男子中学生のなりたい職業3位にランクインしたように(2017年4月にソニー生命保険が公開した「中高生が思い描く将来についての意識調査」より)、10代・20代にとっては、TVタレント以上の影響力を持つ人も登場。画面越しに映るカリスマに憧れ、自分も動画を投稿しようという若者が相次いでいます。
そうした中で、目的別に募集・告知を掲載できる地域掲示板サービス・ジモティーで、YouTuberメンバーの募集が目立っています。
夢や職業としても身近な存在になったYouTuber
ジモティー内の募集を「YouTuber」で検索してみると、該当するのは全部で386件。検索ワードを「YouTube」にまで広げると、1494件まで増えます。YouTuberを始めたいけど身近にやってくれる仲間がいない時、近場でメンバーを募集するのに使われているようです。
実際にどんな募集があるかというと「本気でYouTubeやりたい方」や「動画編集できなくてもOK!YouTuber、有名になりたい人募集!」といった件名が並びます。
YouTube活動を一緒に
してくれるメンバーを募集中です(∩ˊᵕˋ∩)・*
現時点のメンバーは、19歳女性、22歳男性です。
募集メンバー人数は未定です。ジモティーより一部引用
YouTuberと言う言葉が世間に浸透してまだ3年くらいなので、まだまだ波が残っていると思います!
ビジネスとして本気でやってくれる方是非お待ちしています!
YouTubeの為に今の仕事辞めます!
って方大歓迎です!
お金の事は心配しないで下さい!ジモティーより一部引用
以上はすべて、募集の投稿に記載された文面の一部です。好きな事を仕事にして成功したい。
綺麗事を言いたくない。
正直に生きて自分の価値を見出したい。
特に内容は決まってません!
ノリとフィーリングを重視にアイディアを出していけたらと思います!ジモティーより一部引用
YouTubeが生活の一部になりつつある若者にとって、いまやYouTuberは身近な存在です。前述の意識調査からも一目瞭然なように、プロスポーツ選手や公務員よりも、より現実的に将来の姿として思い描けるのがYouTuberだと言っても過言ではありません。
とはいえ、職業として考えているかどうかには、個人差があります。事実、募集によって異なるものの、「ジモティー」を眺めている限り、比較的カジュアルなノリが多いようです。
ただ、1人でいつでもどこでも始められる手軽さもYouTuberの魅力の1つのはずですが、なぜ仲間が必要なのでしょうか?
筆者は、ここに「バンド感覚でYouTuberを始める若者が増えている」という現象を見ます。
バンド感覚でYouTuberを楽しむ次世代たち
YouTubeおよびYouTuberの一般化を表す事例の1つであるジモティーでのメンバー募集。こうした掲示板での募集について、YouTuberのシバターさんが「なぜチームで誰かと一緒にやろうとするのだろう?」と言及しています。
「複数になれば、それだけ自分のお金の取り分が減ってしまう」「チームで有名になってから、個人のチャンネルをつくるのは無駄ではないか」と、チームという体制への疑問を口にしています。
加えて、「(YouTuberは)自分の世代でいうバンドのようなノリなんだろう」と、チーム系YouTuber結成の理由を考察しました。
かつてバンドブームでバンドを結成していた人たちの中に、本気でプロのミュージシャンを目指していた人がどれほどいたでしょう。
同じように、こぞってYouTuberを始める今の10代・20代にとって、成功したい、名を上げたいという欲求とは別に、バンドや部活のような感覚でYouTuber活動自体を楽しむという現象が生まれています。
仲間を集めて、企画を考えて動画を撮影し投稿する。今の若者にとって、それがコミュニケーションとして楽しまれるまでになっているのです。
YouTuberが次世代のポップスターになり、仲間を募る需要が高まった
もちろん、仲間を募集する理由はそれだけではありません。数年前までは、YouTuberという言葉すら日本では浸透しておらず、インターネットについても「オタク」や「陰キャ」といったイメージが強かった時代。
当時、YouTuberを始める人といえば、何かに失敗してリベンジしようという人が多かったのです。ネット上に顔を公開する彼らは、一般的には嘲笑の対象でした。 それが今では、彼らは成功者として、タレントと同等に憧れを抱かれる存在に。ネットに詳しい人だけでなく、いわゆるパリピやリア充といった人たちにとっても、YouTuberはもはやポップスターとして位置づけられています。
かつていわゆる情報商材を扱ってきたヒカルさんも、今でこそ関西系YouTuberとして有名ですが、当時まだ未成熟ながら将来性にかけて参入し、バカにされながらもその名を馳せるまでになりました。
しかし、本当に個人の力で成功できるのは一握りで、ソロで活動していいるYouTuberでも、身近な友達が動画に登場して企画を手伝う光景は日常茶飯事です。
ヒカルさんも、YouTuber参入当時は友達に手伝ってもらっていました。ほかにも、日本一のチャンネル登録者数を抱えるYouTuber・はじめしゃちょーさんがかつてチームで、最近また仲間で活動することを発表したことも知られています。
YouTuberが身近なスターになり需要が高まった結果、「ジモティー」をはじめとした仲間を見つけやすい環境も今後さらに整っていくのでしょう。
好きな事で生きていく、誰でもクリエイターに
当然、始める人が増えるということは、それだけ競争率も増すということ。10代でも始められるため、早い段階からYouTuberを目指す人が多くても不思議ではありません。
YouTuberになりたいからと言って他をおろそかにする姿勢を否定しつつ、「カッコイイバカを目指しましょう」と呼びかけています。
一方で、競争が激しくなるにつれて、人に迷惑をかけるような悪質で過激な動画も。
動画は、男性YouTuberが交番で道を尋ねるフリをして、警察官の前で白い粉を落とし、警察官が気がつくと同時に逃走をするというもの。結果的に、投稿者は偽計業務妨害の疑いで逮捕されました。
「目立たなければ注目されない」と焦りが、動画の過激さを助長していることも事実で、なりふりかまわないYouTuberを生んでしまっているのかもしれません。
アイドルにモデル、タレント、お笑い芸人など、芸能界からもYouTubeに参戦し始めている昨今。彼らの参入でより競争が激しくなるのか、または既存のタレントと生粋のYouTuberとでファンの二分化が進むのか。
機材やアプリも安価で、仲間を見つけやすい状況も整った今、さらにYouTuberへの参入は進んでいくのか、見届けていきたいと思います。
日々増えるYouTuber
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