双葉社も「小説家になろう」書籍化──過熱/細分化するラノベレーベル

双葉社も「小説家になろう」書籍化──過熱/細分化するラノベレーベル
双葉社も「小説家になろう」書籍化──過熱/細分化するラノベレーベル

双葉社・モンスター文庫公式サイトより

7月30日(水)、双葉社が文庫レーベル「モンスター文庫」を創刊し、ライトノベル事業に参入する。

同レーベルは小説投稿サイトの最大手「小説家になろう」の作品を書籍化することで話題となっている。創刊月と8月は3作品、以降は毎月3作品ずつ刊行していくという。読者ターゲットは10代から30代。

創刊タイトルは『ぼくは異世界で付与魔法と召喚魔法を天秤にかける』(著者/横塚司、イラスト/マニャ子)、『宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する』(著者/すずの木くろ、イラスト/黒獅子)、『軍師は何でも知っている』(著者/タンバ、イラスト/新堂アラタ)の3作品。
創刊タイトル3作品

「小説家になろう」の強い求心力

「小説家になろう」は、国内最大規模の小説投稿Webサービス。2013年時点で1日2000万PV、ユニークユーザー数80万人というデータも報告されている。ランキングに入るような作品はすでにネット上で多くの読者が定着しており、書籍化した際にも部数がある程度保証されるため、出版社・編集者からの注目度も高い。

ローンチは2004年4月。すでに人気のあった同サイトだが、2012年には「小説家になろう」上で執筆されていた作品『ソードアート・オンライン』がテレビアニメ化してヒットする等して、一般にも存在が知られるようになった。2013年にも同じく「小説家になろう」で執筆されていた『ログ・ホライズン』がアニメ化され、こちらも話題を呼んだ。

サービス内の作品の特徴として、アプリエンジニアの深津貴之さんが自身のブログエントリ「コンテンツを最適化すると多様性は死ぬのか?」(http://fladdict.net/blog/2014/07/death-of-diversity.html)で指摘する通り、いわゆる「異世界物」と呼ばれるジャンルの作品が多く集まるなど、独自の文化を形成していることでも知られる。

細分化、さらに過熱するラノベ業界

近年、多くの新興ライトノベルレーベルが生まれているが、2013年にはレコード会社のポニーキャニオンが「ぽにきゃんBOOKS」を創設。一般文芸作品を多く刊行する新潮社も、ライトノベルの領域で活躍する作家を多く取り入れた「新潮文庫NEX」というシリーズの立ち上げを発表したばかり。各社とも差別化を行いつつ、新たな試みを行っている。

双葉社がしかける「モンスター文庫」は今後どのような展開を見せていくのか、期待したい。

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