いて、曲の並びを考えて、ひとつのアルバムをつくるんです。だけど、曲だけはない(笑)。パッケージになったアルバムが好きだったんですよね。この曲は何曲目に持ってきて……とか考えるのが好きでした。

ササクレ 先に外側からつくるんですね、それはワクワクします! 良い趣味してますね!

ピノキオ 考えてみれば、最初に同人でつくったCDは完全にそれの延長でしたよね。パッケージに音を追加したもの。

ササクレ そのときつくったもので今に活かしているものもあるんですか?

ピノキオ 一切ないです(笑)! 某バンドの曲を真似して「元気だぜ!」みたいな曲をつくったり、パクリみたいなタイトルと歌詞ばっかりでしたよ。小学校の時から、アニメの替え歌を友達と録音して、みんなに配ったりしていたので。

高校でも、アコギを買ってコードと歌詞を書いて、やっぱりパクリっぽい曲をつくっていました。でもあのときは楽しかったな。結局みんなに笑ってもらうのが好きだったので、その意識は今も同じかもしれないですね。

ササクレ 今のピコピコサウンドとは違っていたんですね。バンドはやらなかったんですか?

ピノキオ やれなかったんです。軽音楽部に怖い先輩がいて部室がヤニ臭くて……(笑)。怖かったので家で一人でつくっていました。PCのMIDI音源を使ってリズムトラックをつくって、MTRに録音してからギターと歌をのせるということをやっていて、思えばあれがDTMにつながる原体験だったのかも。

「ボカロに人間臭い歌詞を歌わせるのか!」という驚き

【2014.12.3発売】しぼう / ピノキオピー【メジャー2nd album】



ササクレ ボカロ曲をつくってニコ動に投稿しようと思ったきっかけは何だったんですか?

ピノキオ そもそもニコ動は前から見ていたんですよ。ただ、最初はあまりボカロには惹かれてなかったんです。なんとなく、ネガティブな偏見を持っていたんですね。

そんなとき、アゴアニキさんの「ダブルラリアット」を見て、ボカロにバンドサウンドで人間臭い歌詞を歌わせるのか! と驚きました。これは面白い、同じことをやりたいと。それでボカロを手に入れてから、DTMを学んでいきました。

ササクレ 僕が初めてつくる側になったのは、高校のときに携帯電話の着メロをつくる機能を触ってからですね。和音で着メロがつくれたので、J-POPやゲームミュージックのフレーズを耳コピしていました。当時、男声合唱部に所属していたんだですが、その応用で、音を聴いて携帯にカチカチ打ち込んで、コードをつくっていました。

ピノキオ 僕も和音機能を使ったことはあるんですが、ひたすら「ド・ド・ド」という不気味なものをつくって、深夜に無題で友達に送りつけるという用途にしか使ったことなかったですね(笑)。

ササクレ 送られた方はたまったもんじゃないですね(笑)。

──携帯で曲をつくっていたというのもすごい話ですが、ゲーム音楽に親しまれていたからこそ、それがつながっていったんでしょうか?

ササクレ そうですね、もともとゲームミュージックのlo-bitな曲に親しんでいたから、ああいうピコピコした音が好きだったんです。今だったら、どんな楽器の音もボタン一つで再現できますが、当時は、ギターっぽい音でしかなかった。でも、そういう不自由なところに、温かみと味があるんですよね。

それに、昔はゲームに入る容量も少ないから、少ない容量に密度の高い情報量を詰め込むためにBPMが速かったりコードワークが複雑だったりと、様々な工夫が盛り込まれていたんだと思います。そこから独特のグルーヴが生まれていたと思うんですが、そういった部分に影響を受けています。ゲームの良いシーンで流れる曲に心が揺さぶられたときの感動は、今でも残っていますね。

──そこから、どうしてボカロ・DTMに進まれたんですか?

ササクレ もともと、インスト畑の人間だったんですが、自分の中でもつくり込み過ぎてしまったという感覚があって、何か新しい突破口はないかと思っていた時に、ちょうどボカロが発売されたんです。

人間じゃないものが歌っているのが面白いし、ボカロなら何か新しいことができるんじゃないか、と。

ピノキオ そうだったんですね。僕は、動画を投稿したいという気持ちからボカロに辿り着いて、やっているうちに段々その魅力に気付いていった感じでした。

最初、ゲーム実況を投稿しようとして録ってみたら、「俺の話し方って早口だしキモチ悪いな!」と思って(笑)、それがきっかけでボカロを使い始めたんです。ある意味、動画を投稿するための素材として音楽、ボカロがあったので、そこもササクレさんとは逆かもしれないですね。

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