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メカデザイナー 大久保淳二インタビュー 架空企業が描く未来都市の構想
かつて富野由悠季さんによるベストセラー『機動戦士ガンダム』を再構築した小説『フォー・ザ・バレル/FOR THE BARREL』や、カルト的人気を誇る操縦ゲーム『鉄騎』のメカデザインを担当したデザイナーの大久保淳二さん。

近年ではアニメ『魔法科高校の劣等生』や『オーバーロード』のプロップデザインなど、TVアニメでの活躍も広く知られている。

そんな大久保淳二さんが、「近未来の都市部に働くロボット」というコンセプトのもと、2000年にスタートしたプロジェクトが架空企業・出雲重機だ。


この出雲重機が生産する(という設定の)重機「Prove 20WT」の1/12スケールモデルが手に入るプロジェクトを、クラウドファンディングサイト・CAMPFIREとKickstarterで実施中。なお、このスケールモデルは、漫画家・弐瓶勉さんの「東亜重工製1/6合成人間」を企画・販売したことでも知られる1000toysが手がけている。

今回はそんな大久保さんに、出雲重機をはじめるまでの半生から多大なる影響を受けたという『スター・ウォーズ』について。そして、クラウドファンディングプロジェクトを通して世界に発信するメカニックデザインの手法までお話をうかがった。

取材・文:須賀原みち 編集:ふじきりょうすけ

架空企業・出雲重機の原点はクラブウェア

Prove 20WT

クラウドファンディングで購入できる「Prove 20WT」

──大久保淳二さんがデザイナーを志すようになったきっかけから聞かせていただけますか?

大久保 小中学生だった80年代はアニメブームの真っ只中で、僕も『風の谷のナウシカ』がきっかけでアニメ好きになったんです。だけど、「宮崎勤事件」※1が起きて、僕ら世代のオタクはみんな迫害を受けたんですよ!

アニメが好きだとモテないし、なんの得もない。だから高校時代にオタクの経歴を抹消して、バンドをするようになりました(笑)。もともとメカフェチなので、パートはシンセで打ち込みを担当してたんです。それでシーケンサーとして「Macがほしいな」と思って。

当時は「マルチメディアの時代」とか言われていたので、マルチメディア学科に入れば親にMacを買ってもらえる(笑)。それから専門学校に進んで「Flash」の原型である「Director」を勉強しました。

タイムラインに音楽や絵を載せてアニメーションやゲームをつくれるんです。制作過程で色々学んだ結果、絵をつくるのが一番面白いってなって。

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大久保淳二

──専門学校で「Director」やCGの知識を学ばれ、その技術を出雲重機として発表していったのですか?

大久保 僕は専門学校を卒業して、そのまま専門学校に就職したんです。そして、教材のメンテナンスをする部署で働いていました。当時高額だったソフトなどが使い放題だったので、そこでCGの勉強などをしていましたね。

当時は企業がインターネットにサイトをつくりはじめる黎明期で、企業と一般でもサイトをつくるスキルの差がそんなになかった。それで、「インターネット上に架空の企業をつくっちゃおう」って出雲重機のサイトを開設したんです。当時は勘違いされて、本当にロボについての問い合わせが来たりもしてました(笑)。

出雲重機ロゴ

出雲重機 ロゴ

大久保 それがちょうど、若手のグラフィックデザイナーが徐々にDTPへ移行している時代。『Quick Japan』や『Design Plex』、『STUDIO VOICE』といった雑誌で、同世代の活動を知って、カルチャーショックを受けました。それで、「自分もクリエイターになりたい」という衝動が爆発したんです。

そんな若手のグラフィックデザイナーと知り合ったのがきっかけで、渋谷のクラブウェアの店でメカのイラストTシャツを売っていました。それが出雲重機の原型ですね。

──クラブウェアをつくりつつ、ネタ的なサイトとしてアウトプットしていたんですね。出雲重機という名前はどこからきたのでしょうか?

大久保 映画『グレムリン』から取った「GIZMO」というハンドルネームで、個人のホームページをやっていたことがあって。架空のロボットメーカーというスタンスに切り替えていく時に、「GIZMO」のGを抜いたんです。

たまたまですけど、古代から製鉄技術で繁栄していた「出雲」と名前が引っかかってるのも良いなって思って。

出雲重機が描く「近未来の都市部で働くロボット」像

出雲重機が描く「近未来の都市部で働くロボット」像

──それでは出雲重機の「近未来の都市部で働くロボット」というコンセプトはどこに着想を得たのですか?

大久保 最初はとにかく「メカデザインをやりたい」という衝動からはじまりました。特に『エイリアン』に出てくるパワーローダーや『スター・ウォーズ』などのSF映画に、映像演出のプロップ(小道具)として出てくるものが大好きなんです。

だからI.L.M(ルーカスフィルムの特殊効果スタジオ)や『ターミネーター』などを手がけたFantasy IIといった当時のプロップメーカーの仕事をよく見てました。

逆に日本のロボットって玩具発信の文化なので、子供っぽくて嫌いなんです。僕は、人型のロボットが大見得を切った……それこそ『ガンダム』のようなロボットはすごいダサいと思ってしまうので、まったく興味ないんですよ(笑)

だから出雲重機でも「架空のロボットつくろう」と思った時に、武器を持った人型メカにはならなかったんです。

※1宮崎勤事件……1988から1989年にかけて起きた連続幼女誘拐殺人事件。宮崎勤の趣味嗜好から、それまで世間的に認知されていなかったオタクの存在を不本意な形で世に広める契機にもなった。
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2016.12.22

出雲クラスタのみなさま

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