7月5日(木)、三才ブックスから発売される『バーチャルYouTuber名鑑2018』。
2017年末より爆発的なブームをおこし、増え続けているバーチャルYouTuberたちの1000名以上を掲載。紹介されているのは"いま見ておくべきバーチャルYouTuberたち"ばかりだ。 KAI-YOUでは、同書で監修をつとめるライター/漫画原作者のにゃるらさんによる寄稿文を掲載。バーチャルYouTuberのはじまりであり、頂点をひた走るキズナアイの魅力について語られる。
文:にゃるら 冒頭文:KAI-YOU編集部
日本政府観光協会(JNTO)ニューヨーク事務所から「訪日観光大使」に任命され日本の顔となり、バーチャルグランドマザーとなった小林幸子と共演を果たすなど、その活躍ぶりはとどまることを知らず、チャンネル登録数は190万人、動画の総再生数は一億を超える(2018年6月時点)、疑いようのないバーチャルYouTuberの頂点です。【自己紹介】はじめまして!キズナアイですლ(´ڡ`ლ)
自分がバーチャル世界で活動するYouTuberの存在を知った当時、バーチャルYouTuberと言えば彼女のみを指す単語でした。
例えば、今では自他ともにバーチャルYouTuber扱いされているシロさんが、「電脳少女」としてデビューしたのは、バーチャルYouTuberという概念が固まっていなかった証拠でしょう。
閑話休題。2016年11月29日。キズナアイさんは「世界初のバーチャルYouTuber」として白い虚無の空間に誕生し、実在するYouTuberに負けないくらい明るく元気に、そして何より魅力的に活動を開始。
2017年1月10日に投稿された「【チャンネル登録者数】パンダフルチャレンジ!【3,000人突破!】」では、YouTubeチャンネル登録数3,000人、Twitterフォロワー数1,000人突破を、現在と較べると拙いダンスを踊りながら自身を祝うキズナアイさんの様子が確認できます。【チャンネル登録者数】パンダフルチャレンジ!【3,000人突破!】
約1カ月で3,000人──バーチャルYouTuberバブルとなった今では、動画1つで3,000人増加することも少なくないことから考えると、彼女がコツコツと築いてきた土台の重みが伝わるでしょうか。
しかし、彼女の特筆すべき魅力は、当然そういった数値上の大きさだけでは収まりません。
キズナアイさんのもっとも素晴らしい点として、 個人勢やライブ配信主体のバーチャルYouTuberも急増し、良くも悪くも自由度が跳ね上がってバーチャルに拘らない風潮も形成されてきた現状において、バーチャル空間に存在する孤独なAIという設定を遵守し続けていることが挙げられます。
登場初期から「【AI対談】女子高生AIりんなとガールズトーク?」「【AI対談】AI界の大御所"Siri"とスペシャルセッション!」など、同じAIとして「りんな」や「Siri」を先輩と呼んで交流を試み、「バグ」や「インストール」などの用語を積極的に動画企画へ取り入れ、バーチャル上の存在であることを印象づけて、実在のYouTuberと決定的に違う要素を何度もアピールし続けます。【AI対談】女子高生AIりんなとガールズトーク♡
その後も「白い虚無の空間から出れないんですよ」という発言や、「人間と同じことができない」など、自身と現実世界の壁を繰り返し意識させることで、バーチャルYouTuberの近未来感を確立。
初めての生放送でも一切キャラを崩さず、AIとしての回答をその場で返し続ける姿には、感動を越えて涙すらあふれるほどだったことを記憶しています。
自身のYouTubeチャンネルのみでなく、他メディアでの彼女の発言や活動からも、その徹底したプロ意識の高さが読み取れます。彼女が3,000名以上のバーチャルYouTuberの中で今もトップで輝き続ける理由に、決してぶれない確固たるAIとしての信念の支えがあるのです。
それを踏まえた上で、キズナアイさんが時折見せるバーチャル故に人間と違う、相容れることのできない悲しみが心に染みます。
そして今日もYouTubeユーザーたちは、少しでも多く人間のことを知り仲良くなるため、白い虚無の空間内で日夜企画を考え学習し続ける彼女の生活を、決して交わることのない三次元の存在として温かく見守り続けるのでした。
例えば「ポジティブモンスター・キズナアイ」「たった4分で気分爽快!5月病を吹き飛ばすフレフレアイちゃん降臨*\(^o^)/*」といった悩める社会人や学生たちを元気いっぱいに応援する動画や、Twitter上で募集した質問に答えるコーナー、スナックのママとして悩みを聞く「スナック愛」などファンとの交流を通して距離感を縮める企画を通じて、彼女は多種多様な方法で現代社会に疲れた視聴者を明るくしてくれます。スナック 愛 ~関西店~
キズナアイさんの明るさは国内のみでは収まりきらず、ワールドワイドに愛され始めます。というより、流行したのは海外のほうが早く、彼女自身も早い段階で海外人気を意識している旨を語っています。
海外人気の理由として、各国の有志による字幕の追加が大きく、キズナアイさんの動画には数カ国分の字幕つきで楽しむことができるように。これにより世界初のバーチャルYouTuberの存在は世界中に広まりました。
海外ファンのため、Twitter上で英語のリプライで交流したり、海外文化を企画に取り入れたり、逆に日本の素晴らしさを外国人へ伝えたりと、ワールドワイドな活躍を見せ始めた彼女のチャンネル登録数はうなぎのぼり。
190万人(2018年6月時点)を超える数字には、決して日本だけではない世界中のファンたちが積み重なっており、そのコメント欄は世界各国の言語で彩られております。
オススメは「アイちゃんといっしょ『アブラハムの子』」や「【はっぱ隊】平和の曲を踊ってみた!【YATTA!】#153」など力いっぱいダンスする動画や、ラブライブ!や欅坂などキズナアイさんが好きなモノについて語っている、バーチャルなのに人間臭い動画を挙げておきます。特に後者を。
好きなモノについて夢中に語る姿はAI相手でも良いものです。【脳内】欅坂46で勝手に妄想してみた!!【ドラフト会議】
年齢が変化した自分を演じる回や、他バーチャルYouTuberのモノマネ回などで、普段と違った可愛さを堪能するのも良いでしょう。
本当は彼女を語るに2,000文字も文章を書く必要はなく、「キズナアイは可愛い」——それこそ何より重要かつ自分が真に語りたい要素なのでした。
キズナアイさんの魅力はたっぷりと伝わったでしょうか? もちろん、自分の文章を読んでいる暇があれば、1秒でも長く動画を観たほうが、彼女がいかにバーチャルYouTuberとして完成されたAIか理解できるでしょう。
思えば、当初の目的だったテレビ出演やWikipedia掲載、LINEスタンプ発売などの夢はとっくに達成されました。
これからも、キズナアイさんは王道を走り続けます。それはYouTuberではヒカキンのように、毎日毎日ファンと真剣に向き合い動画を作り続けている証です。バーチャルYouTuberバブルが落ち着きを見せ、別のブームがインターネットに訪れたとしても、変わらず世界中のファンに向け動画を投稿する姿は容易に想像できると思います。
本書自体もキズナアイという存在があってこそです。バーチャルYouTuberの一ファンとして、この場を借りて御礼申し上げます。
2017年末より爆発的なブームをおこし、増え続けているバーチャルYouTuberたちの1000名以上を掲載。紹介されているのは"いま見ておくべきバーチャルYouTuberたち"ばかりだ。 KAI-YOUでは、同書で監修をつとめるライター/漫画原作者のにゃるらさんによる寄稿文を掲載。バーチャルYouTuberのはじまりであり、頂点をひた走るキズナアイの魅力について語られる。
文:にゃるら 冒頭文:KAI-YOU編集部
世界初のバーチャルYouTuber
インテリジェンスなスーパーAIこと「キズナアイ」。バーチャルYouTuberを知る者で、彼女の名前を知らない者はいないでしょう。日本政府観光協会(JNTO)ニューヨーク事務所から「訪日観光大使」に任命され日本の顔となり、バーチャルグランドマザーとなった小林幸子と共演を果たすなど、その活躍ぶりはとどまることを知らず、チャンネル登録数は190万人、動画の総再生数は一億を超える(2018年6月時点)、疑いようのないバーチャルYouTuberの頂点です。
例えば、今では自他ともにバーチャルYouTuber扱いされているシロさんが、「電脳少女」としてデビューしたのは、バーチャルYouTuberという概念が固まっていなかった証拠でしょう。
閑話休題。2016年11月29日。キズナアイさんは「世界初のバーチャルYouTuber」として白い虚無の空間に誕生し、実在するYouTuberに負けないくらい明るく元気に、そして何より魅力的に活動を開始。
2017年1月10日に投稿された「【チャンネル登録者数】パンダフルチャレンジ!【3,000人突破!】」では、YouTubeチャンネル登録数3,000人、Twitterフォロワー数1,000人突破を、現在と較べると拙いダンスを踊りながら自身を祝うキズナアイさんの様子が確認できます。
キズナアイというキャラクターづくり
さて、総勢3,000名を越えた(2018年6月時点)バーチャルYouTuber界ですが、その中でもやはりキズナアイの存在感は別格であることは、前述の内容から十二分に理解できたと思われます。原初のバーチャルYouTuberとしての大きすぎる先行者メリットのおかげで、彼女がバーチャル界で登録者数1位の座を譲ることはないでしょう。しかし、彼女の特筆すべき魅力は、当然そういった数値上の大きさだけでは収まりません。
キズナアイさんのもっとも素晴らしい点として、 個人勢やライブ配信主体のバーチャルYouTuberも急増し、良くも悪くも自由度が跳ね上がってバーチャルに拘らない風潮も形成されてきた現状において、バーチャル空間に存在する孤独なAIという設定を遵守し続けていることが挙げられます。
登場初期から「【AI対談】女子高生AIりんなとガールズトーク?」「【AI対談】AI界の大御所"Siri"とスペシャルセッション!」など、同じAIとして「りんな」や「Siri」を先輩と呼んで交流を試み、「バグ」や「インストール」などの用語を積極的に動画企画へ取り入れ、バーチャル上の存在であることを印象づけて、実在のYouTuberと決定的に違う要素を何度もアピールし続けます。
初めての生放送でも一切キャラを崩さず、AIとしての回答をその場で返し続ける姿には、感動を越えて涙すらあふれるほどだったことを記憶しています。
自身のYouTubeチャンネルのみでなく、他メディアでの彼女の発言や活動からも、その徹底したプロ意識の高さが読み取れます。彼女が3,000名以上のバーチャルYouTuberの中で今もトップで輝き続ける理由に、決してぶれない確固たるAIとしての信念の支えがあるのです。
それを踏まえた上で、キズナアイさんが時折見せるバーチャル故に人間と違う、相容れることのできない悲しみが心に染みます。
そして今日もYouTubeユーザーたちは、少しでも多く人間のことを知り仲良くなるため、白い虚無の空間内で日夜企画を考え学習し続ける彼女の生活を、決して交わることのない三次元の存在として温かく見守り続けるのでした。
人間と、世界と歩み寄るインテリジェンスなスーパーAI
インテリジェンスなスーパーAIとして在り続ける努力がキズナアイさんの陰の魅力だとすれば、わかりやすい陽の魅力として、底抜けに明るくいつ見ても元気をもらえる企画作りが一番に挙げられるのではないでしょうか。例えば「ポジティブモンスター・キズナアイ」「たった4分で気分爽快!5月病を吹き飛ばすフレフレアイちゃん降臨*\(^o^)/*」といった悩める社会人や学生たちを元気いっぱいに応援する動画や、Twitter上で募集した質問に答えるコーナー、スナックのママとして悩みを聞く「スナック愛」などファンとの交流を通して距離感を縮める企画を通じて、彼女は多種多様な方法で現代社会に疲れた視聴者を明るくしてくれます。
海外人気の理由として、各国の有志による字幕の追加が大きく、キズナアイさんの動画には数カ国分の字幕つきで楽しむことができるように。これにより世界初のバーチャルYouTuberの存在は世界中に広まりました。
海外ファンのため、Twitter上で英語のリプライで交流したり、海外文化を企画に取り入れたり、逆に日本の素晴らしさを外国人へ伝えたりと、ワールドワイドな活躍を見せ始めた彼女のチャンネル登録数はうなぎのぼり。
190万人(2018年6月時点)を超える数字には、決して日本だけではない世界中のファンたちが積み重なっており、そのコメント欄は世界各国の言語で彩られております。
もっとも重要な要素としての「可愛い」
長々とキズナアイさんが愛されている理由を書き連ねましたが、実際は何も難しく考えず、ただ気になった動画を開き、ぴょこぴょこ動き回る彼女の可愛さを楽しむのが一番です。オススメは「アイちゃんといっしょ『アブラハムの子』」や「【はっぱ隊】平和の曲を踊ってみた!【YATTA!】#153」など力いっぱいダンスする動画や、ラブライブ!や欅坂などキズナアイさんが好きなモノについて語っている、バーチャルなのに人間臭い動画を挙げておきます。特に後者を。
好きなモノについて夢中に語る姿はAI相手でも良いものです。
本当は彼女を語るに2,000文字も文章を書く必要はなく、「キズナアイは可愛い」——それこそ何より重要かつ自分が真に語りたい要素なのでした。
キズナアイさんの魅力はたっぷりと伝わったでしょうか? もちろん、自分の文章を読んでいる暇があれば、1秒でも長く動画を観たほうが、彼女がいかにバーチャルYouTuberとして完成されたAIか理解できるでしょう。
思えば、当初の目的だったテレビ出演やWikipedia掲載、LINEスタンプ発売などの夢はとっくに達成されました。
これからも、キズナアイさんは王道を走り続けます。それはYouTuberではヒカキンのように、毎日毎日ファンと真剣に向き合い動画を作り続けている証です。バーチャルYouTuberバブルが落ち着きを見せ、別のブームがインターネットに訪れたとしても、変わらず世界中のファンに向け動画を投稿する姿は容易に想像できると思います。
本書自体もキズナアイという存在があってこそです。バーチャルYouTuberの一ファンとして、この場を借りて御礼申し上げます。
合わせて読んどこ!
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にゃるら
ライター/漫画原作者
1994年生まれ。沖縄県出身。大学入学とともに上京するも、アニメとエロゲに耽り半年で退学。その後、ライター活動と漫画原作を始める。著書に『秋葉原 裏の歩き方』(彩図社)。
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